新クトゥルフ(7版) NPCのロールプレイングについて
※この記事は他の媒体で2020年3月に投稿したものを編集したものです
わたしよくツイッターに「こう思う」系の長文ツイート連投することがあるんですけど、そういうのはブログに書いた方がいいなーと思ったので。今日はツイッターに投稿したくなるのを抑えてこっちに書きます。
クトゥルフのNPCのロールプレイについてです。
6版(旧版)では単に「キーパーはモンスターや人々の役を必要に応じて演じなければいけない」というようなことしか書かれていませんでした。なので、NPCを演じる時にセリフを話して演技をするのか、それともNPCの主張を簡潔に伝えるのかはキーパーによる、というところでした。
年末に発売された7版にはNPCのロールプレイングのガイドラインがP186に詳しく書かれているんですけど、一部の人にとっては目を覆いたくなる記述があります。「単にNPCから何が聞けたのか告げるのでなく、NPCの役を自分自身で演じよう。適切なアクセントで話したり、自分の声のトーンや大きさを変えてみよう」というような記述です。
つまり7版ではロールプレイ=キャラクターになり切った演技だと言っているようなものです。しかもそのあとに「キーパーがなり切って演技しているのを見てプレイヤーが参考にできるよう、手本を示そう」という趣旨の記述が続きます。
7版発売以前のクトゥルフプレイヤーたちには、大いにセリフ演技をする(いわゆるRP重視卓)グループと、状況描写や行動宣言を主としてゲームを進めるグループがありました。もちろんその中間のようなグループもありました。
状況描写や行動宣言が中心のグループの中には「クトゥルフでセリフで演技するのが苦手だ、あるいは嫌いだ」という人が一定数います。7版の「NPCのロールプレイング」の項目は、おそらくそういう人たちにとって「見なかったことにしたい」記述に違いありません。
これはとても悩ましいことだと思います。
基本的にこのP186の記述はキーパーのガイドラインのようなものなので、ルールではありません。あくまでゲームをより良くするためのアドバイスなのです(P180の冒頭を読めばわかります)。なのでキーパーが自分のプレイグループでなりきり演技をしないようなゲームをしてもかまわないのです。
しかしながら、なり切りをするプレイヤーとしないプレイヤーが同じテーブルに座ってしまったとき、かなり大変なことになります。
演技が苦手な人が「ほら、ぼくの演技を参考にして、君もなり切ってロールプレイしてみなよ。恥ずかしがらないで!」とキーパーに言われても仕方ないという状態になってしまうのです。だってルールブックにそうすることが推奨されているんですから…
もちろん、それぞれが自分に合ったプレイグループに属するのが最もいいと思います。しかし、そういうグループを見つける前にゲームから離れてしまう人もいるかもしれません。
実際に旧版でも「始めたころは、なり切りをするのが嫌だった」という方のお話は何回か聞いたことがあります。
いや、ここまで書いて何なんですが、この話は「こういう問題があるからこうするべきだー!」と警鐘と啓蒙したいんじゃないんです。
なんとなくわたしがそう思ってるってだけで…
7版のロールプレイに関する記述は今のところ波紋を呼んでいるわけではないですし(知らないところで波紋を呼んでいるかもしれませんが)
そもそも、なんで7版でCoCのデザイナー陣がこのようなガイドラインを立てるに至ったのか、聞いてみたいですよね。6版ではそんな素振りはなかったのに、どうしてなり切りを推奨化したのか。
いや、アメリカのRPGデザイナーが何故いとも簡単に「なり切りしろ」なんて書けるのかについては、思いあたる節があるんですが。わたしがこれまで外国人と付き合ってきて感じたことを元に理由を考えてみました。
なんかそういう研究があるとか、出典があるとかそういうわけじゃないので、適当に話半分に見てほしいんですが。
私は今まで仕事でも遊びでもいろんな外国人と付き合いがありました。
もちろん彼らとつたない英語で会話をするんですが、特にヨーロッパや北米・南米の人たちは非常に「ジェスチャー」と「声マネ」を多用するんですよ。
例えばある外国人Aさんが「私の娘がトマト嫌いなので食べないのよ」って話をするとき、彼女はただ事実を伝えるだけではなく『ママ、あたしこれ食べたくないのォ!』と娘の声マネをし、娘がイヤイヤする素振りをやって見せるんです。
これは程度の差はあれど、今まで出会ったほとんどの欧米人が声マネ、ジェスチャーを多用してました。
わたしの英語が拙いので、伝わりやすいためにそうしているわけではないようです。
外国人同士でもやっていましたから。
日本人はあまりそういうことをしません。
だれかここにいない人のエピソードを語るときも、体は微動だにせず、声のトーンが急激に変わるということもない、という人が多数派のように思います。
なんでかって考えたんですが、おそらく。英語やそれに類する言語には、日本語と比べて擬音語や擬態語(オノマトペ的な)が少ないからなのではないかと思います。
娘がトマトを食べない話にしたって、日本人が「うちの子、もう首ブンブン振って、『これ食べたくないって』ギャンギャンわめくのよ」と言うところを、欧米人は娘の様子をコピーすることで表現するんですよね。
そこで、いとも簡単に「なり切りしろ」なんてルールブックに書かれてしまった理由を考えてみると。多分アメリカ人にとって「なり切り」は何でもない簡単なことだからなんですよね。「恥ずかしがらなくてもいいじゃないか、君たち普段からやってることだろ」ということなんじゃないでしょうか。
アメリカ人にとっては「なり切り」はハードルの低い行為だと思うのですが、日本人にとっては…
苦手な人はとことんやりたくないですよね。
ここんところ、今後日本公式のロールプレイに関する見解などを、どこかの紙面で聞けないかなあと思っているなど。
なお、わたしはキーパーするとき昔から「NPCになり切り派」でしたが、わたしと一緒に遊ぶ方はあまりなり切りしないですね。共存している感じです
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