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キモヲタ、スカイダイビングへ行く


4月2日(日)にスカイダイビングへ行ってきた。
年度が明けても相変わらずえちえちな展開は起きない。神は常にいないが、常に見えおられる。

2022年の年末年始にトルコのカッパドキアで気球に乗ったのだが、寒空に震えながら高度3,200フィート(は?)を浮遊し、こう思った。

______ここから落ちてみたい。

感じたことないサリエンシーに遭遇したくなるのが人間なんだろう。直感に突き動かされたキモヲタはすぐに計画することになった。
スカイダイビングにひとりで行くことが""変態""と同義なのはこれもまた直感で分かったので、幼馴染を誘ってみた。10月に転職したが思ってた仕事と全然違う!!とヤキモキしてたのでちょうど良かった。幼馴染がダメだったら危うく変態が宙(そら)を舞うところだった。


埼玉の桶川市に「東京スカイダイビングクラブ」という、人の命を預けるにはやけにポップなタイトルの体験場がある。ホンダエアポートという非公共の飛行場で、スカイダイビングの体験教室やスクールが用意されていた。


空から飛び降りるのだから10万円くらいするもんだろうと勝手に思っていたが、飛んで降りるだけなら33,000円でできる。
インストラクターがGopro的なカメラで撮影してくれるオプションをつけても41,000円で飛べる。
捉え方次第だが、キモヲタは安いと感じた。

現地に着いてすぐ、受付の小屋でギャル店員に緊張しながら33,000円を払った。キモヲタはギャルが苦手なのが世の真理だ。インストラクターなどスカイダイビングを生業にする方達はどこか開放的な見た目の方が多く、ここはキモヲタのくる場所ではなかったと現地入りして10分で悟った。

受付を済ませて15分くらいでセスナにピットインしてサクッと飛べるもんだと思っていたら、なんだかんだ1時間半ほど待機させられた。
人の命を預かるのだから、それくらい入念な準備が必要なんだろう。ここにきてようやく、死ぬ可能性が無きにしも非ずと思い始める。

今この状況の何をどう信じて自分の命を他人に預けられるんだろう、何を信用して死なないと感じてるんだろう、こんなことを小雨の空の下で感じていた。
職場と自宅の往復が生活の大半を占め、トキメキが鈍化していたので、こういった感情とめぐり逢えただけでもスカイダイビングに来れてよかったと後になって思う。

待機場所


そして名前を呼ばれ、俺の命を預けるインストラクター(魂の盟友)と合流する。今日の全てはここで決まる。



「アナタガシュウサン?ワタシはMAX。ヨロシク」


_______命を預けたい。
上背こそないが密度の高い筋肉、特に胸板の厚さからは頼もしさすら感じる。
そしてあの目だ。笑っているのにまったく笑ってない。間違いなく軍上がり。キモヲタの直感は往々にして外れるが、彼の大器ぶりを一目見て、今日のフライトを無事に終えられることだけは確信した。

MAX氏のカタコト日本語チュートリアルのおかげもあり、飛び降りて着地するまでの段取りが6割くらいしか分からないままハーネスを装着してもらった。ハーネスをつけられながら一瞬ち○ちんを触られた気がした。キモヲタは自意識も過剰なのだ。


セスナたそ
これに乗れるだけでも最高の体験でした


ここから先はケチって金を惜しんだ為に写真無しだが、機内設備がスケルトンになったセスナに乗って高度13,000フィートまで駆け上がった。


______13,000フィート?


は?


トルコの気球→3,200フィート(約1,000メートル)
今回の宙飛び→13,000フィート(約4,000メートル)

え、待ってわかんないわかんないどゆこと??


飛行機に乗って着陸する時、雲に覆われながらぼんやり地上が見えてくるあの景色が大体1,000メートルちょい。その4倍の高さ。つまりは天空。
飛行機で最高位まで上昇した時に見える空の景色から飛び降りるイメージをしてもらえるとわかりやすいです。セスナがどんどん上空に行くもんで、途中から笑いが止まらなかった。
MAX氏もキモヲタの高揚とした異変に気付き、途中から話しかけもしなくなった。

そして程なくしてキモヲタがダイブする番に。
飛んでからフリーフォール(パラシュートなし)の間は呼吸も難しく、目を開けるのがやっとで景色を楽しむ余裕は当然ない。あと気圧が急激に変わるせいか耳がめちゃ痛い。セスナ搭乗中に耳抜きしておけばよかった。あとフリーフォール中は時速200kmで落下してるらしい。キモヲタは新幹線になった。

パラシュートが無事開かれ、ゆらゆらと落ちていくのだが、ふだん機内から見る景色なんかとは比較できないくらい絶景というか大地の雄大さと空の青さを五感で感じられた。30年近く生きてきて、まだ感じたことない""初めて""があるんだなと感動しっぱなしだった。

MAX氏が落下中に「この辺りがちょうどスカイツリーくらいの高さだよ」と教えてくれたと同時に遊びを利かせて空中で旋回してくれたのだが、あり得ないはやさで酔った。事前に酔い止めを飲めば大丈夫なんだと思う。これからスカイダイビングにトライする人は絶対に酔い止めを飲んだ方がいい。この記事で唯一の有益な情報だから見逃すな。
あと多分スカイツリーから飛び降りたとしたら、思ってる3倍の速さで落下して死ぬこともわかった。




今回、スカイダイビングするにあたって1番期待してたのは、「飛び降りる前にどんなことを思うか」だった。
死ぬかもしれないという究極の非日常を目の当たりにするのに33,000円は安すぎるのではないか、という疑問もあった。

飛ぶ前に頭によぎった感情は「もっと海外に行きたい」だった。
機内にいることもあったと思うが、やり残した後悔めいたものが真っ先に浮かんだ。逆に死に対する恐怖心はまったく湧かなかった。

状況ありきは勿論だが、自分は死を前にすると今まで受けた恩恵や縁よりも後悔が頭によぎるらしい。若さもあるが、そう思えた今の自分にすごくしっくりきた。

取りこぼしないよう生きたい。

今の権利を放棄して短期間でも留学して「海外で暮らしたい」というかねてからの欲求を満たすか、トルコ旅の帰りから感じている「色んな生き方を自分の目で見てみたい」という欲求を今ある時間とお金を使って果たすか、とんでもなく悩んでいる。
大方の結論は出ているけど、腹落ちするまで考え続けたい。

飛び終わって呆然としてたら、別便でダイビングを終えたご年配の方々がキャッキャはしゃぎながら、またトライしたいね〜と言っていた。人間の欲求に上限ってないのかもしれないです。

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