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映画会『詩人の恋』編

今年にはいってからあんにょんパンドでは、読書会を2回開催しました。小説『大都会の愛し方』、コミック『キミのセナカ』を取り上げました。今回は、映画会ということで事前に映画館や配信で見てきてもらって交流するというスタイルで、映画会『詩人の恋』編を開催しました。
今回は16名もの方にご参加いただき盛会となりました。←今年に入って1番大人数での開催となりました。今回も"ネタバレ"を含みつつ当日の様子を再現してみたいと思います。

その前に詩人の恋の説明をしたいと思います。映画 『詩人の恋』は、2017年に公開された韓国映画。監督・脚本はキム・ヤンヒ。
出演はヤン・イクチュン、チョン・ヘジン、チョン・ガラムなど。あらすじは公式ホームページによると、

30代後半の売れない詩人。
初めての気持ちと忘れられない君。
恋とは?夫婦の形とは?幸せとはなにか?
韓国を代表する実力派俳優ヤン・イクチュンらが繊細に描く、切ない三角関係。
https://shijin.espace-sarou.com/

◆プレゼンコーナー
例によって自己紹介をした後に、プレゼンコーナー、部屋分けタイム、そして感想タイムという構成で行いました。早速、プレゼンコーナーから書いていきます。

今回のプレゼンターはグラフィックデザイナーであり、オンライン書店主でもあるlonneliness booksのカタミさんでした。カタミさんからは、この映画が日本の映画祭で初めて上映された時の話や、そこから劇場公開されるようになるまでの苦労、ヤンイクチュン演じるテッキの仕草にすっかり魅了されたことなどを話されました。
そして、各グループに分かれてのディスカッションテーマとして、この映画はクィア映画だと思うが皆さんはどう思うか?(用語の厳密な定義はさておいて)
セユンと一緒にならない現実、テッキの最後の涙はどんな感情からだったのか?
また舞台の済州島や韓国詩の魅力について教えてくださいとの提起がなされました。

◆ディスカッションコーナー
読書会、映画会では毎回グループ分けをして少人数でのディスカッションコーナーを設けています。今回もグループに分けてトークタイムを行いました。それぞれのファシリテーターにグループの様子を報告してもらいましたので、つらつらと書いていきたいと思います。


🔥監督のジェンダー
女性監督という点において、女性の描き方にリアリティがあり輝いていると感じる。
「妊娠」の捉え方やセックスの描き方も露悪的かつデリカシーのない言葉ややり取りによって表現され、そのリアリティとともに、済州島の港町という保守的な社会構造の中で、子どもが欲しいと思いながら暮らす女性の姿が悩ましいほどに生き生きと描かれている。
テッキが抱く恋心や詩の世界のロマンティシズムとは異なるもう一つの現実がうまく表現されている。「詩人の(妻)の恋」とも言える作品。

🔥「クィア」映画かどうか
ガンスン含め彼ら3人の関係はクィアなのか?しかし、そもそもクィアとは何か?という議論に移りました。
既存の枠にはまらない時にクィアという表現は便利であるという意見や、クィア映画というなら主人公たちはもっと自分本意に描かれていたのではないかという意見がありました。一方、
この映画をゲイ映画かクイア映画かカテゴリ化する必要があるのかという意見もあった。
しかし、作品をどのようにカテゴリー化するかについては、映画業界の広報戦略でもあるという意見も出た。クィアやゲイ要素がある映画を宣伝するとき、何故かは分からないが、あえてそれを出さないこともあるという。

🔥最後の涙
結末は唐突な感じも否めないが、お互いの選択が尊重される形で終わっているという意見が多かったようです。テッキの涙には、セユンとの別れの悲しみ、これからの父親としての人生に対する不安などが込められている。
あるグループからは名言が誕生しました。それは、大人になると悲しいから泣くわけではない、自分のために涙を流すのだ。それは長年の蓄積の涙で、生きている証拠だという言葉でした。

🔥その他
テッキやセユンはバイセクシュアルなのか?という話題になり、特にセユンについての話題で盛り上がりました。セユンは家庭事情からもお兄さん的な存在に頼りたいという気持ちが強いのではないか、テッキに対する気持ちは最愛かは分からない、むしろ情ではないか?という意見が出されました。さらに、セユンが他のオジサンと今後出会っていったらどうなるのか?!などという話にもなりました。

◆最後に次回予告
あんにょんパンドでは3回連続で読書会会を開催しました。5月はちょっとお休みして、6月に韓国の独立系出版社、本屋配信をしようかと企画中です。詳細はしばしお待ちください。

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