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赤い傘の男の子 #赤い傘 #シロクマ文芸部

 赤い傘を男が差していたら、どう映るんでしょうね。

 スズムラさんの赤い傘を読んでいて、思い出しました。

 子どものころ、傘でよくチャンバラごっこをしていたので、傘がどんどん折れて無くなっていくんです。
 母によく怒られました。でも、チャンバラは男のロマンだと言って、晴れの日でも、私は左の腰に傘を差していました。

 その頃、新選組の沖田総司にはまっておりまして…
新選組は、みんな剣の達人でした。
 私の傘は、「菊一文字宗則」と命名しておりました。これは、沖田総司の愛刀の名前です。

 戦国時代と違って、屋内での戦いが多かった新選組。野戦で刀を振るわないものですから、刀の使い方も変わってきます。
 よく時代劇で、上から振り下ろすというのを見ますが、実際の戦闘ではみんな野外に出てくれるわけもなく、壁やふすまに隠れて、戦わないといけません。
 そのため、屋内での戦いは刀を振り回そうとすると、天上にぶつけてしまったり、壁に遮られたりするのです。

 いつだったかは覚えておりませんが、沖田総司の三段突きに私は魅了されました。
 刀をフェンシングのように、突くのです。屋内では振るよりも突くほうが効果的なのですね。
 三段突きは、たしか、喉、心臓、腹の順番だったかと思います。
沖田総司は、この突きが無茶苦茶早くて正確だったそうです。シランケド。

 よく真似てました。傘で。
傘って、子どもには丁度良い長さの刀なんですよね。大人になると、ちょっと短いですね。

 その日も、傘で、チャンバラをしておりました。
三段突きの練習なのですが、この頃、かなり早くなっていたと思います。

 残念なことに、手を誤って、喉ではなく、相手の目を突いてしまいました。
 そのままの勢いで、口を突いて、喉を突いて…相手が気付かないぐらいの一瞬で突かないといけません。

 目を抑えて痛がる前に、喉も突かないといけないわけです。
そうすれば、相手は自分でも分からないままに、旅立てるわけなのです。
 それが、優しさといふものでしょうか。

 私の傘は、よく赤く染まっていました。
 赤い傘は、私の誇りでもあったわけです。


※傘は本当に凶器になりえますので
 決して人に向けてはいけません!!


#赤い傘
#シロクマ文芸部

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