必然のタッグ、millennium parade ×中村佳穂。/millennium parade・Belle『U』を聴いて思うこと。
さてさて、音楽の話をしましょうか。映画の話はこの前したことだし。
millennium paradeと細田守がコラボするとどんな曲ができるのか、前々からずっと楽しみにしていた。実を言うと「細田守作品の曲を常田大希が作るらしい」という情報は昨年末から流れていた。昨年末のmillennium paradeのライブで細田守からの献花が飾ってあって、目ざといファンは「これは近々細田守作品との関西コラボあるのでは」と嗅ぎ付けていたのだ。
とはいえ献花以外にコラボを想起させる情報はなく、それが主題歌なのか劇中の音楽担当なのか、そもそもKing Gnu名義なのかmillennium parade名義なのかもよく分からないままだった。(補足:常田大希はKing Gnu・millennium parade両方の主宰者である)
そのまま特に新情報もないままだったが、6月、ついに細田守の新作映画の情報が解禁された。それに伴い映画の題名や主演、millennium parade×Belle(中村佳穂)がメインテーマを担当することも分かった。(ちなみに献花の件はあとで公式ツイッターから種明かしがあった。お茶目な奴らだ)
というか
なかむらかほー! もうひとりきた天才がー!!
全く持って予想外だった。中村佳穂がmillennium paradeと組むだけでなく、映画の主演だなんて!中村佳穂新曲まだかな~とか思っていたけど、まさか映画に出てたなんて!
中村佳穂さんも僕は大好きで、初めてYouTubeでライブ映像を見たときにはすごすぎて、存在を信じられなかった。歌だけじゃなく、掛け合いの声から息遣いからなにまで人を引き込む、とんでもなく大きな存在の人だ。
いやいや最強タッグじゃん!millennium parade×中村佳穂なんて!昔で言えばミスチルの桜井さんとサザンの桑田さんがコラボしたようなもんで、漫画のようなコンビが爆誕してしまった。
ただ少し心配なのが、この二人の相性どうなん?ってこと。二人とも方向性の違う天才だから異なる才能同士がぶつかり合った結果、空中分解してしまわないか、とほんの少しだけ心配していた。
まぁでも杞憂でしたね、完全に。実際曲聴いたらそんなこと全然なかった。的外れで失礼な心配をしていた自分が恥ずかしくなった。
中村佳穂演じるすずは今作の主人公で、中村佳穂の声はすずの人となりを象徴するものとなった。彼女が歌うことですずの感情や行動に説得力が出る、臨場感が出る、凄味が生まれる。作品単体でみても映画込みで考えても素晴らしい歌だった。
それに対して、millennium paradeの音作りは「Uの世界」を象徴するものになったと思う。彼らは以前からインターネット上の世界や未来の機械知性をテーマにした曲を多くリリースしていて、(『Fly with me』とか『veil』とか)、インターネット上の仮想世界「U」がどんな世界かを表すのにぴったりの人選になったと思う。平たく言えばmillennium paradeのサウンドが入ることで中村佳穂の声がより近未来的に聴こえるようになった。
あと思ったのが常田さんって誰かが歌うことを考えた曲作りが上手いなぁってこと。常田楽曲って早い、メロディーの起伏が激しい、高いの三重苦で、素人が歌うとそりゃもう悲惨なことになるが、プロが歌うと歌い手の良さが引き立ってみえるのは興味深く思う。やっぱりking gnu含め、メインボーカルが自分じゃない曲を長年作って来た経験が今回の中村佳穂とのコラボでも活きたんじゃないかなと思う。
『U』はセールス的にも凄まじく、Billboard Japanのトップ10にもランクインし続けている。これはつまり、millennium parade・中村佳穂とこの曲で初めて出会う人がたくさんいるということだ。そこで今作で両氏を初めて知った人にお願いだが、彼らのこれまでの作品もチェックして欲しいなと思う。彼らのアーティストとしての歩みを知った上で、『U』を聴くとまた一味違った魅力があるはずだ。
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