見出し画像

短歌7 (冬の歌)

大学在学中(2016年)

積みあがる食器の一番上にある茶碗と箸を洗って使う

しらじらと明けゆく空に山影が動きたがらぬ闇としてある

振り袖でお隣家(となり)へいく慶びのお福分けなる赤飯持って

初雪の降り止んだ朝あなたにはいつも通りのオムレツを焼く

底冷えの床にて眠るきみがため白黒チェックの枕を買いぬ

特売にあらざれど買う風邪ひきのわたしの首に巻くための葱

二人前より注文を受けつける牛モツ鍋をあなたと分かつ

薄き皮まとう玉ねぎじゃがいもを煮込む   カレーは春の食べもの

酔える夜にカーテンに触れ制されぬなぜ身投げだとわかったのですか


成人式は群馬県に帰って、赤い振袖を身に着けて式典に参加した。

「式典のあとにはふつう同窓会があるよ」と美容師に教えられていたが

中学時代の友達と誰一人連絡を取っていなかった私のところへは

その知らせが無かった。

けれどもあるなら行きたいと思って、

お洒落なワンピースを用意しておいた。

そして当日、話しかけられる数少ない友達に探りを入れて

幹事を教えてもらい、その会に入れてもらった。

成人式のあとの会にはお酒が出るのが一般的だが、

未成年もいる場で中学時代の恩師を招くというものだったため、

全員ジュースで乾杯をした。

おかげで早生まれの私は嫌な思いをすることなく、

会を終えることができた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?