ふしん道楽 vol.6 窓のサイズ
28歳のとき、結婚の予定が立ち消えたので女ひとり終のすみかとしてマンションの購入を決めた。
当時の自分としてはまさしく清水の舞台から思い切りジャンプして、マッハで頭から地面に突っ込んでいくレベルの買い物だったが、そこに決めるまでにはかなりたくさんの部屋を見に行った。
大抵はすでに空いている部屋だったが、住人が住んだままの物件を見たことが一度だけある。
案内の不動産屋はカマキリにそっくりな細身の男性で、あまり多くを語らない人だったから、私は部屋に入るまで住人がご在宅であること