2019年のGOTY-踊ったり弾いたりBABAったり-
noteへの初投稿です。
普段は「雑多庵」というブログで映画、特にホラー・SF・アクション映画やアニメーション作品の紹介文を書いている庵野ハルカと申します。ご覧いただくとお分かりいただけると思いますが、まぁオタクです。
オタクの例に漏れず、ゲームも少々嗜んでおります。
コンシューマー向けがメインですが、Steamでインディー系のPCゲームをやったり、インディー系のゲームイベントに出没したりも。
そういうオタクによる極私的なGOTY(Game Of The Year)を考えたので、紹介させてください。
ベスト10+1で選出しております。
内容はこんな感じ。
1. 十三騎兵防衛圏
2. SEKIRO SHADOWS DIE TWICE
3. DANCERUSH STARDOM
4. BABA IS YOU
5. DEATH STRANDING
6. JUDGE EYES 死神の遺言
7. Ape Out
8. Cup Head
9. Melt Land
10. Butterfly Soup
次点. TRAVIS STRIKES AGAIN NO MORE HEROES
選出の基準は2019年に私がプレイした(クリアしたかは不問)、なるべく2019年内に日本国内で発売された、もしくは日本語版がリリースされたゲームとしました。
過去作も対象にしてしまうと、今年は『Call of Duty 4 Modern Warfare』(2007)や、『Gears of War』(2006)を遊び直したり、『Fate stay night(PC版)』(2004)を初プレイするなど極めて偏った過去の名作をたどる旅をしていたため、「2019年のゲーム」と表すには不適切なのです。
今年リリースされたゲームには『BIOHAZARD RE:2』『Call of Duty Modern Warfare』『Gears5』といった人気シリーズの続編・リメイクや、『ASTRAL CHAIN』『SEKIRO SHADOWS DIE TWICE』などといった大作ゲームが多く出た年でした。その中でも『SEKIRO~』は近接攻撃主体のアクションゲームにありがちなヒットアンドアウェイで少しずつ削っていくスタイルではなく、敵の攻撃をタイミングよく「弾く」ことで敵の隙を生み、一発で大ダメージを与える忍殺を狙っていくというゲームデザインが新鮮です。
弾いて隙を生むシステム自体は他のゲームでも取り入れられていますが、『SEKIRO~』のデザインはそれ自体を中核に据えるという点が斬新。このゲームにおいては防御こそが最大の攻撃なのです。手ごわい(中ボス相手に何度死んだことやら・・・)相手の攻撃を防ぎ切った後で忍殺を決められた時の爽快感と達成感は他のゲームではなかなか味わえません。
国産の大作ゲームとしては『DEATH STRANDING』が大いに話題になりました。小島秀夫監督の待ちに待った新作は配達人シミュレーター。「荷物を運ぶ、人を繋ぐ」をテーマにアメリカ大陸を西へ西へ。受け取り拒否こそないものの、荷物が壊れていると露骨に嫌な反応されるし、無茶な量の荷物も頼まれます。その度にシェルパの如き大荷物で山を登ります。雪山登山はシンドイです。靴が壊れたら足はボロボロです。
でも、歩いた道を振り返ってみてください。オンラインでつながった世界中の「誰か」の足跡があります。「ひとりだけど一人じゃない!」孤独を抱えるすべてのゲーマーに捧げられたメッセージは少ししつこかったけど、嫌いじゃないです。
他の大作系では1位に挙げた『十三騎兵防衛圏』は美しいビジュアル、時系列と視点が分散された構成の複雑さ、謎が謎を呼ぶ展開に濃厚なSF感(ビデオドロームのネタまで入れてくるとは!)と少しのノスタルジー(1980年代がメインの年代になります)が加わってとても引き込まれるものになっています。実はまだクリアしていませんが、今のところ全く文句なし、大好物です!
『JUDGE EYES』も引き込まれるという点では見事な出来。ストーリーの面白さで言えば、一番良かったかもしれません。キムタクを活かした脚本づくりが徹底できているのも好印象ですが、街を歩いていたらキムタクが不良に絡まれるという、あり得なすぎるシーンを見られるという点でも楽しいゲームでした。
インディー作品でも印象的な作品が多かった年でした。
『BABA IS YOU』の文字を動かしてルールを自ら創造するパズル、『Ape Out』の超ハイコントラストな画面とタイポグラフィの使い方とアクションに同期していくパーカッション、『Cup Head』のセルアニメーション調のグラフィックがそのまま動くインパクトと最高にスイングしているサントラ、『Melt Land』の寒天のような物体を幾何学的にデザインされたゼリー的なステージパズルなど、ビジュアル・システム・音楽がトータルでデザインされたものは小規模制作ならではな隅々まで思想が見える作りが面白かったです。
そして、評判は聞いていたものの年末にようやくプレイできた『Butterfly Soup』。インディーの多様性を象徴する一本だと思います。
アジア系アメリカ人のレズビアンの関係性を描いた作品と言うと説教臭いものをイメージしがちですが、このゲームにおいては同性愛を中心と据えておらず、毒親を持った子どもの問題、「女の子らしさ」を規範としたジェンダーロールの気分の悪さを絡めたスポーツ青春物語になっていたのが良かったです。ゲームとしては日本でも一般的なノベルゲームの形式ですが、物語やテーマの設定の仕方は個人製作ならではですね。「おおきく振りかぶって」に似ていると評判になっていますが、私は「大正野球娘。」の方が近いと思います。
3位に選んだ「DANCERUSH STARDOM」はこのランキングでは唯一のアーケードゲームです。
流れてくるノートに合わせて動くことで得点になる音ゲーですが、ボタンを押していくのではなく、全面タッチ操作可能な大きいパネル上でダンスすることが要求されるのです。リズムに合わせてステップを踏み、ジャンプ、ランニングマンまでが取り入れられた操作を極めた人のプレイは完全にダンス。ダンスや演奏ができても音ゲーは上手くできないという現象はありがちで、音ゲーはあくまでゲームという感覚でしたが、このゲームはダンスが得意な人ほど有利になると思います。これは画期的。
以上が私のGOTYです。
次点に選んだ「Travis Strikes Again」は須田剛一という人気クリエイターを中心にインディー作品とのコラボを積極的に進めつつ、帰ってきたトラヴィスの活躍をこれまたインディー的なスタイルでゲームにしたのが面白かった。やっぱりラーメン屋には締めのビールがいるだろうよ!
総括するならば、「インディー的な個性を獲得した大作と個性を極めたインディー」でしょうか。SEKIROもDEATH STRANDINGも完成度と規模感がありつつ、特殊なゲームデザインが貫徹されていて個性を感じました。
来年も面白いゲームに出会いたいものです
「シェンムー3」まだやってねぇな・・・
今後、庵野ハルカの記事を見てみたいと思った方はサポートしていただけると励みになります!サポートいただいた資金は酒代やゲーム代などに消えます。つまり、記事の充実に繋がります!