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2020年のGOTY Stay Home, Stay Punk, and Rock'n Roll!!

2020年もたくさんのゲームをプレイしました。

以前noteにも書いたように、1990年代から2000年代にかけてのエロゲーを集中的に遊んでいたのが個人的なトピックです。
1990年代というと、1992年生まれの私にとっては子どものころの話であり、ゲームを遊ぶ習慣もほとんどありませんでした。当然ながらPCゲーム、それもエロゲーとなるとその頃にはまったく触れる機会がなく、1990年代のエロゲーに関する知識を得たのも割と最近の話です。

私にとって1990年代のゲームを遊んで、その背景を調べて文章を書いたりする行為は自分の生まれたころの大人たちのカルチャーや時代を探る行為でもあり、一種の研究活動になっています。
2020年には1990年代の「美少女ゲーム」(と呼ばれた時代がありました)の制作現場をマンガにした若木民樹さん、みつみ美里さん、甘露樹さんによる同人本シリーズ『16bitセンセーション』が書籍化され、1992年PC-98向けにリリースされたエルフの名作『同級生』が2021年2月にリメイクされるというニュースもありました。2000年にコミケで頒布され大ヒットした同人ゲーム『月姫』のリメイクも2021年夏にリリースが発表されています。どうやら、この時代がまた盛り上がっているようです。2021年も引き続き調査を続けていきたいと思います。

以上のように、2020年は古いゲームばかりをプレイしてきたわけですが、それほど多くはないものの最新のゲームも遊んでいます。
game gameの忘年会放送でも話していますが、以下が個人的Game of The Yearベストテンになります。

1位 龍が如く7 光と闇の行方
2位 MECHANICA うさぎと水星のバラッド
3位 Cyberpunk2077
4位 天穂のサクナヒメ
5位 サクラ革命~華咲く乙女たち~
6位 新サクラ大戦
7位 Chicken Police
8位 Hades
9位 ドーナドーナ いっしょにわるいことをしよう
10位 ペルソナ5 スクランブル ファントムストライカーズ

10位は『ペルソナ5』の続編にあたる作品です。夏休みに再集結した心の怪盗団たちがキャンピングカーに乗って日本縦断の旅に出る様は、発売当時に『ペルソナ5』を熱心にプレイしていた自分にとっては久しぶりに再会した友人との旅行のような気分になるものでした。移動できる範囲はそれほど広くないものの、各地の街を散策したり、お土産品を購入したり、現地のスーパーで買った食材を使って料理をするといった旅の気分を盛り上げてくれる要素が疑似的な旅行気分を助長してくれました。結果的に普段の引きこもり生活を推し進める一年になった2020年にはこの疑似旅行の感覚が心の平静を助けてくれていたのかもしれません。

9位は老舗エロゲーメーカーであるアリスソフトの新作。政府の施設に破壊工作を仕掛け、道中でジンザイを拉致監禁調教してハルウリさせる少年少女の「わるいこと」はまさにエロゲーならではで、売春宿経営シミュレーションとコマンド性RPGを組み合わせたやりこみがいのあるシステムと合わせてエロゲーメーカーとしての自負と実力の高さを感じるものになっていました。

8位はまだ日本語化されていませんが、海外の賞を大量に獲得していてSTEAMの評価も非常に高い傑作として知られています。Super Giantのアートデザインのレベルの高さは以前から知られていましたが、それに加えて長期間の早期アクセスで作りこんだ完成度の高いローグライクアクションがあることでとてもやりごたえのあるものになっています。ギリシャ神話を題材に、冥界の王ハデスの息子が何度も死につつ(死んでも冥界なのでスタート地点に引き戻されるだけです)冥界からの家出を目指す物語はデスクワークで多忙な父親と放蕩息子の親子喧嘩になっており、神々も色々苦労しているのねという気分になります。

7位は動物人間たちによるフィルムノワールアドベンチャー。頭が鶏の警官コンビによるニヒルなユーモアに溢れた捜査記録は日本語訳の巧さもあって笑えること必至です。

6位と5位は別の記事で書いているので詳しくはそちらをご覧ください。

4位は長らく個人規模で開発が進められていたゲームが遂に発売、しかも空前の大ヒット。異常なほどに作りこんだ米作りで食糧確保とステータス向上を同時に達成し、それをアクションパートに役立てる特殊なゲームデザインが話題になりました。
作りこみの部分も良いと思いましたが、食卓を囲む、米を作る過程で他人との共同作業がいかに重要なのかを物語とゲームデザインの両方で描いている点が素晴らしいと思いました。とくに田植えの重労働を皆で歌いながらのりきる場面は労働と音楽の関係を的確に描けているし、わがままな子どもでしかなかった主人公が他人との生活を受け入れていく成長も描けている名場面だと思います。

3位は発売前から話題になり続け、発売後も話題を提供し続けている超大作です。レイトレーシング対応のPCで遊ぶ本作の体験はとにかく圧倒的で、驚異の密度にクラクラしながらプレイを続けています。ちなみに、私は主人公の背景設定をかなり妄想で膨らませていて、ライフパスがノーマッドで女性のような見た目のトランスジェンダーとしてプレイしているのにも理由があります(あくまで私の妄想ですが)。想像の余地やプレイスタイルに幅がある作りなのも楽しいところです。

2位は同人サークルLoser/sによる作品。3日間で崩壊するセカイをループし続ける原因を探るために音楽で相手の心を開き、情報を収集する作業がなかなか楽しかった。『Cyberpunk2077』のような汚れた道の底辺の住民ばかりがいる世界ですが、キャラクターたちに対する視線に優しさが感じられるのは良いです。宇宙規模の巨大な存在に挑む戦いの結末もどこまでも優しく、セカイが音楽によって救われるクライマックスには思わず感動しました。同サークルの前作『うさみみボウケンタン』をプレイしておくことでクライマックスの感動は何倍にもなることでしょう。いい具合に軽いノリのエロがあるのもいい!(R-18のエロゲーです)

1位は長く続く龍が如くシリーズの転換点となる作品。新主人公、新舞台、まさかのターン性RPGになるなど一気に変えてきました。それでも龍が如くらしいバカゲーっぷりは忘れていませんし、街を歩いて他キャラクターと交流する要素も健在です。横浜の伊勢佐木町や関内、みなとみらい周辺をモデルにした伊勢崎異人町は街の風景の再現度もさることながら、通り一本違うだけで雰囲気がガラリと変えて道を歩く人も変わるカオスな街並みまで見事に落とし込んでいる表面的にとどまらない再現度に驚きました。そこで繰り広げられる物語も、どこまでも真っすぐな主人公がその人たらしぶりで仲間を集めて巨悪に立ち向かっていくもので非常に熱い。移民やホームレス、性風俗業、政治家の汚職、過剰なまでにグレーゾーンを許さない集団といった現代のセンシティブな話題に切り込んでいく姿勢も素晴らしいと思いました。

以上が私の2020年ベストゲームです。お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の選定のテーマは「Stay Punk」です。
常に最低最悪を更新しているような世の中にあって、少しでも世の中を変えよう、間違っているものに正しく間違っていると言い続けることはたとえ世界が変わらなかったとしても重要なことだと思います。外に出て喋ること自体が危険な現状ならば尚更ビデオゲームという表現が強い力になります。大きなものに抗い、戦い続ける「Video Game Punk」を今後も応援していきたいと思います。

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