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多発性神経繊維種症まとめ(退院後 8)

 これまでに見つかった腫瘍を書いてみる。

(1) 喉の迷走神経にできていた神経鞘腫……1986年に耳鼻科で摘出。執刀してくれた耳鼻科の先生に、本来は脳外科で手術するものだと言われた。
まだMRIのない時代で、口の中の唾液腺から注射針で造影剤を注入してレントゲンを撮られた。痛いことも痛いが、そういうことをされるというのが恐ろしくもあり気持ち悪くもあり、開始早々気分が悪くなってしまった。検査を中断してしばらく休ませてもらってから再開した。

(2) 頚椎の腫瘍(神経鞘腫)……2004年に九段坂病院で摘出。

(3) 右小脳の腫瘍(髄膜腫)……2005年に虎の門病院で開頭手術により摘出。

(4) 左腕の腫瘍(神経鞘腫)……2005年にN先生の異動先の病院で、腕が専門の先生とN先生により摘出。このときは局部麻酔なので、手術の間中痛みがあった。メスを入れられるたびに「痛い」と言っていたら、腕専門の先生から「少し我慢してください」と言われてしまった。

(5) 腰椎の小さな腫瘍……2004年にO病院で発見され、九段坂病院でも検査したが、2017年に撮ったMRIでは小さくなっていた。小さ過ぎて先生にもよくわからないくらいだったらしい。
その後は検査していない。

(6) 右の鎖骨の上にできた腫瘍……2006年に自分で発見した。
最初はパチンコ玉ぐらいの大きさで、触るとわかるが目で見ても腫瘍があることはわからなかった。
次第に大きくなり、皮膚が盛り上がってきて、鎖骨のくぼみにすっぽりはまっているように見えた。
中井先生に見せたら、神経に付いているだろうから、取るとその周囲が麻痺すると言われた。
その後少しずつ小さくなり、移動して首の方まで上がってきたが、今はもうどこにもない。いつの間にか消えてしまった。
中井先生には、腫瘍は移動したりしないから、首の方のは別の腫瘍だろうと言われた。

(7) 右目の奥の腫瘍……2005年の開頭手術後の検査で発見された。その後2008年まではMRIに写っていたが、2010年には消えてなくなっていた。(2009年は未確認)

(8) 右の肺にある腫瘍……2010年に健康診断の胸部レントゲンで発見された。
虎の門病院の呼吸器外科で診てもらったところ、手術は簡単だが、取ると横隔膜に影響があると言われた。取った場合は神経の麻痺が半年から1年残る。また、肺活量が少なくなり、呼吸が苦しくなる。
腫瘍が大きくなって血管を圧迫すると、血流が悪くなるから顔がむくむ。手術はそれからでも遅くないので様子を見る方がいいと言われ、年1回のCTで大きさを調べていた。
2015年まで観察していたが、毎年変化がなく症状も出ないので、その後は検査に行っていない。

(9) 左小脳の腫瘍……いつ発見されたか不明だが、私が知ったのは2011年。
2012年に日赤サイバーナイフセンターで治療を受けた。その結果、いくらか小さくなり、その後は変化なし。
現在も経過観察中。

(10) 右小脳の腫瘍の取り残し……2005年の開頭手術の際、静脈にくっついていて触れなかった部分が大きくなったため、2021年にサイバーナイフ治療を受けた。
その結果、いくらか小さくなり、その後は変化なし。
現在も経過観察中。

(11) 首の皮膚のすぐ下の腫瘍……2004年に取った頸椎腫瘍とはまったく異なり、皮膚のすぐ下にできている。気がついたのがいつだったか覚えていない。
触ると柔らかいので、最初はリンパ液か何か水が溜まったのだろうと思っていたが、注射針で水を抜いてもまた溜まると聞いて放置しておいた。
中井先生によればこれも腫瘍とのこと。
少しずつ大きくなっているが、痛くもないし神経を圧迫しているわけでもないので、まだそのままにしている。
ポコっとこぶのように出ているのでみっともないが、夏でも首を冷やさないように衿のあるシャツを着ているので、人には見えないから構わない。

 以上、数えてみたら11個あった。

 このうち7個目の右目の奥の腫瘍については、発見されてから少なくとも3年間はあったのに、いつの間にか消えてなくなっていた。

 腫瘍ではなく炎症だった可能性も指摘された。
 臼井先生曰く「眼窩のは間違えやすい」そうだが、炎症だったら徐々に輪郭がぼやけて薄くなるのではないだろうか。
 何年もくっきり丸く写っていたものが、次にMRIを撮ったときにはいきなり何もなくなっていた。

 中井先生によれば、繊維質の腫瘍でも中身が液体になることがあり、そうなると縮んで小さくなるが、跡形もなく消えてしまうことはないとのこと。

 臼井先生も中井先生も、消えてなくなったのだから炎症だったと考える。
 科学的にあり得ないことは認めたくないのだと思う。

 医師でも別の考え方をする人もいる。
「そんなに何年も炎症が消えずに残っているものでしょうか?」
 私がそう言うと、サイバーナイフの主治医、野村先生は黙って首を横に振った。

 私は、世の中には不思議なことがあるものだと思っている。
 科学では解明できない現象が起きることはある。
 どう考えるかはその人の自由だが。


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