見出し画像

右目の奥の腫瘍について(退院後 1)

 右目の奥の腫瘍について、臼井先生に言われたこと。(当時の日記から)

 2005年3月(入院中)
 現時点では視神経に何の影響もないので、取らずにおく方がいい。

 2005年10月
 半年前は視神経に触っていなかったが、既に視神経を圧迫している。腫瘍が小さいうちに取った方がいい。

 2006年3月(開頭手術から1年後)
 ガラスボードにはさんだMRIの写真を眺めた臼井先生、
「何も変わりないよ。いいんじゃないの」
「え? まだ入院しなくていいんですか?」
「いいよ」
 と、あっさり。

「でも、この前は、すぐに取った方がいいっておっしゃったでしょ?」
「言わないよ」
「えー! 言いましたよ」
「言わないよー」
 と、カルテを見せて、
「ほらー、何も書いてないよ」

 いや、確かに、前回(2005年10月)は、すぐにでも手術した方がいいという口振りだった。
「だから、今日はもう入院の日取りを決められるかと思ってた」
 そう言うと、先生はおどけてガクッと机に突っ伏した。

「もー、先生、ころころ言うことが変わるんだもの。今度テープレコーダー持ってこなくちゃ」
「変わらないよ。いいじゃない、まだ大丈夫なんだから」
「それはそうだけど、この半年間、ずっと心配していたんだからぁ」
 思わず先生の腕をつかんで揺さぶってしまった。ひどいなぁ、人の気を揉ませて。

「じゃあ、今度はいつ?」
「来年でいいよ」

 というわけで、2006年は開頭手術をしないことになってホッとした。

 待っている間にガンマーナイフの専門医に話を聞きに行こうと思った。
 友人のそのまた友人が、脳幹にできた腫瘍を開頭手術とガンマーナイフの両方で取ったという話を聞き、関東病院がいいと勧められたこともある。
 1度は開頭手術と観念したが、ガンマーナイフには未練があった。

 臼井先生に頼むと、放射線では取れないよと言いながらも、関東病院の赤羽先生に紹介状を書いて、MRIも貸し出してくれた。

 2006年8月、関東病院の脳外科受診。
 赤羽先生の予約を取って出かけたのに、2時間も待たされた。
 それでも待っただけのことはあった。赤羽先生は20分もかけて丁寧に説明してくれた。
 結論としては、臼井先生と同じ意見だった。

○腫瘍の種類が特定できないので、放射線の強さを決められない。

○ピンポイントで照射すると言っても、腫瘍の周囲にかかる放射線はゼロではない。

○脳神経のうち視神経が放射線に1番弱く、腫瘍と視神経が離れていても放射線の影響は受けるのに、私の腫瘍は視神経にくっついている。
視神経が耐えられる程度の強さの放射線では腫瘍を抑えることができない。

○悪性腫瘍は放射線を照射すると小さくなるが、良性腫瘍は小さくならない。大きくなるのを抑えるだけ。

○外科的に取れないような腫瘍の場合は、やむを得ずガンマーナイフを使うこともあるが、あくまでも他に方法がないときに後遺症が出るのを覚悟で行う手段。

 臼井先生の外来はいつも混んでいてせわしなく、先生とゆっくり話している余裕がない。
 先生の方ではわかっているから説明を端折るのだろうが、ド素人の患者にはわかったような、わからないような、ということになってしまう。

 ネットや友人知人からの情報が多い分、先生の話とは矛盾するような内容も入ってくるので疑問が生じるが、赤羽先生はこちらの疑問をしっかり聞いて、わかりやすく説明してくれた。

 どの患者にもだいたい30分ぐらいかけて説明しているようで、それで2時間も待たされることになったのだろうが、落ち着いて話ができたのは良かった。
 疑問が解消され、納得できた。やはり聞きに行って良かった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?