見出し画像

壊れたドールに宿る恐怖

2019年9月に
サンリオピューロランドで開催された
「PURO HALLOWEEN PARTY
~KAWAII MASQUERADE~」

ハロウィン期間限定イベントで
【Horror Doll House】
を企画.監修させて頂きました。

日本の有名なテーマパークの1つであるサンリオピューロランドさんとキティちゃんのお家でできることは、本当に本当に貴重な経験でした。素敵なご縁に感謝します🙇‍♀️

ホラードールハウスは、【怖い】の軸で見ると
星⭐くらいです。怖いのを好きな人が見たらつまらないと感じるものだと思います。この作品は、私の怖いとは何なのかに自問自答した作品になっています。

今回の設定は映画「IT イット」とのコラボもあり、
【ピエロに呪われた少女たち】としました。

一般的には、誰かに襲われたり、暗いところに閉じ込められたり、幽霊に呪われたりすることは、万人に怖いという共通認識があり、それは間違いありません。

その中で今回は、生き続ける苦と精神的苦痛を表現してみました。

ピエロに殺された少女達は、身体を人形に作り替えられドールハウスの中に捕らわれています。ドールたちはピエロのオモチャです。彼女たちは呪われ永遠にドールハウスから出ることはできません...

彼女たちはピエロに襲われた時の恐怖とショックが脳裏に焼き付き、頭の中で何百回も殺されています。ピエロの影に怯え、頭を抱え絶望しているシーンが5分ごとにありました。

観に来たお客様に「ここに来てはダメ」「気をつけて」と半狂したりせず、警告を繰り返すのは彼女たちが完全被害者であることと、女性的な優しさを表現しています。

3体の色の違うドールが、それぞれ動いていました。
花を摘んでいるドール、化粧をしているドール、踊っているドール。呪われても尚、美しくなりたい、可愛くありたい、と願う女の根深い願望もしくは、儚い希望どちらとも解釈できますが、私は美しさもホラーの1つだと思っています。

今までピエロに殺された多くの少女たちの魂は蝶となって部屋中を飛び回っており、ドールの周りを舞いますがこの蝶も外にでることは叶わないのです。
昼間は美しく見える蝶のオブジェは、夜になると大量に光に集まるただの虫にも見えて、ゾワッとする方もいたかもしれません。

一番こだわった「助けて」

ドールは喋れないので心の叫び声が聞こえているイメージで音を録りました。ピエロの呪いで、何度死んでも生き返り、また苦しみがループし続ける....

そんな彼女たちの「助けて」は「殺して」です。生きるのが苦でしかない者への救いは、新しい場所の提供ではなく、死んでここからはやく解放されたい。を意味します。

仮面を着けたドールは可愛く無表情で、手を振る仕草はニコニコしているようにも見え、お客様から「可愛いぃ」というお声も多くありました。そぅ、人が美しさと可愛さで自分を飾るのと同じように、「怖い」を綺麗な世界で見えにくくするのが私の世界観です。

怯え絶望し、助けを求めているのに、仮面は表現を変えず身体は空のように単調に動くドール。

心と身体が一致せずに苦しみながら生きること。
自分の心に我慢をし、不満をいいながら外見だけを着飾ること。トラウマに捕らわれ、自分の力で抜け出せず死んでゆく精神。
私にとって(怖い人)の対象であり、そんな女性の生きづらさや悲しさも織り混ぜっていたり、いなかったり。

自身の精神世界のようなものをアウトプットしているものですが、私は"死"を怖いものとして描かないことが多いことがわかります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?