「口裂け女」の「正解」

たまたま映ったテレビ番組で「口裂け女」を取り上げていた。マスクをした赤いコートの若い女が「私、キレイ?」と訊いてくる都市伝説のアレだ。こちらが気を使って「はい(キレイです)」と答えると、「これでもキレイ?」とマスクを外して、耳まで裂けた口を見せられ、不快な思いをする。かと言って、「いいえ(ブスだよ)」と答えると、鎌を手に追い回され、更に困ったことになる。どちらを答えてもダメなので、正解がないと思っていたのだが、実は、あった。

ということを、この〔たまたまほんの少しだけ観たタイトルも局も知らない番組〕で知った。つまりこうだ。

番組に出演していた漫才師の錦鯉のそれぞれが、口裂け女の「私、キレイ?」に大喜利的に答えを返すことになった。まさのりさんは、例によって例の如く、全員の予想通りの「こんにちわ〜」だったのだけど、次に答えたたかしの答えが、「笑点」の歌丸さんばりの「口が裂けても言えません」だったのだ。最初はテレビの前の自分もただ「うまいねえ〜」と面白がっていたけど、ハタと気づいた。ウマイとか、歌丸さんみたいとかじゃなく、そもそも、これが「口裂け女」の「正解」、輒ち「オチ」なのだ!

きっと、「口裂け女」は、元々、『古畑任三郎』の「赤い洗面器の男」のような「ダジャレ小噺」だったのだ。それが、どこかでどうにかなって、〈本当〉の「恐怖の都市伝説」になってしまった。でも本当は、「むこうの空き地に囲いができたね」「へえ〜」(志ん生)の一族なのだ。

「21世紀になって解明された20世紀の謎」のリストに一行加えられた気分。無論、確認はしない。調べもしない。これが正解で、もう済んだ。

(2024年7月5日 穴藤)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?