右から並べるか、左から並べるか

何気なく「古畑任三郎」のDVDの背表紙を見ていて気づいた。縦書きされている第一話のタイトルが右側で、第2話のタイトルが左側になっている。他の巻も同じ。第2巻なら、第3話が右側で、第4話が左側。ところが、DVDそれ自体は、第1巻を左端にして2巻からあとを右に向かって並べている。横書きで「1、2、3、4…」と、今この画面で見えている通りに。この〔巻の並べ方〕をすると、当たり前だが、それぞれの背表紙の〔各話の順番〕が逆になる。「第2話、第1話、第4話、第3話…」と言った具合。

念のために「コロンボ」の方も確かめたら、「古畑」と同じ事態。気持ちが悪いので、DVDを右から始めて左に進むように並べ直したら、(あらまあ)すっとした。各巻の番号が「…4、3、2、1」と逆になるので、それはそれで気持ち悪いかなと思ったが、やってみるとそうでもなかった。考えてみれば、日本語の縦書きは右から左に行を並べていくのだから、違和感がなくて当たり前なのだ。

で、また気づいた。大抵2巻以上続いている漫画はどうなんだ、と。漫画の背表紙にはDVDのように「収録エピソード」が縦書きで記載されているわけではないので、本を右から並べようと左から並べようと、問題はないのだが、漫画のタイトルは大抵、縦書きだ。だったら、数字の若い巻を右に置いて、左に向かって並べていくのが、日本語の流儀ではないのか? 漫画だけではない。一般的な書籍の上下巻ものなどは、特に気にも止めずに、左から右に「上巻」「下巻」と並べていたが、実は、逆の「下巻」「上巻」の並べ方が「正解」ではないのか?

いやあ、細かいことが気になる性質たちで、こうなると、本屋や図書館の本の並べ方も「間違って」るんじゃないかと思い始めて、もう夜も眠れない始末。

で、更にもう一つ気づいた。縦書きの本を右から左に本棚に並べ、横書きの洋書(など)を左から右に本棚に並べると、どちらの場合も、「先頭」の端は、第1巻の裏表紙で、表紙の方は第2巻にくっついて見えない形になる。これは、ラーメン屋の行列が全員、自分より後ろの人の方を向いて並んでいるようなもので、不自然極まりない。だから、表紙のことを考えると、右開きの縦書きの本こそ、左から右に並べ、左開きの横書きの本は、今度は逆に、右から左に並べるべきではないのか、とまた、妙なところにハマり込む。

2022年10月21日:穴藤

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