科学は宗教の「私生児」

少し前から居る200万年後の世界に国はない。かと言って、世界政府もない。その代わりにあるのが「エンマ・サブロー」だと、親切なGuiniuGが教えてくれた。

閻魔三郎?

GuiniuGは学生服のポケットから手帳を出して、「EMMΔ III」と刻印された表紙を見せてくれた。「エンマ・サブロー」は、自動翻訳の限界だろう。200万年は短くはない。

(以下、GuinuiGとの雑談メモ)

GuiniuG:……「親子」と言っても、科学は宗教の「私生児」ですよ。「親」である宗教が、世界の現象に隠された「意図」を理解しようとするのに対して、「子」である科学は、そもそも、世界の現象のうちで「意図ではないもの」を探り出し、それにバッテンをつけるものでした。つまり、科学もまた「意図」を探り出す行為だったわけです。間接的に。だから、両者は「親子」なのです。しかし、科学は、結果として、世界の現象の全てにバッテンをつける羽目になってしまった。だから、「私生児」……いや、「穀潰しの三代目」というから、宗教の「孫」の方が適当かもしれませんね。

(『オカバヤシハルオの冒険』より)


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