演説会場

「それで結局、ここは本当に200万年後なんですか?」
「200万年後でも、200万年前でも、今が明治122年であることにかわりはないわ」
「そうですか」
「そうよ」

「所謂、イジメの正体は変態性欲なのですな。家庭内暴力も、校内暴力も、これすべて、変態性欲です。この変態性欲が発現しやすいのが、思春期であります。つまり、初めてでよくわからない。だから、こじらせてしまう…」

「誰です?」
大家たいかよ」
「何の?」
「変態性欲の」

「変態性欲も、個人の趣味の範囲で愉しむ分には何らの害もないわけです。あるいは、好きモノが集まって、同意の上で羽目をはずしても、まあ、こっそりやっている分には問題はありますまい。しかし、イジメ、家庭内暴力、誰でもいいから人を殺してみたかった…こういう変態性欲はイケマセン。つまり、ミットモナイ。しかし、気をつけてください。人前でやるからミットモナイのではありませんよ。自分の変態性欲の解消に他人を巻き込んでいるからミットモナイのです。やる側は、自分自身の変態性欲を解消できて満足かもしれませんが、やられる側はただただ迷惑なだけです…」

「私も太宰治で2時間ヤラれたことがあります」
「私はディズニーランドで半日ヤラれたことがあるわ」

「しかしここに最もたちの悪い変態性欲が存在します。みなさんもよくご存知の戦争であります。これ以上にミットモナクて傲慢不遜な変態性欲は他にはありますまい。なぜなら、戦争変態性欲者は誰一人として、自分は変態性欲を解消しているだけなのだと自覚したことがないからです。他の変態性欲者は、たとえイジメ変態性欲者でも、自分の本性にはウスウス気づいているものです…」

「そうなんですか?」
「大家が言ってるのよ?」

「彼ら戦争変態性欲者たちは、代わりに、歴史を作るだの、国家を守るだの、未来を開くだのと、ホザきノタマうのであります。この無自覚と、とんでもない勘違いが、ただただ迷惑を被るヤラれる側の人間の数を膨大なものにするのであります!」

「来てよかったでしょ?」
「ああ、まあ…」
「まあ、って何よ?」

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