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ノリでPCR検査を受けてきた。

こんにちは、あんなです。
久しぶりにnoteを書きます。

UKに引っ越してから早3ヶ月が経ちました。
言語の壁はないものの、やはり私が生まれ育ったアメリカとは違う文化があり、日々新しい刺激があります。

そんななか、やはり最も感動するのがUK行政の能力です。
UKは日本と同様、議院内閣制度のをとっていますが、同じ制度とは思えないほど、日々の生活の中で行政の役割の重要性を感じます。

UKも、コロナ対策は失敗したと言われている国です。
外食を応援する"Eat Out to Help Out"制度では、ウイルスの広がりにつながってしまったことと、経済効果が期待されたほどなかったことから批判されています。ロックダウンの決断も遅く、UKの国民保険サービス(NHS)は人で不足が酷く、医療現場の労働環境の問題も度々指摘されています。

イギリス人の友人らに聞くと皆各々にイギリス政府がいかに問題か、という話がわんさか出てきます。

確かに、私が見ていても「それはないなぁ。」「もっとうまくできそうなのに。」と思うことは多々あります。けれどもやはり、日本と比較すると評価せざるを得ないのです。

以前ご紹介したように、多くのUKの大学は月経カップを含む生理用品が無料で配布されています。私がnoteを書いた後、なんとスコットランドでは全土で女性の生理用品の配布が無料になりました。これは世界初の偉業です。
【BBC】生理用品、あらゆる人に無料提供へ 英スコットランドで世界初

そしてまた今回も、私はUKの公的扶助にお世話になりました。

なんと、私の大学では冬の帰郷に向けて、無料でPCR検査を行うことになったのです。

無料でPCR検査を受けてきた。

最初に大学から無料の検査のメールがきた時、随分と驚きました。
その内容は、この冬多くの学生が帰郷することが予測されるため、症状があろうがなかろうが、全ての学生が無料のPCR検査の対象である、というものでした。

私はこの冬、日本にも帰らないし、別の街に行く予定も無いので対象なのかどうかわからず確認してみたところ、帰郷の予定がなくても本学の学生であれば検査を受けることができるとのことでした。

これまでの授業は全てオンラインで、外出と言えばスーパーか近所のカフェくらいしかしていなかったし、全く症状が無い私でしたが、念の為、というか記念に、くらいのノリでPCR検査を受けることにしました。

検査をするには、まず特設された大学のホームページで日時の予約をする必要がありました。これは一気に多くの学生が集まらないためです。漏れが無いように検査を2回受けることが勧められたので、2つ予約を取りました。

当日会場に行くと、広々とした体育館の中にワンウェイシステムで一方通行の経路が書かれており、人が集まる場でしたが、他者と接触することなく安心して検査を受けることができました。受付で予約のページを見せると、バーコードが貼られた用紙を渡され、オンライン上で検査の登録をします。登録の際、メールアドレスを記入し、数時間以内に検査の結果がメールされるシステムです。

オンラインで登録後、とうとう検査のスペースに移動します。そこには段ボールで作られた小さなブースが20個ほど並んでおり、案内されたブースに行くと、プラスチックの窓越しに担当者の方が検査のための指示をしてくださいました。

検査は自分で行います。綿棒のような検査キットを渡され、口内の扁桃腺当たりのエリアを左右5秒ずつ擦り、次に同じ綿棒で鼻の中の粘膜を10秒擦りました。そのままその綿棒を担当者の方に渡して、検査終了です。

検査会場に入ってから出るまで、10分もかかりませんでした。
数時間後、私のもとに「陰性」通知がメールで届きました。

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同じプロセスを別日にも行い、無事二回とも陰性の結果が出ました。

ノリで受けられる大切さ。

日本ではPCR検査の数が初めから限られており、世界的にも検査数が著しく少ないです。

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検査を受けるための条件も厳しく、今回のように「症状がない」「帰郷・渡航の予定も無い」「健康」「20代」の私が日本でPCR検査を受けようと思ったら、個人営業の病院でお金を払ってしなければならないでしょう。日本で自己負担でPCR検査を受けるには、2万円近くのお金がかかります

それを今回、私は無料ですることができました。

私はたまたま陰性でしたが、コロナの怖いところは、無症状の保菌者が多いということです。自分が無症状であっても、菌を持っていれば別の誰かを感染させてしまうかもしれない。けれども、自分が保菌者であると知らなければ、気づかない間に多くの人を感染させてしまっているかもしれません。

日本国内でも多くの医療従事者の方々が、PCR検査をもっと広く利用可能にすべきだと声をあげてらっしゃる方がいますが、日本は今でも、UKのように(無料の)PCR検査を広く行うことはしていません。

今回大学でPCR検査を受けた学生のうち、私のように「記念に」受けた学生も少なくなかったようです。私はたまたま陰性でしたが、もし陽性だった場合、検査の結果を受けて自主隔離を行うことができます。ノリで受けた検査によって、さらなる拡大を防ぐことができるのです。

パンデミックの中、特に無症状保菌者がいるような菌であれば、これくらい軽いノリで検査を受けられることが、どれだけの効果を持つことでしょう。

公益的な観点からも利益は多いですが、実際検査を受けてみた私の感想としては、このパンデミックが始まって以来、なんだか初めて安心できたような気がします。
もちろん、今回の検査の性質上、過去にコロナにかかったことがあるかどうかはわからないので、現在陰性でも過去に陽性だった可能性は大いにあります。しかし、これまでなんとなく「症状ないし、元気だし、人との接触も避けてるし…」という状況的な要素で自己診断していたものが、検査の結果として陰性だと知ることができたのは、私に安堵を齎しました。

国民を安心させることができるだけでも、検査には大きな意味があると思います。(安心しましたが、今後も今までのように気をつけて生活します。)

先進国の中でも最低数のPCR検査を行い、数字を表に出さないことで無理やりオリンピックを強行しようとしている日本。
臭いものに蓋をしていては、腐敗がどんどん進んでいくだけです。
国民にとって何がベストかを考えたら、必然的に検査数を増やすことに繋がると思います。
今回の経験を経て、日本でも同じように、症状があってもなくても、健康でも、誰でも検査ができるようになることが必要だと改めて感じました。

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