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【エッセイ】SUPER BEAVERのライブに祖母を連れていきたかった話。

先日、大阪城ホールにて行われたライブ「SUPER BEAVER 都会のラクダSP 〜 愛の大砲、二夜連続 〜」に行ってきた。

元々祖母を連れていく予定だった。
「ロックバンドのコンサートにおばあちゃんを!?」と思われるかもしれないが、SUPER BEAVERの曲は年代を越えて響くはずだと確信していたので布教したところ、見事にはまってくれたのだ。

冗談交じりで「冥土の土産に初体験してくるわ!」と意気込み、アレクサで曲を予習して歌詞を懸命にメモしている祖母をみていると、私まで嬉しくなった。

だが、祖母を連れていくことは叶わなかった。
脊椎管狭窄症、坐骨神経痛、椎間板ヘルニアなどを発症し、歩行がスムーズにできなくなってしまったのだ。
とてもライブに行けるような状況ではない。

7年前、大阪城ホールで行われた大学の入学式に、大阪に住む祖母は来てくれた。
入学式とは全く違う大阪城ホールを体験させてあげたかったな、と思う。
ステージからのあのまばゆい光、熱量、観客の一体感を。
最近身長が縮んで140㎝台になってしまった祖母なので、吹っ飛んでしまうかもしれないが(笑)

***

SUPER BEAVERの曲は年代を問わず人を魅了すると書いたが、曲によっては長く生きている人ほど染みるものもあるのかもしれない。

祖母が特に気に入っているのは『27』という曲。私も大好きな曲だ。

歌詞をちょっとだけ抜粋して引用しようかと思ったが、すべてが素敵な歌詞すぎて一部分を選ぶことができない。
ええい、前半を長々と引用してしまえ。

ロックスターは死んだ まだ僕は生きてる
母が僕のことを産んだ 幾つのことだっけ
少しずつ追いついていく 少しずつ追い越していく
優しい人でいたいな 大人になったんだ
許せることが増えた 譲れはしないけど
父と似た自分を知って 嬉しいと思った
少しずつ受け止めていく 少しずつ受け入れていく
守れる人でいたいな 大人になったんだ
時間が解決してくれる もう その通りだと思う
でも 正しくは 生き続けている 自分が導いている
この世の終わりと思った 別れもあったな
もはや終わればと思った 挫折もあったな
でも まだ終わっていなくて まだ終わらせてはいなくて
笑い話にできたとき 大人になったんだ

24歳の私の心にも十分に響く歌詞である。
ライブの3曲目でこの歌が歌われたとき、ぽろぽろと涙が出てきて止まらなかった。

だけど84年間生きて、祖父を含む大切な人とのたくさんの別れを経験してきた祖母は、この曲を聴いて浮かぶ思いが私よりずっとずっと多いんだろうと思う。

***

「親孝行したいときに親はなし」と言うが、たとえ生きていても、今回のように病気や体力的な問題で出来なくなるおばあちゃん孝行もある。
このことを忘れずに生きていかなきゃなと思った。

来年にはきっと良くなっていると信じて、またライブのチケットを申し込もう。

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