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*あなたとわたしの て

ずっと 手 を握ってた

どんな時も お互いに
いろんな握り方で。

握っていない方の手は
夢と現実
を握ってた。

夢と現実は
毎日姿を変える


柔らかかったり
硬かったり
針のように 鋭かったり

だから たくさん怪我をしてた。

でもその度に絆創膏を巻いて
また 夢と現実を握った。

でも ある日

片方の女の子が
『 両手を使いたい』
と、言い出した
『だから、握っている手を離してほしい』
と。

言われた男の子は
いつもより強くそして優しく 
女の子の手を握った。

でも女の子の手は
するり と離れた。


女の子は
両手で夢と現実を
握ってみたかった。

たくさん怪我をした
ひとつの手を
自分で 治す力が無かったから。

でも、
両手を使ってみても
怪我を治す事は出来なかった。

何回、絆創膏を巻いても
汗ですぐに剥がれてしまう。


女の子は、諦めてしまった。

うまく絆創膏を貼れないまま
怪我したひとつの手で
また、夢と現実を握り始めた。

今まで 男の子の手を
握っていた手には
たくさんの飾りをつけた。
たくさん色を塗った。
たくさんの物を握った。

すると
その手もだんだん怪我をしてしまう。

このままじゃ
両手とも怪我をして
両手とも治せないまま

なにも握ることはできない。

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