ホラー創作「東京都錫見原市は存在しません」について、感想など(2023/5/5更新)
Twitterのタイムライン上で展開されるという作品の性質上、日を追うごとに情報量がかなり増えてきています。この感想も4/27の段階で更新するつもりだったのですが疲れて書くのを中断し、その後何日か遠出する用事がありスマホをあまり見ずにいたところ話が一気に進んで新たな情報が増えたので更にまとめるのが難しくなりました。個人のブログ記事形式でこの作品を俯瞰的にまとめるのは大変だと思っていたところ、ありがたいことに非公式wikiを立ち上げた有志の方がいらっしゃいました。
作者のアカウントを見たところ「作品の性質上、作者本人が公式まとめを堂々と提示するわけにもいかなかったのでこういうのは嬉しい」という風に発言していました。誰でも自由に加筆・編集できるようになっています。今回この感想日記を書くにあたりこのwikiを紹介させてほしいということで作成者の方に一応許可を得ました。
↓wikiのトップページにある『錫見原市探索の手引』は別の方が書いたものですが、初見の人が作品のあらましや楽しむポイントを掴みやすいように分かりやすくまとめられています。
その他、ハッシュタグ「#錫見原感想」で検索すると色んな人の感想や解釈が読めます。togetterまとめも見かけましたが、Twitter上に展開される作品をまとめるにはちょうどよくて見やすいなと思いました(作者の方もこれはありがたいと言及していました)
本作品の醍醐味はTRPGのような楽しみ方ができるところだと思います。読者が作品アカウントに話しかけることによって新たな情報がもらえたり作中人物の行動に影響を与えたりします。
2023/4/17に私が書いたメモ
【ツイートから得られる情報や推測など】
・錫見原市に住んでいる人で、錫見原市が存在しないことに気づいているのはアカウントの中の人(以後中の人と表記)だけっぽい。中の人の失踪した兄も知っていた可能性が高いらしい。
・いま錫見原市では各所で異様に損傷した人の遺体が頻繁に見つかったり、行方不明者がとても多かったりと不穏な状況。高校敷地内で人間や他の動物の塩漬けにされた眼球がみつかったり、公共コインロッカーに行方不明者とDNA情報の繋がりがある嬰児の遺体がいくつも突っ込まれていたり、神社の鳥居で首吊りをする人が複数いたりなど猟奇的な事件が多い。中の人を含む市民は、物騒なことだという認識はしているもののあまり動じていないっぽいので不気味。
・錫見原市では21時から22時の間には就寝し、夜間は外出しないことが推奨されている。コンビニの夜間勤務に従事しているなどでこの条件からはずれた生活を送る市民もいるが、行方不明になる確率が高いらしい。夜はしっかり眠りについていることが重要らしく、市外からの観光客を多く受け入れている旅館には「寝つきが悪いなどの睡眠障害を持っている人はお声がけ下さい」「もし夜中に目が覚めたらフロントに申し出てください」という注意書きが貼ってある。中の人は睡眠に難がある人はそもそも錫見原市に来ないほうがいいし、健康な人もいちおう睡眠改善薬のたぐいを持っていたほうが安全だと語る。夜間に活発化し人をさらうなどの害を加えるバケモノがいるのだろう。(※後述)
・市内にいるカラス、犬、牛などの動物は喋る。市民はそれを普通のことと認識している。現時点の印象だと、カラスは人間に友好的、犬はまぁ友好的、牛は要注意(危険)なのかなという感じ。見た目も我々が認識しているものとは少々違っていて、カラスは3本脚のヤタガラスっぽい形態だったり牛の脚の数は6本で爪が尖っていたりする。犬の説明だけ「かわいい」「ダックスフントみたいなのもいる」だったのが和んだ。神社の行事などでカラス関連の存在を祭っているのと、日常的にあいさつしたりエサのやりとりをしている描写から人間にはわりと優しいのかなと推測した。不審な事件が起きた場所周辺でカラスが増えたりするので最初こわいのかなと思ったけど、人間のために警戒して見守ってくれているともとらえられる。残された人間の遺体に群がって食べていたりするのも、カラスが犯人なのではなく何者かが殺して放置したのを習性に従って食べてるだけなのかな…?牛に関してはガラの悪い怖い喋り方というのと、ある牧場では喋る牛が産まれたら不吉な予言をしてすぐ死ぬというのがまんま件(くだん)じゃんというのが印象に残っている。最近そういう喋る牛が産まれたら「カラスを殺せ」としか言わないらしい。動物同士でなんか対立しているのかな。これは重要な情報なのかどうかわからないけど、カラスは駅員と喧嘩をするが犬は駅員と仲がいいそうだ。
【気になること】
※人間のバラバラ死体の詳細について中の人に尋ねたことがある。断面は滑らかだったり噛み跡が残っていたりと、場合によっていろいろらしい。怖いし心配ですねというと「物騒ではありますけど、人間のしわざじゃないならルールが分かっているので問題ありません。厄介なのは人間がやっている場合です。人間は目的のためにルールを無視しますから」と返答されたのがなんとなく引っ掛かっている。怪異的な存在や何か企んでいる人間は複数存在する?
【おすすめの辿り方】
虚心坦懐に、いちばん古いツイートから順に読むといいです。他のユーザーが質問や雑談を投げかけてそれに返答しているのも読むと新たな発見があったりより詳しい状況が分かったりするので良いと思います。たまに引用リツイートでよくわからない発言をしている謎のアカウントが存在しますが、そっちの動向もチェックするとおもしろいかも。もしかして作品関連のアカウント、他にもあったりするのかな。
2023/4/27に私が書いたメモ
【主なできごと】
話の流れで、中の人=香織という名の女子高校生であることが判明した。
神社の人いわくカラスに好かれているからという理由でお祭りの小夜姫という重要な役の候補者(ほかにも候補者は複数名いるらしい)に選ばれるが、それ以来彼女の身近なところで異変が起きるようになる。それぞれ違う日の夜に実家と避難先の家で怪異の襲来に遭うが、まず実家に襲来したのは「牛の喉」という音声が主体の怪異で、襲う対象の家族など身近な人の声を真似て接近してくる。くわしくは不明だが捕まったらただでは済まないっぽい。爆発音などのデカい音で撃退できる。後日避難先の家で襲ってきたのは「妊婦」と称される腹部が膨らんだ人型の怪異だが、これはこの作品がスタートした2023年3月19日ごろから言及されている存在で、見かけたらとにかくすぐ逃げろと市内では周知されている。特筆すべきは「妊婦」と一緒に鈴美(香織の友人で、長期入院中に行方不明になっていた)もいたと香織が発言していることだろう。いずれの日も、神様らしい千里眼を発揮した明屋慈(カラスの神様?)の計らいで駆けつけた友人の響介と菅原に助けられている。この事件のあと、錫見原市関連のアカウントは「東京都錫見原市は存在しません(=香織)」「明屋慈(カラスの神様?)」に加え「井森響介(場合によって彼のいとこや菅原や保護者のおじさんと共用)」も稼働を始めた。作者のプロフカードに話の流れによっては関連アカウントが増えることもあると断り書きがあり、それに沿った形の変化である。読者がリアルタイムで助言や提案や感想を投げかけることによって話の流れが変わるところもこの創作のおもしろさゆえどんどんリプライをくださいとのことなので、本作を追っている人は疑問などについてリプライを送ってみることをおすすめする。
【気になる人・動物・怪異などについて】
・香織(メインアカウントの中の人)
…明屋慈(=カラスの神格あるいは市内のカラスの総体?)に好かれている。よくお菓子をあげているからかと思ったが、井森響介によると市内のカラスは邪心をもって接近する者からの食べ物は拒否するそうなのでそれは主な理由では無いようだ。明屋慈は「香織は食べ物をくれるが見返りを求めて願い事をしてこないのでいい子だ」と発言していたことがあるので、無欲なところが好かれているのかもしれないし、それ以上の理由もあるのかもしれない。なんらかの理由で入院していた過去があるようだが、今はふつうに高校生活を送っているようにみえる。
・井森響介、菅沼(香織の友人)
…明屋慈は彼らにおおむね友好的で手助けをすることもあるが、香織の友人だから優しくしているような印象を受ける。響介は好奇心旺盛かつ大胆な性格で、市内にある神社のひとつである錫見神社の息子。もっぱら面白いからという理由で市内の怪異について調べまわっているが、ここ1~2年不眠症気味とのことで、気になる。21~22時以降起きていると高確率で行方不明になるという錫見原市においては致命的だ。何かの代償で不眠になっているのではないかという他の人の見解が気になっている。明屋慈のもとにある以前彼が書いたと思しき絵馬には「香織ちゃんの病気がよくなって一緒に海とか山とか温泉とかに行けますように」といった内容が記されている。菅沼は香織・響介とは別の高校に通っている。ちゃんと読み返していないが、農業高校に在籍していて日頃から牧場で作業しているとかだった気がする。動物の世話に長けている。がたいがよく体力がありバイクに乗りピアスをつけていて寝つきが異常に良い。香織を助けるために前述の通称「妊婦」をバイクですり潰すようにして退治した。
・鈴美(香織の友人)
…くわしくはわからないが、「家にも学校にも居られないから」という理由で長期入院していた。香織が鈴美のお見舞いに行った際、どうしても目当ての病室にたどり着けないという異変が起き鈴美はそのまま行方不明に。病室を探しながら電話をかけたところ病室の番号を繰り返すばかりだったかと思うと突然「おまえのせいだ」「早く死ね」といった旨の暴言を最後に通話は途切れてしまった。明屋慈は鈴美に対してはよくばり・ぜいたくという言い回しで怒りを表明している。香織がやたらと好かれていることの逆で考えると、お願い事が多すぎて怒りを買ったのかもしれない。明屋慈アカウント最初のほうの投稿に「香織とコウキさん(香織の行方不明中の兄)と一生いっしょに幸せに暮らしたい」と記された彼女の絵馬が確認できる。これだけだとさほど欲張りな願い事とも思えないのだが、この絵馬以外のところで何かあるのかもしれない。強いて言えば、10代女子の友人兄妹に対する想いにしてはちょっと重たいんじゃないかというのが気になるぐらいか?ちなみに明屋慈のアカウントに鈴美のことを言っても「よくばり」「ぜいたく」などと返ってくるだけで今のところ詳細はわからない。避難先の香織を襲った通称「妊婦」と共に行動していたので、怪異側の存在になってしまったことも考えられる。この騒ぎの後、鈴美の姿は忽然と消えてしまい行方はわかっていない。
・明屋慈(カラスの神格、あるいはカラスの集合体?)
…井森響介によると正式名称は明屋慈畢愎神で、市内にある波羽神社というデカい神社の祭神。なんか難しい漢字。畢は「終わる・ことごとく・全て」などの意味があり、愎は「そむく・逆らう」などの意味がある。畢愎という字の並びは「全てに逆らう」「反逆を終わらせる」などの意味が考えられるが、現時点ではどう解釈すべきかわからない。仮に「全てに逆らう」で解釈すると、あらゆる自然の摂理への反逆を可能にしてしまう神様ということで、本来は重病で死んでしまうはずの人間を元気に生きていることにしてしまえるのでは?というところまで考えて怖っ。と思った。
…他にもいろいろ気になることはあったのだが、ここまで書いて疲れてギブアップした。あとはwikiの追記編集に加わらせてもらおうと思う。作品が完結したら全体を通しての感想とか書くかもしれません。
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