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与太話

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他愛もない話
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2023年3月の記事一覧

行って来て行って来てまた行く

 疲れていると強迫症的な確認行動が増える。出かけたのにガスの元栓やエアコンの消し忘れがないか不安になって途中で帰宅してしまったり、ドアの施錠をしたか何度もドアノブを確認しないと気が済まないといった行為が例としてよく挙げられるが、私は少し前に別棟にある作業室の消灯と片付けをちゃんとやったか確信が持てなくなり結局三往復ぶん階段の昇り降りをしたので健康になってしまった。えてしてこういう時はちゃんとやって

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3月とライ麦畑

サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』は少年が多感さと自意識に苛まれながら外界に対峙する葛藤を描いた青春小説である。主人公の少年が自分の遍歴や過去の人間模様をあれこれと語ったすえに「思い出話なんてするもんじゃないよ。どんなに気に食わない相手だったとしても、そいつが今ここに居ないことがさびしくなっちゃうんだから」というふうなことを言って話を締めくくるのだが、そこが味わい深くて折にふれて思い出す。3月

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脇道に憩う

 本を読んでいると本筋ではない箇所に妙にひっかかり、そこを起点に考えが広がることがあっておもしろい。

『スモールビジネスの教科書』著者・武田所長 実業之日本社
 普段の自分ならまず手に取ることはないだろうゴリゴリのビジネス書なのだが、以前twitterで引用されていた文がずっと気になり1年近く迷った末に買った。気になった文というのが、79ページ目にある
「私は社会人を対象とした習い事ビジネスに携

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wondering

最近は不思議で不気味なテイストの動画を公開しているYouTubeアカウントを好んで観る。雨穴やバーバパパ(紛らわしいがここではフランス絵本のキャラクターではなく日本の動画投稿者)のミュージックビデオ、日常生活の死角で生じたバグのようなものやどこか別の世界で起こった出来事をテーマにした動画が特に気に入っている。こういった作品のコメント欄を眺めていると、「精神的につらくて何も観たり聴いたりする気が起き

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春、三月(ここで二拍おく)

 小学生の頃、三月になると卒業式の予行演習と称し在校生一同が卒業生に向けはなむけの口上を述べる練習をさせられたものだ。今もあるのか分からないが、(代表者)六年生のおにいさんおねえさんご卒業おめでとうございます(全員で声をそろえて)「「「「おめでとうございます!」」」」
みたいなやつだ。授業を何回かつぶしてまでこれの練習をさせられた記憶があって、一連のスピーチの出だしが「春、三月」であったこと、指導

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