2002年地学B(固体地球分野)

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問1で、地球が自転していることによって生じるのは遠心力。よって答えは3。

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問2で、ジオイドについて誤っているものを選ぶ。1)ジオイドのかたちは人工衛星の軌道解析から求めることができる。2)ジオイドに直交するものは、重力。3)重力は上空へ行くほど小さくなる。4)地球の表面上にあるものには、地球の引力と自転による遠心力の二つの力を合わせた重力が働いている。水などの流体は、重力によって移動し、重力とのバランスがとれた場所に落ち着く。「ジオイド」にもこれに応じた起伏があり、「ジオイド」の起伏ともっとも良くあう回転楕円体と比べたとき、 「ジオイド」の凹凸(回転楕円体から測った垂直高)は最大約±100mに達する。

よって答えは4。

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H:標高、HE:楕円体高、N:ジオイド高

参考:ジオイドについて(http://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/geoid.html)


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問3で、地球は赤道方向に膨れた回転楕円体で近似されるので、曲から赤道に向かって中心からの距離は大きくなる。重力は、問1で答えたように引力と遠心力の和である。遠心力は赤道上で最大になる。ベクトルの和を考えれば、引力が同じ場合、遠心力が大きければ重力が小さくなるのが直感的にわかる。よって答えは2。

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地球の形
19世紀から現在まで、三角測量、重力測量、人工衛星の軌道解析などの結果をもとに、現実の地球の形状に最も近い回転楕円体、すなわち地球楕円体が求められてきた。
回転楕円体の形状は赤道半径a と極半径b で決まる(上図)。
一般には、b の代わりに、f =(a -b )/a で定義される扁平率f を用いる。
概略値はa が約6,378km、f が約1/300である。
肉眼では、扁平率が約1/300の回転楕円体を球と区別することはできない。
一方、現実の地球ではa-b の値は約21kmとなる。
測地学において、これは非常に大きな値である。扁平率1/300のわずかなつぶれ方が、地球に対しさまざまな現象をひき起こす。画像6

重力
地球は自転しているため、「重力」は、「引力」と「遠心力」を合わせた力になる。
遠心力は赤道上で最大になる。ベクトルの和を考えれば、引力が同じ場合、遠心力が大きければ重力が小さくなるのが直感的にわかる。
北極で50kgだった人が、「同じ計り」に赤道上で乗ると、50kgの約0.5%減ったように計られる。
ものが「金」の場合だったら大きな損をしてしまうかもしれない。
そこで、この様にものを計る場合(計る道具)には、場所による重力の補正をしている。

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問4で、震度について。震度とは観測点での地震の揺れの程度を示したもの。よって答えは3。

問5で、図1より震央距離100㎞のところで震度はM6で2、M7で4、M8で6と読み取れる。よって答えは2。

問6で、図2より100kmくらいの範囲にあるのは震度4と読み取れる。よって図1で100㎞で震度4になるのはM7。ゆえに答えは3。

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問1で答えは4。
解説:
地層境界線と等高線との交わりをまずはチェックする。

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地層C と地層A の境界線は明らかに150m の等高線と重なっている。→地層C は水平層。選択肢は4か5。
地層A の泥岩層と等高線の交わり方を見ると尾根地形で等高線と逆であることから、地形 の傾斜と同じく北に傾斜していることが分かる。よって4を選ぶ。

問2で、侵食を受けたAの上にCが堆積しているのだから、これは不整合という。答えは3。

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問3で、地層A はアンモナイト(中生代)、地層B はフズリナ(古生代)、地層C はマンモス (新生代)とわかるから、答えは3。

問4で、植物には炭素が含まれている。そして新生代と言うことで半減期が短いものが適して いるから、答えは2。
それぞれの半減期は
(1)40K 1.277×10^9年
(2)14C 5730年
(3)238U 4.468×10^6年
(4)87Rb 4.923×10^10年

問5で、 断層の走向は東西で傾斜が南へ45 度。いま標高50m のところに表れている。1と2と3は標高250m、4と5は300mである。南へ下がっているのだから、今出ている位置より南では 標高が50mよりも高いので、現れない。よって3,4,5は無い。北へ行くと高さが100m 上がると北へ水平距離約140m 行ったところに出るはず。つまり、北へ水平距離140mでは標高150mのところに出て、280m行くと標高250mのところに出る。地図でだいたいの距離を測ると、水平距離で280m 北にあるのは地点1となる。

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問6は誤っているものを選ぶ。地層は逆転が無ければ下の地層が古い。よって2は誤り。

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問1で、沈み込み帯で発生する玄武岩質マグマの成因を選ぶ。まず、沈み込み帯である必要から、1(これは中央海嶺)と2(ホットスポット)は×。3は沈み込み帯、4はプリュームだから、3が正解。

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問2で、主な火成岩の特徴は以下。これによるとデイサイトや流紋岩は、4となる。

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問3では、二酸化ケイ素(SiO2)が多い石は、鉄、マグネシウムが少ない。 よって1か3。問2 より、流紋岩はCa に富む斜長石ではなく、Na に富む斜長石が多いこ とより、SiO2 が増えるとNa も増える。よって、3。

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問4で、堆積岩の続成作用に関係しなさそうなものは2。水は必須、二酸化ケイ素も必須、酸化カルシウムも必須。

問5で、広域変成作用について。片理の発達した結晶片岩ができる。よって答えは3。

ヒスイ輝石や藍晶石は低温高圧、珪線石は藍晶石より高温で生成される。

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深さが増すほど高圧になる。ホルンフェルスは貫入するマグマの熱によって変成させる接触変成岩である。ホルンフェルス中(特に泥質ホルンフェルス)に特徴的に見られる鉱物として、菫青石、紅柱石、珪線石などがある。これらの鉱物は、形成する温度圧力条件が決まっているものが多い。黒雲母は特徴的なものではない。

問6は、セメント原料の鉱床は石灰岩。石灰岩は炭酸カルシウム(方解石)を50%以上含む堆積岩。 サンゴやフズリナ、ストロマトライトなどの炭酸カルシウムの殻を持つ生物の死骸が堆積してできた生物堆積岩の石灰岩と、水から直接炭酸カルシウムが沈殿してできた化学堆積岩の石灰岩との両方が存在する。 石灰岩を構成する炭酸カルシウムは、二酸化炭素を含んだ雨水に溶けやすく、一般的に地表での風化・侵食速度は他の岩石よりもはるかに速い。大理石は石灰岩が接触編成を受けたものなので成分は同じ。

よって答えは2。放散虫が特徴的に多い岩石はチャート。



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