2022年大学入試共通テスト 地学基礎

第1問 次の問い(A~C)に答えよ。
A 固体地球に関する次の問い(問1・問2)に答えよ。

問1 次の図1に模式的に示した断層の種類と,この断層の周辺の岩盤への力のはたらき方との組合せとして最も適当なものを,後の1~4のうちから一つ選べ

基礎画像1

 断層の種類  カのはたらき方
1 正断層    東西方向の引っぱり
2 正断層    東西方向の圧縮
3 逆断層    東西方向の引っばり
4 逆断層    東西方向の圧縮

答えは4
断層の基本的なパターンは引っ張りの正断層、圧縮の逆断層と理解する。この図は片方がずり上がっているから逆断層

画像2

画像3

画像4

問2 次の図2は,地球の表面から深さ数百㎞までの内部を,流動のしやすさの違いと物質の違いとでそれぞれ区分したものである。図2中のa~dに入れる語の組合せとして最も適当なものを後の1~4のうちから一つ選べ。

基礎画像2

   a         b        c        d
1 地殻       マントル     リソスフェア   アセノスフェア
2 地殻       マントル     アセノスフェア  リソスフェア
3 リソスフェア   アセノスフェア  地殻       マントル
4 アセノスフェア  リソスフェア   地殻       マントル

答えは3
まず流動のしやすさで分けるのは上からリソスフェア、アセノスフェア
物質の違いで分けるのは上から地殻、マントル

B 地層と化石に関する次の文章を読み,後の問い(問3・問4)に答えよ。

次の図3は,ある地域の地質を模式的に示した断面図である。この地域では,地層Cが花こう岩Aと地層Bを不整合に覆っている。地層Bは,石炭の層を挟む泥岩からなり,古生代後期の植物化石を含む。ただし,地層Bは花こう岩Aとの境界付近ではホルンフェルスになっている。地層Cは.石炭の層を挟む砂岩からなり、その下部にはカヘイ石(ヌンムリテス)の化石を含む礫が含まれる。また,断層Dが認められる。

基礎画像3

問3 地層Bが堆積してから地層Cの堆積が始まるまでの間に起こったできごとの説明として誤っているものを,次の1~4のうちから一つ選べ。
1地層Bが断層Dの活動によってずれた
2地層Bが傾斜した。
3地層Bに花こう岩Aが貰入した。
4地層Bが侵食作用によってけずられた。

答えは1
問題文から
地層Cが花こう岩Aと地層Bを不整合に覆っている。→ AとBが堆積したのちCが堆積
地層Bは,石炭の層を挟む泥岩からなり,古生代後期の植物化石を含む。ただし,地層Bは花こう岩Aとの境界付近ではホルンフェルスになっている。
地層Cは.石炭の層を挟む砂岩からなり、その下部にはカヘイ石(ヌンムリテス)の化石を含む礫が含まれる。
断層Dが認められる。→ 断層Dは地層Cもずらしている。よってCの堆積のあと活動

問4 上の図3に示される地層Bと地層Cの石炭の層から産出する可能性のある化石の組合せとして最も適当なものを,次の1~6のうちから一つ選べ

   地層B      地層C
1 メタセコイア  フウインボク
2 メタセコイア  クックソニア
3 フウインボク  メタセコイア
4 フウインボク  クックソニア
5 クックソニア  メタセコイア
6 クックソニア  フウインボク

答えは3
問題文から、地層Bは古生代後期の植物を含み、地層Cはカヘイ石を含む。カヘイ石は古第3紀。
ここに出てくる化石は、メタセコイア(新生代)、フウインボク(古生代石炭紀)、クックソニア(古生代デボン紀)
よって地層C該当するのはメタセコイア。地層Bは古生代後期だからフウインボク

C 鉱物と岩石に関する次の問い(問5・問6)に答えよ。

問5 次の文章中の[ア]・[イ]に入れる語の組合せとして最も適当なも のを後の1~4のうちから一つ選べ。

火成岩をつくっている鉱物は,有色鉱物と無色鉱物に分けることができる。これらを比較したとき鉄やマグネシウムをより多く含むのは[ア]である。また.マントルの上部を構成する岩石は.主として[イ]からなる。

   ア     イ
1 有色鉱物  有色鉱物
2 有色鉱物  無色鉱物
3 無色鉱物  有色鉱物
4 無色鉱物   無色鉱物

答えは1
鉄やマグネシウムをより多く含むのは[有色鉱物]
マントルはかんらん岩。これは有色鉱物のかんらん石が主。

問6 高校生のSさんは,共通点・相違点の視点から岩石の特徴を比較する課題に取り組んだ。次の図4は,チャートと石灰岩を比較したものである。円が重なっている部分に共通点が,重なっていない部分に相違点が示されている。次ページの図5は,図4と同様の表し方で,花こう岩と流紋岩を比較し たものである。図5に示された特徴a~cに当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを,後の1~4のうちから一つ選べ。

基礎画像4

基礎画像5

   特徴a       特徴b        特徴c
1 等粒状組織を示す  石英を含む     斑状組織を示す
2 等粒状組織を示す  かんらん石を含む  斑状組織を示す
3 斑状組織を示す   石英を含む     等粒状組織を示す
4 斑状組織を示す   かんらん石を含む  等粒状組織を示す

答えは1
花こう岩:等粒状組織を示す
流紋岩:斑状組織を示す
共通しているのは酸性岩であること
よって石英を含む

第2問 次の問い(A・B)に答えよ。

A 梅雨期の天気に関する次の文章を読み,後の問い(問1・問2)に答えよ。

日本付近の梅雨前線は,暖かく[ア]太平洋高気圧と,冷た<[イ]オホーツク海高気圧の境界に形成される。次の図lは,梅雨期のある日の地上天気図である。この天気図から判断すると,梅雨前線の北側のA点では[ウ]の風、南側のB点では[エ]の風が吹くと考えられる。

基礎画像6

図1 梅雨期のある日の日本付近の地上天気図
x印は低気圧および高気圧の中心位置を,数値はその中心気圧(hPa)を示す。

問1 前ページの文章中の[ア] •[イ]に入れる語の組合せとして最も適当なものを,次の1~4のうちがら一つ選べ。

  ア    イ
1 乾いた  乾いた
2 乾いた  湿った
3 湿った  乾いた
4 湿った  湿った

答えは4
日本のまわりの高気圧
太平洋高気圧:高温・多湿
シベリア高気圧:低温・乾燥
オホーツク海高気圧:低温・多湿

問2 前ページの文章中の[ウ]・[エ]に入れる語の組合せとして最も適 当なものを,次の1~4のうちから一つ選べ。

  ウ    エ
1 北寄り  北寄り
2 北寄り  南寄り
3 南寄り  北寄り
4 南寄り  南寄り

答えは2
風は高気圧から低気圧に向かって吹く。
梅雨前線では二つの高気圧の勢力が拮抗している。

B 津波に関する次の文章を読み,後の問い(問3)に答えよ。

次の図2は,ある海域の鉛直断面を示している。この海域のX点で津波が発生し,海岸のA点まで伝わる場合を想定する。津波の伝わる速度は水深によって決まり,X-B間では水深2000 mに応じた速度で伝わる。津波が発生してからB点に到達するまでの所要時間はおよそ[オ]分である。その後,津波はB-A間を水深150 mに応じた速度で伝わる。津波がB点に到達してからA点に到達するまでの所要時間はおよそ[カ]分である。

基礎画像7

問3 次の図3は,水深と,ある距離を津波が伝わるのに要する時間との関係を示している。図3に基づいて,前ページの文章中の[オ]•[カ]に入れる数値の組合せとして最も適当なものを,後の1~4のうちから一つ選べ

基礎画像8

   オ      カ
1  6    22
2  6    43
3  12  22
4  12  43

答えは3
水深2000mで水平距離が100㎞だからX-Bはグラフから12分とわかる。その後水深150mで水平距離が50㎞だからB-Aはグラフから22分とわかる。

第3問 太陽と太陽系に関する次の問い(A· B)に答えよ。

A 太陽に関する次の文章を読み,後の問い(問1・問2)に答えよ。

高校生のSさんは,太陽の主成分は[ア]であることを学んだ。さらに, 太陽の黒点は太陽の自転とともに移動すると聞いたSさんは,その様子を実際に確かめてみたいと考え,(a)天体望遠鏡の太陽投影板に映した黒点を観察する ことにした。

問1 上の文章中の[ア]に入れる元素名と,その元素の起源について述べた文の組合せとして最も適当なものを,次の1~4のうちから一つ選べ。


元素名     起源
1 水素  太陽の内部で核融合反応によりできた。
2 水素  ビッグバンのときにできた。
3 炭素  太陽の内部で核融合反応によりできた。
4 炭素  ビッグバンのときにできた。

答えは2
太陽の主成分は水素。核融合によってエネルギーを発する。
水素はビッグバンのときにできた。

問2 上の文章中の下線部(a)について,Sさんは6月上旬に,ある黒点を毎日正午に観察した。次の図1は,観察することができた6月4日と6月6日、6月7日の黒点のスケッチをまとめたものである。この図1から,太陽が自転していることが確認できる。この黒点の大きさと,地球から見た太陽自転周期について,図1からわかることの組合せとして最も適当なものを,後の1~4のうちから一つ選べ。

基礎画像9

  黒点の大きさ     地球から見た太陽の自転周期
1 地球の直径の約0.05倍       約13日
2 地球の直径の約0. 05倍         約27日
3 地球の直径の約5倍         約13日
4 地球の直径の約5倍         約27日

答えは4
図1から黒点の位置は1日に15度くらい移動しているように見える。そうすると360÷15=24 一番近い答えは27日
太陽の直径は約約139万2000km
地球の直径は12800㎞
黒点の大きさは5度くらい(緯度はそう見える)だから (1392000×3.14×(5/360))÷12800=4.74
で、約5倍

問3 太陽系の天体について述べた文として誤っているものを,次の1~4のうちから一つ選べ。

1 惑星表面での大気圧は地球の方が金星より高い。
2火星の軌道と木星の軌道の間には,多数の小惑星がある。
3土星と天王星の質量は,いずれも地球の質量より大きい。
4海玉星の軌道の外側には,多数の太陽系外縁天体がある。

答えは1
金星は暑い大気に覆われている

第4問 自然環境と災害に関する次の問い(問1 ~ 3)に答えよ。

問1 地震と火山噴火の予測・予報について述べた文として最も適当なものを,次の1~4のうちから一つ選べ。

1すでに地震が発生した活断層では,将来地震が起こることはない。
2 緊急地震速報では,地盤の発生直前に地震動の大きさを予測している。
3 地震は火山の直下では起きないので.噴火の予測には用いられない。
4山体の膨張などの地殻変動は,火山の噴火の予測に用いられる。

答えは4
活断層は繰り返し活動する
緊急地震速報は地震発生後P波をキャッチしてS波が起こす揺れを予測する
火山噴火の予測には火山性地震、微動、山体膨張などが用いられる

問2 活火山に近い地域にあるS高校の科学部は,自分たちの地域の火山のハザードマップを作ってみようと考え,その過程で次の方法a·bを計画した。
これらの方法について,ハザードマップを作成する上で適した方法であるかどうかを述べた文として最も適当なものを,後の1~4のうちから一つ選べ。

く方法>
a 地質調査により,過去の火山噴出物の種類やその分布範囲,層序を調べる。
b 歴史的な資料から,過去の噴火に関する情報を収集して整理する。

1 方法a·bともに適している。
2 方法aは適しているが,方法bは適していない。
3 方法aは適していないが,方法bは適している。
4 方法a·bともに適していない。

答えは1
ハザードマップは過去の活動を調査した結果をもとに次に起きた時の危険度を推定するのに用いられる

問3 気象災害や環境問題に関する文について,下線部に注意して,誤っているものを,次の1~4のうちから一つ選べ。

1 フロンガスによって成層圏のオゾンが増加すると,地表面まで到達する紫外線の量が増加し,地上の生物に悪影響を及ぼすことがある。
2 人間活動で放出された硫黄酸化物・窒素酸化物が雨水に溶け込んで,強い酸性を示す雨が降り、生態系に影響を及ぼしたり,建築物などに被害をもたらすことがある。
3 前線や台風の周辺で次々に積乱雲が発生することで,局地的に激しい降雨(集中豪雨)がもたらされ,水害や土砂災害が発生することがある。
4 春季を中心として,黄砂が偏西風に乗って中国北部や日本に飛来し,健康障害や視界不良による交通障害など人間活動に大きな影響を与えることがある。

答えは1
オゾンは紫外線を防ぐ。よってオゾンが減少して紫外線が増えているのが問題になっている。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?