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小説『絶罪殺機アンタゴニアス・プロローグ』を推薦します!

 どーも、突然ですが私の推し小説は『絶罪殺機アンタゴニアス』です。
 感想を一言で言えば、心底戦慄しました。そのような小説に出会える確率は、よほど低いというのが私の実感です。ところが今はそうではない。パルプ界隈をそぞろ歩くようになって、胸を打たれる機会が常ならず増えているではありませんか。

───ここは衝動の宝庫か

 嬉しい悲鳴をたびたび上げる私は、最近、一般文芸からパルプ小説の方に軸足を移しつつあります。

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 バールさんの綴るSF『アンタゴニアス』ワールドはハードそのもの。社会には不条理が満ち、人々は生きる機会を与えられながら、日々の喜びを奪われ続けます。逃げ場のない命が、魂の拒む暮らしを強要され、混乱と抑鬱だけを募らせていくのです。
 この地で「母」は慈愛の発露を禁じられ、「子」は善悪の判断ができないまま独自解釈でその答えを見出さざるを得ない。「父」でさえ成すところなく口をつぐむ……
 プロローグで焦点の当たる彼ら三人は、幸せを求めながらも遂に叶いません。目を背けたくなるような残酷きわまるシーンが続きます。

───この悲しい情景を変えたい。
 視点人物である「父」同様、私も純粋にそう願いました。でもどうしたら? 巨大なテーマを前に改善の糸口すら想像できません。圧倒的な無力感に襲われ、一度ならずページを手繰る指が止まりました。

───これはただの読書ではない!
 私の直感がそう告げます。強いハートがなければ、打ちひしがれて斃れる命懸けの冒険。でも無策のまま読書を放り出す道はあり得ません。なぜなら、もう、魅せられているから。

「対策は、ないのか……ッ」
 叫び声が私の内側から漏れ聞こえます。魂に生き様を問われているのです。
「私ならどうする、何ができる?」次々浮かぶ疑問に自分なりの答えを見つけて武装しなければ、絶望に押し潰されかねない危機感。小説に追い詰められて天井を仰ぎ見たとき、ふっと思い至りました。そう、自分には考える自由があったのです。

 悲鳴を上げる私のシナプスが探し出した足がかりは「アウシュヴィッツ」。生を授かりながら、故なく奪われる理不尽。多くの被害者が悲惨な最期を迎え、生き延びた人も心身に深手を負って回復不能に追い込まれました。
 しかし希望の灯がないわけではありません。一部の人は生還後に幸せを取り戻したのです。ある研究によれば、そこには明瞭な共通項があったそうです。
 鍵は「分かる、できる、楽しい」環境の再構築、そして人生を有意義だと感じる筋の通った心根。
───そうだ、これを冒険のコンパスに据えよう。
『アンタゴニアス』を前にして、私はそう決めました。

 読書において、こんな防御策を講じる必要にかられるのは本当に珍しい体験です。2万字のプロローグだけでも、心を揺さぶられた記憶がくっきりと残っています。この物語がいかなる結末を迎えるものか、どうしても確かめなければなりません。
 タイトルのAntagoniasは、舞台である暗黒世界の救世主に思えますが、実態はまだ謎に包まれています。語源は恐らくAntagonist(敵対者・論争相手)。対義語にProtagonist(主役・勝者)を持つとすれば、これに相当するのは果たして……?
 疑問はやまず、私は連載中の本編へと歩を進めました。アンタゴニアスがどこへ向かい何を成すのか。それを見定める事のできる喜びが、今夜も待っています───

 バールさん、心震える作品を毎週更新してくださってありがとうございます! この場を借りて感謝を表すとともに、激しく推薦しますッ!

(以上、1450字)


◆これは、遊行剣禅さん主催の「note推薦文」参加作品です。


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未来へ

いやー、推薦文をあまり書いたことがなくて、ぎこちないですね……!
ファンアート記事は明日、22日の夜に投稿します。うおおっ描くぞ、頑張れ自分!!


≪追記≫(2021/1/1)
推薦祭りにて「主催者的に良かったで賞」を受賞しました!!

ううう嬉しい……
今後も、これいいな、と思うnoteの小説や記事に感想&推薦をしていきたいと気持ちが引き締まります。遊行剣禅=サン、ありがとうございました!


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