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ドルジ星系ヘラの地表でテラフォーミングプラントが煙を吹いて停止したのは、ミゥナ女史がカフェオレを口に含んで3秒後のことだ。 「残念、また失敗」 「うまくいきそうにありませんよ」 弱音とともに助手は解析を始める。 「僕には才能がないようです」 「センスの塊の間違いでしょう。TFPは夢の宝箱。星を開発して新たなストーリーを紡ぐなんて実に冒険的だわ」 「冒険? お宝? この世界に?」 助手は疑いの目でボスを見た。 ミゥナは立ち上がり宇宙船の窓辺を歩き始める。 「あるわ。例
(3000字あります) ≪前回までの老人≫ ----- back number : ep.1 / ep.2 / ep.3 「子供の頃に食べた果物をもう一度食べたい」 その一心で家を出た老人。しかしVR検索中に予期せぬ襲撃を受けた。からくも窮地を脱し、そのはずみで記憶を取り戻す。 果物の名は柿。老人はなぜ記憶が飛んでいたのかを不審がる。 30分の制限時間はまだ残っているのに、VR検索は機能を停止した。仕方なく私はヘッドセットを外す。 「調べものは見つかったのか?」