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「お喜び申し上げます。今日から貴方様は大将軍です」 髪をピシィと整えた副官の言う通り、僕は大将軍になった。 前皇后が処刑されて、妹が皇妃になったからだ。 僕は大好きな肉屋をやっていたかったのに、どこからか人生が狂った。 「肉ばかり食えた日々が懐かしいよ」 「ご自重ください。また周囲から叩かれます」 そうなんだ。堅苦しい王宮じゃ、まず香辛料がダメだと怒られる。胡椒を効かせた肉を振る舞ったら「口が痛い! 控えよ!」と来る。鉄板焼きひとつ満足にやらせてもらえない。 「とこ
(三国志のパルプ小説です。6,800字あります) 序 その日、飛将軍呂布は曹操軍に降伏し、ほどなく首が飛んだ。 他の捕虜の処遇も定まり、あとは参謀の陳宮を残すのみである。 彼は陣幕の中で縛られ自由を奪われていた。主と仰いだ男の死に顔を、目を細めて見やる。 「ひどくお寒い幕切れじゃないか。いったい我々はどこで間違ったのか。私が味方しようとも、敵に回ろうとも、曹操め、あやつが関わると堤が切れる」 ───西暦198年末、徐州。 呂布は曹操軍に攻め入られ、連戦連敗して下邳