老人の消えた街 #2 横浜島
【前回までの老人】
世界は滅亡の淵から50年かけて回復した。復興した町で、主人公の老人は子供の頃に食べた実をもう一度食べたいと願っていた。だが名前はおろか形も色も不明。おぼろげな記憶だけを頼りに、老人は家を出た。
快晴。こんな清々しさはいつぶりだろう。何かを求めて、自分から足を踏み出すのは気持ちいいものだ。
地方市の自宅を出た私は、横浜島に向かう船上にいた。なんといってもここはアジアの中枢島。情報があるに違いない。
あの果実……自宅の情報アクセスレベルでは、答えにた