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(3000字あります) ≪前回までの老人≫ ----- back number : ep.1 / ep.2 / ep.3 「子供の頃に食べた果物をもう一度食べたい」 その一心で家を出た老人。しかしVR検索中に予期せぬ襲撃を受けた。からくも窮地を脱し、そのはずみで記憶を取り戻す。 果物の名は柿。老人はなぜ記憶が飛んでいたのかを不審がる。 30分の制限時間はまだ残っているのに、VR検索は機能を停止した。仕方なく私はヘッドセットを外す。 「調べものは見つかったのか?」
(3500字あります) ≪前回までの老人≫ 「子供の頃に食べた果物をもう一度食べたい」 その一心で家を出た老人。しかし名前はおろか色や形さえ忘れ、VRによる高度情報検索でも答えが分からなかった。老人が諦めかけた時、ネット上のとある檄文を読んで鼓舞される。 「自分を肯定する座右の銘を装備せよ!」 その薦めに従い己のポリシーを思い起こそうとするが、胸を励ます言葉の一つさえ見つけられないのだった。 「胸を励ます言葉……」 呟いたまま、私は固まった。一期一会、切磋琢磨、温