さよならセブン

2月の最終週のお話しです。
私は先述通り堕胎手術を行いました。

当日、手術の最終確認を再度され、7Wとしっかり書かれた同意書にサインした。

ああ、セブン。さよなら。
モニターに映った小さなセブン。
そう、最後にセブンは私のお腹の中にいて、豆粒みたいにしっかり私の中にいた。
それを目に焼き付けた。
もうこの先妊娠することもないだろうから。

これから、私の一存であなたとさよならするのにと、思ったら少し泣けた。
ごめんなさい。といくら言っても足りない。
生まれてきた命が本当に愛おしくて、何にも変え難い存在だということをわしなりに知っているからだ。
次なんてものがあったら、セブンは幸せな両親のもとに産まれてきます様にとだけ最後に願った。

私にも少しだけ人の心があったようだ。
手術が終わってからはもぬけの殻だった。
何も考えられず、ピザをとりあえず食べた。
手術前と変わらず、衰える事ない食欲。
無心に食べ寝た。

退院してからも少しだけ、めまいや貧血があり、もうセックスなんてしなくていい。
そう、思いながら、ベットとPCの間を行き来する日々をしばらく続けた。
何も考えられない。
でも仕事の期限は押し迫ってくる。日常は私の感情や体調なんかお構いなしでやって来るのだ。
ただ、お腹は空くし、日用品も足りなくなる。
そして改めてウーバーは本当にこんな時は有能だと思った。

相手は、私が連絡しないので特に連絡はない。
忙しいから、落ち着いたら連絡する。と、まるで浮気者の常套句で締めた最後だったし。
まぁ、考える余裕もないからいいのか。

そんな今日、なんで仕事してるんだろう。
キットカットを沢山食べたい。
めまいもする。
胸もまだ張ってる。
大好きなお風呂にも1週間入れず、シャワーのみ。
眠い。
ああ、母になる(正式にはなる手前)にもたくさんの受難が待っている事を知った。

妊娠しました。おめでとう!
その言葉を聞いたら、女性は産むまでの10ヶ月間、自分の体と心の変化に対応しながら母になる準備をするのだろうと知った。
つわりはきつい。
吐くし突然今までに感じたことのないような食欲にも襲われる。
肌はカッサカサ、思うように起きていられない。
トイレは近くなる。
そんなうちに体のラインは変わり
産まれくる子の為にあれやこれやと用意をしなくてはいけないのだ。
今までコントロールできていた事が出来なくなり、あーっというまにお産に挑むのだと思った。

よく、世の平和なお腹を撫でながら、元気に産まれてきてね。なんて悠長に語っている絵を目にするが、実際はそんな事はできないのだと思う。
妊娠期間はまるでジェットコースターに乗っているような気分なのだと思う。

お腹にもう一つの命が宿るという事は、それくらい壮絶で本当に自分を犠牲にする事なんだなと思った。

だから、男性を蔑ろにする訳ではないけれども。
何だか日本で子供を産み育てると言うのは改めて大変な事であろうと思った。

ましてや私は、ちょっとばっかり障害があったりして
きっとこの大役は真っ当できそうにないから、産まないという判断は正し方のだと思う。

さよならセブン。
ここで、語呂よくまた来てセブン。と言いたいところだが
あなたが私のお腹にいた意味はとても大切な経験になりました。
命の尊さ、大人の身勝手さ、沢山の感情を再度知りました。

ごめんね、ありがとう。
この辺で締めます。


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