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自民刷新本部は刷新できるのか?

今日は政治と金の問題を取り上げたいと思います。
先般自民党の政治改革を行う刷新本部が立ち上がりましたけれども、安倍派が10人入っていて、そのうち9人は裏金疑惑がある人だということで「刷新本部自体を刷新した方がいい」と、いきなり味噌がついてます。
ただ気になるのは、派閥の解消というのは最大のテーマのように報じられていますが、果たしてそれは本当に本質的な課題なのかどうか、今日は解説したいと思います。

派閥の解消は、センセーショナルに、例えば麻生さんは「派閥は大事だ」と言ってるけれども、菅元総理は「派閥はなくした方がいい」と言っていて、2人は最高顧問になっていて「最高顧問同士が派閥についての意見が違う」「すごい喧嘩が起こるんじゃないか」と言われていますが、私は半分茶番のような気がしています。

まず派閥を解消するかどうかということで話題になってますが、派閥という言葉は驚々しいんですが、一定のグループを作るっていうことは憲法上の結社の自由(憲法21条)がありますから、法律であろうが内部的にも自民党本部から各派閥に対して「解消しろ」ということは難しいと思います。

野党の中にも派閥っぽいのもありますから、政治家が特定の目的で集まることをダメだというのは難しいし、仮にダメだと言っても、いろんな名前を変えて形を変えて、一定のグループ派閥は絶対残ると思います。
だから、あまりここは私は本質的な議論じゃない、メディアはすごくセンセーショナルにやってますけれども、そもそも論点が違うんじゃないのかと思います。

そもそも今回は何が問題だったかというと、派閥がパーティーをして、入りも出も帳簿から外して、それを裏金にしてたっていうことです。
だから政治資金、特にパーティー収支の徹底した透明化ということを図っていくことが本質で、そのことをやらない人に対しては、政治家本人も含めて厳罰を処すというのが、まずやるべき改革の根幹だというふうに思います。

派閥に対して何を解消したらいいのかということを端的に言うと、派閥の持つ集金機能を規制するかどうかです。
派閥のことにフォーカスとして言えば、それが本質的な課題だというふうに私は思います。
なんでかというと、リクルート事件が起こって、「企業団体献金を禁止しましょう」という流れができました。
例えば玉木雄一郎が、政治家として企業団体から献金を受けることは禁止されています。
ただ国民民主党とか支部とか政党が企業団体献金を受けることは、唯一認められています。
個人的には企業団体献金は受けられません。
受けると法令違反です。
これがリクルート事件の後、政治改革をやろうという中で一つ生まれてきた改革です。

企業献金は改革によって個人は受けられなくなりましたが、政党だけ受けられるんです。
問題は「派閥等」ですけれども、政党以外の政治団体、例えば後援会であったり清和政策研究会といったような、政党ではない派閥のような政治団体についても企業献金は受けられません。

ただこれがパーティー券になると、政党はもちろん受けられますし、政党以外の政治団体・派閥なんかもパーティーは開いて受けることができるし、個人もパーティーを開いてパーティー券を売ることができます。

時々問題になるのは、例えば1,000万の収入を上げるパーティーをやったとします。
コーヒーが1杯しか出なかった、経費はうち50万円だった、950万円はあるいは990万円は利益で、たった10万円だけがコストだったという、利益率の高いことが批判されますけど、違法じゃないんです。
なんで利益率が高くなると問題だと指摘されるかというと、事実上の企業献金に近づくからです。
はっきり言って制度上、隙間が非常に曖昧になっています。
曖昧になっているんだけれども、企業献金だと個人・派閥はできないんだけど、パーティー券だと個人・派閥はOKなんで、もし改革するのであれば、例えば開示基準ってありまして、個人にしろ企業にしろ、5万円以上の寄付をした社は名前等が公表されることになっています。
パーティー券も大量に購入すると名前等が開示されるんですが、その基準は20万円以上になっているんです。
企業献金の隠れ蓑になっているんだったら、寄付と同じように5万円まで引き下げたらいいじゃないかという議論があって、これはそういう方向に私はなっていくと思います。
公明党さんもそう言ってます。
個人あるいは政党以外の政治団体に企業献金を禁止したいのであれば、寄付と献金と横並びにするのであれば、個人とか政党以外の政治団体が開催することを禁止する、政党だけができるようにする、政党以外の政治団体が行うパーティーはやっちゃダメ、事実上企業献金を受けることと同じだからダメ、というふうにするのは一つの改革の案だというふうに思います。

派閥はお金を集める機能と同時に、組閣なんかの時に、大臣・副大臣・政務官を推薦する機能もあるので、そこは自民党内部のガバナンスのあり方として考えればいいと思います。
ただ、派閥のどういう弊害を解消するのか、もう少し解像度を高く改革を見ていかないと、大騒ぎして、例えば「麻生さんと菅さんが喧嘩したから自民党は改革しているふうな感じがする」ということではダメだと思います。
私は、派閥の集金機能、政党以外の政治団体のパーティーの開催を禁止する、ということに踏み込めるかどうか、というのが一つのメルクマールではないかなと思っています。

2023年年末から裏金問題で非常に永田町が騒がしくなってますけれども、派閥の解消ということに目くらましに合わないように、何が本質的な改革なのかを是非皆様にもご判断いただければと思いますし、その一定になればなと思って解説をさせていただきました。

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