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岸田総理の施政方針演説聞いてみた

2024年も通常国会が始まりましたけれども、恒例の通常国会冒頭に内閣総理大臣が行う岸田総理の施政方針演説を解説したいと思います。

通常国会が始まりまして、内閣総理大臣の施政方針演説があります。
岸田総理の施政方針演説を何回か聞いていますけれども、今回、字数としては14,297字、ほぼ役人が書いています。
それを45分間かけて読んだということで、計算すると1分間に331文字なので、岸田総理の演説というのは比較的ゆっくり読んでおられるなと。
私は1分間で370字ぐらいを喋るので「玉木さん早口なんじゃないの」って言われるのは、寄せていただいた意見をできるだけ沢山言おうとしているので、岸田総理よりは1分間に40字ぐらい私は多いペースで演説をしているということです。
岸田総理の場合は、しっかりためて「遺憾・・・であります」という感じなので、その分、私より少しペースが遅いのかなと思います。

癖はともかく、中身はどうだったのかということなんですけれども、読んでみて感じたことを申し上げると、今回、政治と金の問題が大きな問題になっているので、ここは2023年ともずいぶん変わっているところです。
いくつか項目がある中で、1,2,3番目の項目に政治改革が出てきました。
その政治改革について私が今思ったのは、全部で16行しかないんです。
「これをやって、これをやります」という感じというよりも、若干私は他人事のように聞こえました。
例えば

しかしながら、政治の安定なくして政策の推進はありません。そして、国民の信頼なくして政治の安定はありません。

その通りです。
「いま、その信頼が揺らいでいる。」
揺らいでいるんですけど「揺らしているのは誰」っていう、そういう感じがするので、こういう言い方はなくてもよかったのかなという気がします。
具体的な中身がここでは触れられていない、というのがまず一つの印象です。

この演説の中で一番最初に出てきたのが能登半島地震です。
ただ、これもいろいろ書いているんですが、事実の羅列が多かったかなと。
むしろこういうことは「今後どうします」っていう政府の方針をもっと明確に示してもらいたかったかなということです。
タイトルも「被災地の所感」なので、所感はもう述べなくていいんじゃないかと。
自分がどうするんだ、政府としてどうするんだと。
例えば一次避難所にはやってたんですが、断水がなかなか解消しないので、「断水はいつまでに絶対解消します」とか、あるいは「二次避難された方はこういう方策で必ず元いた所に帰れるようにします」とか、そういう強いメッセージが被災された方は欲しかったんだと思うんですけども、そういった具体的なのは無くて、「支援を全力でやります」ということに留まってしまったなというところは、残念だなというふうに思っています。

皆さん問題です。
能登半島地震が1番目の項目でした。
政治改革が3番目の項目でした。
重要な順に書いていってると思うんですけど、2番目は何でしょうか?
答えは「成果を実感する年に」という、なんかよくわからない、フワッとしたものが入ってました。

震災の現場だけではありません。日本経済の色々な場面で新しい力が動き出しています。
三十年ぶりの水準となった賃上げ、設備投資、株価。日本経済が新しいステージに移行する明るい兆しが随所に出てきています。

ということを書いてあって、なんで2番目にこれを入れたのかな、というのがよくわかんないんですが、総理としては、次のいろんな芽が出てきてるから、それを確実に新しいステージに移行するように、例えばデフレからの完全脱却とか、そういうことをやりたいという決意をこの間に挟んできたということなのかなと思います。

じゃあ肝心の賃上げとか経済です、関心があるのが。
4番目に出てきたのがまさに経済なんです。
じゃあその経済はというと前回の演説で皆さん覚えてらっしゃると思いますが、「経済 経済 経済」って言って、私はそれに合わせて「賃上げ 賃上げ 賃上げ」って言ったんですが、「経済 経済 経済」は前回多様してましたけれども、今回は1回だけ出てきたんですが、なんか恥ずかしそうに言ってた感じがしました。

その中で私は経済を再生していく、特に、その物価上昇を上回る賃上げっていうことは重要だと思うんです。
実際、その経済の項目の一番最初に書いているのが「物価高に負けない賃上げ」なんですが、賃上げは確かにきちんと上げていくことが必要なんですが、意外に物価高に負けない賃上げですから、賃上げは大事だってことは大事なんですけど、物価高の方についての言及がものすごく減っているんです。
ガソリンという言葉は1箇所だけ出てくるんですが、こういうふうに書いています。

ガソリンや電気・ガス料金では、機動的に家庭や地域の足の負担を抑制するため激変緩和措置を講じてきました。

つまり、これまでやってきたのは今後やってきましたよ、以上。
心配なのは、例えばガソリンの補助金を使った値下げも来年4月で終わっちゃうんです。
5月以降どうするのと。
特に能登半島では地震が起こって私も行きましたけど、車が重要な足になる地域ですから、被災者支援のためにも、5月以降もガソリン値下げは続けるべきなんです。それを我々は補助金ではなくて、補助金はもうパーティー券の購入原資になったりして、お金の流れがよくわからない。
だから、取って配る補助金じゃなくて、最初から取るのをやめよう、つまり、ガソリン減税、暫定税率の減税をやろうということを言っているんですが、トリガーの「ト」の字もなかったです。

あとは物価高騰対策についての記述は少ないんですけど、カタカナは多かったです。
例えばもう開けたら全部カタカナがあるんですよ。

モメンタム、イノベーション・スタートアップ、アジア・ゼロエミッション共同体、カーボンプライシング制度、フュージョンエネルギー、オープン・イノベーション、コーポレートガバナンス改革、インベストメント・チェーン

分かる人は分かるけど、本当にカタカナ多いなと。
スモール・コンセッションとか出てきて、何だろうと思って。
コンセッション方式っていうのは、例えば空港なんかこれまで公的なセクターが持ってたやつを民間に貸し出して、所有権は国とか県が持ったままにしといて、それを使わせて使う契約を結んで、そこで人がたくさん寄ってきたりするところを使えるので、収益事業もできると。
それで納税してもらったりして、国としても管理・運営コストを下げて、民間としてはその場を使って収益を上げて儲かる、税金も払うというようなことをやっているのがコンセッション方式と言います。
それをスモールでやるとどういうことかというと、例えば相続でもう住めないと、子どもたち・孫たちも都会に出て。
そのいなくなったものを、例えば自治体に寄付したりする場合があると、不動産と空き家とかです。
それを持っている自治体が、持っているだけじゃダメなんで、それを貸し出して、古民家再生で、そこでホテルをやったりとか人が集まる拠点作りしたりして物を売ったり、宿泊料を取ったりということをサイズの小さいコンセッション方式ということで、地域活性化の手法として導入していく、あるいは推進していってはどうかということが言われているんですけど、カタカナが多くて伝わりにくいところがあったのかなという気はします。

いずれにしても聞いてて思ったのは、「経済 経済 経済」とか声が小さいなって気がしたんですけど、全体には岸田総理は元気でした。
声は出てたと思います。
これだけの、例えば裏金の問題とか派閥を解消するとか、私はすごい決断は決断としてしてきていると思うんです。
そういう中で堂々と演説ができるのは、やっぱいい意味での鈍感力がすごいなと。

岸田総理の施政方針演をしっかり聞かせていただきましたので、これに対応する代表質問を2月1日、皆さんからいただいた質問も踏まえて、20分間、1分間で370字ぐらいで喋りながら、早口になるかもしれませんけれども、しっかりと皆さんの声も総理に届けていきたいと思います。

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