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保湿薬ヒルドイド10月から自己負担増

今日は医療シリーズの一環として最近話題になりましたヒルドイド、保湿薬ですけれども自己負担が上がるニュースについて解説したいと思います。

お子さんがアトピーだったり、ご自身も乾燥肌でヒルドイド、うちの家にもありますけども、お医者さんに処方してもらっている人たくさんいると思います。
このヒルドイドの自己負担が上がるのも「けしからん」と思っている方も多いと思うんで「けしからん」と思っている人に、なぜだか聞いてもらいたいんです。

まず前提条件を少し話しますと、今もヒルドイドなんですけれども、お医者さんに行ったら自己負担3割で医療保険でみてくれます。
保険というのは必要かつ適切な医療は保険対象にしましょうという法律体系があって、一方で患者が快適性・利便性の向上につながる、つまりアメニティです。
必ずしも万人に聞くかどうかわかんないけどでもやってみたいとか、差額ベッドって言って、入院した時に個室で少し快適なところで過ごしたいっていうのは医療に直接関わらないけれども、そういったものは患者が選んで選択しようものとして認めようということで、保険給付と組み合わせてやることが認められる選定療養というものが認められているんですが、この保険と組み合わせてやる選定療養に、基本的に自己負担で見るところなんですけど、その組み合わせを柔軟に認めようということで、この長期収載品が選定療養の対象になったんです。

これだけ聞くとわからないので、もう少し噛み砕いて言いますと、まず長期収載品何かということなんですが、見てわかるように長期収載、長い間収載された、何かというと長期にわたって保険の対象になってたってことです。
保険の対象になったんだけども、ある大きな変化が起きます。
何かというと特許が切れて切れると、他のメーカーでも同じような成分の同じような効果の薬で作ることができます。
その作ったものをジェネリック、後発品という後から出てきたものでも、後からその効能とか成分が同じもの出てきても長く使ってきたという、あとブランドもあるので、同じなんだけどどうしても特許は切れてもその先発品を使いたい、先発薬品を使いたいという人もいます。

この特許は切れてジェネリックが出てきているにも関わらず、その使われているのが先発薬品長期収載品。
その一つの典型がこのヒルドイドということなんです。

話を戻します。
じゃあそれ使うけどでも、同じようにじゃなくてできるだけ自己負担してください、というのが実は今回の話です。

さっき言った長期収載品。
ヒルドイド、単純に言うと長期収載品200円にすると、200円するものは自己負担3割でいけますから自己負担200かける0.3で60円が自己負担、140円が保険で見てくれる。
この200円する長期収載品しかなかったんだけど、特許が切れてジェネリックが作れるようになったら半分の値段で作れ、同じ効果を持つ薬が出てきて100円ですと。
100円だと今度は自己負担は3割ですから30円。
残りの70円を保険で見てくれる。
全く同じ成分だったら後発品を使えばいいじゃないかという話で、でもあえて長期収載品を使いたいんだったらこの差額分は自己負担したらどうですか、というそういう話なんです。
ただいきなり全部自己負担するのはあれなんで今回の診療報酬改定で、先発品とそしてジェネリックが出てきたこの差額、これで言うと200円と100円の差額は100円、このうちの4分の1、つまり25円は自己負担してください。
25円を自己負担で新たに、ここは新たに自己負担分というんですけど、そのうち残った175円のうち、その中の3割負担を自己負担で、残りの122円50銭を保険でみましょうということなんです。

60円から77.5円だから17.5円50銭自己負担が増えます、ということです。
「自己負担増えてけしからんじゃないか」って言うんですけど、一方で皆さんは社会保険料を負担している、つまりこの医療保険を支えている負担者でもあるんです
社会保険で毎月毎月お給料から差し引かれている。
それが実はこの保険を支えてますから「自己負担が増えたよね」ってなるんですけど、逆に保険の負担するところ140円だったのが122.5円に下がっているということで、この部分ある意味、社会保険料の上昇を抑える効果があるいうことです。

ただそれでもヒルドイドじゃないといけないという場合があります。
どういう場合かというと医療上の必要性がある。
お医者さんがいろいろジェネリックが出たものの、体質とかいろいろなことがあってヒルドイドしかダメだろうと判断した時は、全額これまで通り保険の対象になります。
あとは後発品の在庫がない時です。
後発品があるじゃないかといっても品薄じゃないですか。
いろんな中で後発品がないのに自己負担すると他に負担が上がるだけなんで、ちゃんと後発品が用意されている、選択肢が用意されている時には、後発品が使えるにも関わらず、先発品を使う時には差額の4分の1は自己負担を乗せます、という話です。
これは皆さんにもご理解をいただかなければいけない。
確かに負担が上がってしまうということには「ギャッ」となるかもしれませんけれども、この一方で医療保険を支える、そして社会保険料負担がこれ以上上がらないようにしていくということもセットで考えると、私はやっていくべき改革だなと思いますので、これは推奨していきたいなと思っています。

こういう背景でなぜ出てきたかというと、ヒルドイドを一部SNSで、美容目的にいいよと。
レセプトで調べてみると圧倒的に女性の方が処方されているし、中には1回50本の軟膏を処方しているようなケースがあって、それは不適切なじゃないのか。
そのことによって100億円近い医療費の増額になっているんじゃないのかという分析もあって、それはまさに皆さんの医療費の増加っていうのは保険料負担の増加につながっていくので必要かつ適切な場合には保険の対象としてやったらいいんですけど、美容目的で公的保険制度に負担かけてはならないというので、そのこともあってやはりこれは今回やるべき改革の一つだなと思いますので、皆さんにも全体像を少し理解いただければと思います。

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