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東大授業料引き上げ検討

今日は久しぶりに教育にかかるお金の話をしたいと思います。
話題は東大の授業料です。

最近、東京大学が授業料を上げる・上げないで議論で騒ぎになっています。
もう一つ関連する話があって、最近慶応大学の塾長さんが国公立大学の授業料が安いので、私立と公平な競争関係になっていないので、国公立の授業料を150万程度に年間上げるべきだという話をして、学生とか関係者の間に話題になっているんです。
現状整理した上でどのように考えていけばいいのか今日お話をしたいと思うんですが、東大の授業料を上げようという話になってるんですが、今、国公立大学の授業料、東京大学も含まれますけれども、私が東大に入学した時は1989年だったんですが、その時は年間33万9,600円だったんです。
そこから時を経て今53万5,800円と約30年で20万円ぐらい上がっているというのが実態です。
少し時期ずれますけど、1990年の奨学金を受給していた大学生の比率は、全体の21.8%、22%5人に1人強という感じだったんですけども、今は49.6%で約半数の学生さんが何らかの形で奨学金を借りているという状況で、前よりも厳しくなっているということが窺い知れると思うんです。

なんで今、「東大を上げよう」そしてまた慶応大学からも私立大学からも「上げるべき」だと言われているかというと、一つは運営費交付金といって国から国公立大学に出るお金が随分減らされてきて、そして「できるだけ自前で資金調達できる能力を大学はつけましょう」という話になったので、どんどん減らされる中で、自前の資金調達、学内ベンチャーをやったりとかいろんなことをやってお金を調達する努力はしてますけれども、授業料を上げないといけないんじゃないのかというふうになっているのと、私立の立場からすると、私立も要は18歳人口はどんどん減っていきますから、私立・国公立合わせた大学の間の学生獲得競争が厳しくなる中で、一方で国公立の学費は安い、私立は高いとなると負けてしまうんじゃないかと。
公平な競争関係で努力して、良い大学になって良い学生を取ろうということで「条件を揃えるべきだ」というのが私立側の主張。
どっちも一理あるとは思うんです。
ただ私はまず運営費交付金をしっかり増やすということが大事だと思いますし、私立には運営費交付金いかないんですが、仮に私学助成金を出していくということで、ある程度教育環境を整えることに、もっと国が積極的に支援を行うべきではないのかというのが基本的な考えです。

今まで運営交付金を削っていきながら授業料が上がるということは、要は学生とか親に負担を求めていくっていう方向でやってきたわけですけれども、今世界中で高度な人材育成するために競争してますから。
学びたいのに学べない、入りたいのに入れないということは作ってはダメだと思いますから、まずは運営費交付金であるとか私学助成を増やして、そこで在学の経営をサポートしていくと。

国公立と私立の差をどうするのかはなかなか難しいんですけども、そこは逆に国公立の授業料を上げるんじゃなくて、今の高い私立のやつを事実上下げていく方向で合わせていく、公平な環境にしていくっていうのが私は筋ではないかなと。
そのために財源として、我々は教育国債ということを提案していますので、その国公立と私立を揃えていくということであれば、そういった支援を充実させてなるべく揃えていくのと、あと奨学金です。
奨学金を拡充させていくということを組み合わせながら対応していくということが必要だと思います。

あと国公立、特に東大なんかはもちろん今所得の高い家庭のお子さんが増えてきているっていうのは事実だと思うんで、負担していただくのは負担していただいたらいいと思うんですが、一方で、今でも多分私も地方出身だからよくあるんですけど、「大学に行ってもいいよ」と。
でも「その代わりうちはお金がないから国公立にお前受かったら行っていい」「国公立じゃなければ働け」という人はまだいます、そういうご家庭も。
だから本当に優秀で、でも経済的になかなか恵まれていないということであれば、最後の砦として東大は安い学費で抑えておくのも国全体で見た時に意義があるのかなという気はします。
ただそれは「東大だけ」あるいは「国公立と私立の差をつけるのはけしからん」という意見もあるのでいろんな対策は打つべきだとは思いますけども、ただ国公立で授業料を私立に合わせてあげていくっていうのは違うなと。
むしろ国の支援を運営費交付金などをしっかりと拡充することが必要ではないかなというふうに思っています。

これからも人づくりこそ国づくりという視点で皆さんの学びをサポートしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

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