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日本のGDPがドイツに抜かれて4位

日本のGDPがついにドイツに抜かれて4位になって「日本は衰退する」と心配している方もいらっしゃるので、反論したいと思います。

日本のGDPがドル建てで見た時に、ドイツに向かれてついに4位になりました。
間もなくインドに抜かれますとか、そういう話を聞いていると非常に暗くなってしまいます。
実際に抜かれたのは事実なんですけれども、ただ私はあんまり気にしなくていいということを、今日申し上げたいと思ってるんです。

まず一番の影響はなんといっても、為替レートがこの間ずっと円安になってますから、ドル建てで見た時には、日本のドルベースのGDPが低下するということになって、ドイツに抜かれているということです。
上であればあるほどいいんですけど、ここは少し冷静に見た方がいいです。

ちなみにそのそれぞれの通貨ベースで見た成長率を2023年カレンダで見てますと、ドイツはなんとマイナス0.3でマイナス成長なんです。
日本はプラス1.9でプラス成長。
名目で言うと5.7%成長してますので、実はマイナス成長したドイツとプラス成長した日本を比べて、ドル建て見るとドイツに抜かれたって変でしょう?
その意味で為替の影響が非常に大きいということなんです。

ただあえて言うと、当面心配する必要ないと言ってるんですが、長くこのまま行くと本当に日本は抜かれてしまうと思うんです。
まずGDP、これは為替の影響なんかをカウントした上で計算した一人当たりの実質GDPというのがありますけれども、購買力平価と書きましたが、日本はアメリカの6割ぐらいです。
それに対してドイツはアメリカの8割ぐらい。
日本が調子良い時はアメリカの9割弱ぐらいまで迫ったんです。
だから、それが今64.8%ぐらい落ちてるってことは、ざっと言うと賃金水準とほぼ同じようになってきてるわけです。

前にも皆さんに申し上げたかもしれませんが、日本の賃金はアメリカの賃金より随分下になってきてまして、日本の経済というか社会の最大の課題は、賃金が低いということです。
30年間上がってこなかったと。
ここは改善しなきゃいけないし、ドイツに比べても水準として負けてるので、ここは何とかしていかないといけない。
とにかく今やることは増税でも社会保険料を上げることでもなくて、「賃金を上げる」ことなんです。
上げるものを間違っちゃいかんと、これは口すっぱく言いたいと思います。

じゃあ賃金ってどうやって上がるのかということなんですが、これは私が2019年のブログにも書いてるんですけども、それまでの民主党政権等でやってきた、あるいは立憲民主党一部とか多くの政府もそうなんですけども、いわゆる構造改革路線とか財政健全化路線というだけでは賃金ははっきり言って上がりません。
賃金が上がるたった一つの方法は、労働市場をタイトにすることなんです。

どういうことかというと、賃金っていうのは人の働いた対価に対する値段です。
何でもそうなんですが、例えば饅頭が8個しか作れません。
世の中に供給できるのが8個です。
でも10人が欲しいといったらどうなります?
8個に対して10人が欲しいというから、中には「いいよ親父。100円じゃなくて俺120円出してもいいよ」と。
「高いお金出すから、その8個のやつを俺にくれ」と。
他の人も「俺130円出すから、とにかく手に入れたいんだ」と。
つまり希少なものに対して、より多くのものが、より多くの人が需要する・欲しいと言うと、そのもの対象物の値段は上がっていくんです。

これは財・サービスの世界でも同じですし、労働市場という、ある種の労働力のやり取りをする市場においても全く同じです。
だから賃金というのは、働く労働力の対価なんで、その働く人や労働力がより希少な価値になってくれば物値が上がるんです。

ただ何と比べて希少かというと「欲しい」という、その需要に対して供給の方が少ない、もっというと供給よりも需要が多い。
つまり雇いたい・人が欲しいという人がよりたくさんいること。
その状態が継続すること、持続することが持続的賃上げに必要なんです。

じゃあ持続的賃上げに何が必要かというと、持続的な人手不足が必要なんです。
その状態をどうやって作っていくのかということになると、需要と供給、つまり「欲しい」という人がより多くいる。
これは景気が良くなって、人をたくさん雇わなきゃいけなくなって、人がいないから何とかしなきゃいけないって工夫して、それで投資が行われて、生産性が上がっていく、この方が唯一あり得る生産性向上のパス・経路だと思うんです。
これが今、起こりつつあるので「ここを止めるな」と言ってんです。

政府にお願いしたいのは、もう余計なことするなと。
さらに生産性を上げようとするために、賃金を上げようとするために、何かしようとしなくて「もうなにもしなくていい」。
変に増税したり社会保険料を上げたりして邪魔して、何が一番邪魔かというと、手取りが減るような邪魔はしないでほしいです。
だから私は増税やめろ、社会保険料、ステルス増税みたいな上げるのやめろと言ってるのは、ようやく生まれてきた人手不足とか、そこから伴う投資とか生産性の向上、賃金アップのメカニズムを切るなと言ってるんです。
まずはこのメカニズムをきちんと動かしましょうと。
これは我々ずっと言ってる需要が供給を上回るような、そのために必要な金融政策・財政政策しようというのが、高圧経済(ハイプレッシャーエコノミー)って今まで考え方としてやってきたことが成功してないんだから、財務省が悪いというよりも、それしか知恵がなかった政治が悪いんです。

財務省は基本的に単年度主義で、収支を合わすってことが法律に書かれているから、彼らを責めても仕方がない。
その上で何をしていくのかということを、政治が決めて政治がビジョンを持ってメッセージを発していかないと、この衰退する30年の歴史は変わらないんです。
日本の方が不幸なのは、政府与党もそうなんだけど野党の多くの人も、古い感覚の財政均衡論であったり、あるいは構造改革路線、規制改革したら給料が上がるみたいな。
「上がらないから。」
規制改革して給料上がったケース見ました?
日本の経済学者も経済官庁も含めて、この2~30年、いわゆる伝統的だと言われていた経済政策も少し改めて、次の展開にしていかないと。

賃金はまだまだインフレという状況にはなってません。
今一番デフレからの完全脱却ということは何かというと、賃金デフレから完全脱却するということです。
これが実現するまでは変に金融引き締めたり、増税したり、やっちゃダメです、ということを改めて申し上げて、堂々日本がまた世界で輝く力強い経済を取り戻すために頑張っていきたいと思います。

今日は日本がドイツに抜かれて大変だという話がありますけれども、実態どうなの?これからどうすべきなの?をお話をさせていただきました。

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