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岸田総理の経済政策5本柱を分析

岸田総理が指示をした経済対策についての5本柱、この中身について分析してみたいと思います。

9月26日に岸田総理が10月末を目処に経済対策を作れということを関係閣僚に指示をしたんですが、その指示した際に、大きく5つの柱を掲げた骨格を示しました。
その中身がここにありますが「総合経済対策の策定について(内閣総理大臣指示)」です。
結論から言うと、まあまあよくできてるんじゃないかなというのが私の評価です。
最終的な評価は中身を見てからということなんですが、対策の方向性については、これまでたまきチャンネルでも言ってきた方針と、ある程度方向性が一致しているところもあるので、そこは率直に評価したいなと思います。

いいところと、ちょっとこれどうなのかな心配だな、というところを合わせて、皆さんに評価をお伝えしたいと思います。

まず期待できるところを3つ挙げました。
一つはやっぱり持続的賃上げ。
今年は3.58%ぐらい賃金が上がったんですが、来年どうなるのかと非常に不安な状況になっています。
とにかく政策目標として、持続的賃上げ、特に物価上昇プラス数パーセントの賃金上昇率を目標に掲げているということは私は評価したいと思います。

もう一つは、今こそ成長の成果である税収増を国民に適切に還元すべきと一丁目一番地で言っています。
たまきチャンネルでも成長減税として、予定よりたくさん入ってきて取りすぎてるものをちゃんと返す、減税や給付で返していくべきだということを申し上げています。
まさに税収増を国民に還元することが、一番最初に入ったことは率直に評価してもいいのかなと思います。

三つ目はちょっと驚いたんですが、
「個人消費や設備投資も力強さに欠けている不安定な状況にあります。各種の給付措置に加えて、税や社会保障負担の軽減などあらゆる手法を動員する。」
なんと減税や社会保険料の負担を減らすってことまで言及したのは画期的だと思って、私は評価をしなきゃいけないと思いました。
たださっき言ったように、中身や規模がまだわからないので、最終的な評価は避けたいんですが、こういうことを明確に紙に書いて指示をしたということは率直に評価をしたいと思います。

一方、不安なところなんですけれども、物価高騰対策としては、今やっている激変緩和対策を、ガソリン・電気・ガスにはやっていくということで書いてますが、いわゆるガソリン減税について。
私たちが言ってる暫定税率やめろとか、二重課税をやめろとか、トリガー条項を発動して25円10銭、レギュラーガソリンでは暫定税率も下げようという話は書いてないので、この激変緩和対策に留まるのか、さらに踏み込んだ電気・ガス代の値下げができるのかというのは、しっかり見定めていかなければいけないポイントの一つです。

二つ目は税の負担を軽くするとか、税収増を国民に還元すると言ってますが、所得税減税が実際にこれから出てくるかどうかです。
今、税収の増加というのは、非常に高い水準で増えてるわけです。
10兆6兆10兆ということで、3年連続税収の上振れも見えてるんですが、この賃金の上昇や所得の上昇率以上に税収が高い比率で入ってきているということは、取りすぎているわけです。
これは所得税が累進課税になっているので、例えばちょっと賃金が増えて所得が増えると、今まで非課税だった所得回数が、例えば所得税で言うと最低の税率5%が引っかかるようになって、今まで税金や所得税を払ってなかった人が5%払うようになります。
あるいは5%の税率がかかっている人は年収が増えて10%になるということで、ようやく賃金が増えて所得が増えたのに、取られる所得税も多くなって、中には手取りが逆転している、税収が賃金上昇率や所得の上昇率以上に入ってくる現象をブラケットクリープと言いますけれども、このブラケットクリープに対応した所得税減税ができるかどうか、これがこの対策一つ判断するような重要な要素になってくるので着目してください。

ちなみに大変生活が苦しい方に対する給付措置っていうのは書いてますから、住民税非課税世帯にはまた給付をするんじゃないかと思います。
ただ前に言いましたけれども住民税非課税世帯の6割7割は高齢者なんですよ。
高齢者にだけ配るということになるんじゃなくて、今頑張って働いて、少ないなりにも税金を払っているような方々の所得税の減税ができるかどうか、ここが岸田総理の経済対策の大きな評価の分かれ道になると思います。

そして三番目は消費税の減税です。
これもやるべきです。
特に今8%食料品など軽減税率適用されてますが、ガソリンとか普通のものは10%ですよね。
全部軽減税率の対象にしてフラットで8%に一律税率に揃えれば、インボイスいらなくなりますから。
8%に揃えたら、8%と全部わかるわけですから、仕入れ税額控除の計算もインボイスに入れなくてもすぐできます。

ガソリン減税、所得税減税、消費税減税、この3つは無しです。
これが今後出てくるのか出てこないのか、ここが全体パッケージを評価する上では重要な要素になってくるということです。

あと大前提として、一番最初に50兆円もの需給ギャップの解消も進んできたということが書かれてあるんですが、需給ギャップの計算はいろいろあります。
ちょっと前に比べて、この潜在成長率を低く計算しているので、かつてよりも需給ギャップが縮まるような計算になっています。
この需給ギャップは解消したと言い切るのではなくて、少し慎重に見ながら、まだ需給ギャップが残っている前提で経済対策を打つ方が、持続的な賃上げを実現するためにも必要になります。

こういったところを国会の審議も始まっていきますので注意深く見定めていきます。
我々としては、こういうことを踏まえたベストの国民民主党案の経済対策をしっかり策定して、まとめて総理にも直接申し入れに行きたいと思っていますので、ぜひ期待していただきたいと思います。

最後に私も一致したのは、経済は新たなステージに移れるチャンスを30年ぶりに迎えていると。
今まではコストカット型の経済、要は緊縮でやったり、とにかく削っていって縮小金庫みたいなことをやってきた経済が長く続きました。
けれども、賃金が増える、消費も増える、そして投資も増えるという好循環の新しい経済に移行できるかどうか、その瀬戸際、チャンスだというのこれは認識は同じです。
そのチャンスを逃さないように、今こそ適切な規模、適切なスピードで対策を打つことが必要なんで、是非、岸田総理にやるべきだということをも強く求めてまいりたいと思っていますし、そういう対策をまとめたいと思っております。

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