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憲法記念日に日本国憲法を考える 憲法9条をめぐる議論

今日5月3日は憲法記念日だということで、改めて日本国憲法の基本の基に立ち返った説明をしたいと思います。

5月3日の憲法記念日なんですけど由来をたどりますと、まず1945年日本は敗戦をして8月15日に玉音放送があってポツダム宣言を無条件で受託するということで、戦争が終わった、敗戦したわけですけれども、そこから占領政策GHQアメリカの連合国の占領が始まるわけでありますけれども、その翌年の1946年の11月3日に今の日本国憲法が公布をされるわけです。

この11月3日っていうのは明治節、明治天皇の誕生日で交付日としたと。
5月3日の憲法記念日はなんで決まったかというと、明治節、交付日から半年経った1947年5月3日に施行したので、この5月3日をとって憲法記念日ということにしているわけであります。

半年後をいつにするかって5月でいつでもいいじゃないかって議論があったんですけど、5月1日だとメーデーに重なるし、5月5日だと端午の節句で、後で言いますけども9条、戦争放棄とか「陸海空その他の戦力これを保持しない」と書いているのに端午の節句に重なるのは良くない、ある種武道の男の子の節句だし、それも武の象徴のような日に施行するのはどうだっていうこともあって、半年後の5月3日になったとも言われてます。

あれからもう非常に長い月日が経ってますけども、その後の日本国憲法、そして日本国憲法を巡る議論の特徴を少し申し上げると、まず1回も改憲されてないということです。
よく言われるのはドイツとかアメリカとかいろんな国の憲法は改正されてるんですけど、全く改正されてないっていうのは非常に日本が珍しいと言われます。

もう一つは憲法、例えば憲法改正賛成ですか反対ですかと聞かれたら、もう半分無条件にそれは9条、つまり「戦力不保持を定めた9条の改憲をするのかそれともしないのか」ということを聞かれてると言って、もう無条件に思ってしまいます。
それほど戦後の憲法議論のほとんどは9条を中心に行われてきたということだと思います。

加えて憲法を守る、変えないという護憲と改憲が非常に厳しい対立をしてきたというのも特徴ですし、政治的に言うとこの憲法を守れっていうのは、戦後例えば社会党とか共産党とか野党がこの護憲の立場を取り、そして与党が改憲の立場を取るということで、与党は改憲、野党は護憲というような、ある種単純な構造も続いてきたということも事実なわけです。

ただこの世の中は変わっていくので、特に自衛隊っていうのは1954年にできました。
憲法制定時には実は自衛隊なかったので、書きようがなかったんですがその後、警察→予備隊→保安隊、そして自衛隊ということになって、今日の10兆円を超える予算規模の自衛隊にまで発展してきたわけですけれども、その自衛隊、正直申し上げどこからどう見ても軍隊だし戦力なんですが、「陸海空その他の戦力これを保持しない」という9条の2項の規定がありますので、実際戦争に負けた直後は日本の再軍備を絶対許しちゃダメだと。
あれだけアメリカ連合国と戦ったので、その日本をとにかく非武装化する、二度と戦力を持たせないということもあったし、日本側も天皇制・天皇を守るというある種の最大命題のためには、戦力を放棄するというような、この間の1945年8月15日に負けてから翌年11月の憲法の交付に至るまでさまざまなやり取りがあったわけです。
ただその時の時代背景を色濃く踏まえて作られた憲法であることは間違いないわけです。

その後皆さんご存知の通り、米ソ冷戦ということで東西対立が非常に厳しくなってきました。
冷戦の終結1989年ぐらいまで続くわけですけれども、アメリカは日本を再軍備させて、それを西側つまりアメリカ側のある種の陣営として対ソ連、あるいは対中国に対する対抗する防波堤として、あるいは西側のチームとして取り込むという、ある種のアメリカの戦略もあって事実上、日本の再軍備が進められてきたわけです。
逆コースとも言われます。
その時に困ったのが日本国憲法なんです。
GHQのもとで作られた憲法ではあるんだけれども、むしろそれが足枷になって再軍備がなかなかできないという中で何が行われたかというと、9条で「陸海空その他の戦力これを保持しない」と書いてあるにも関わらず、ありとあらゆる解釈に依存してきたわけです。
本来であればこの時に改憲すべきだったんです。
実は1952年4月1日のジュリストという今もありますけど法律雑誌があって、そこでその当時の我妻栄先生とか名だたる憲法学者法律学者が集まって議論して、さすがに警察、警察というのは国内の治安維持なんで中を治めるためのある種実力組織なんです。
でも軍隊というのは対外的な敵に対して対抗する手段なので、力の向く方向が違うわけです。

本来中の治安維持するものを拡大解釈して外敵に備えるような実力組織にしていくっていうのは相当無理があって、その相当無理を今の今まで引きずりながら解釈・解釈・解釈でありながら2014年に至っては「陸海空その他の戦力これを保持しない」と書いている中で認められた自衛隊になんと集団的自衛権の行使まで一部認めるようになってしまったというのは、結局何が行われてきたかというと、これは護憲派の人にも一定責任があると思うんですが、憲法の条文を守るがあまり、過度に解釈に特に時の政権の解釈、内閣の解釈に、この範囲を依存するがあまり憲法に書いている文言がほぼ意味をなさないものになっている。
これ難しい言葉で言うと「憲法の空文化」って言いますけれども、憲法っていうのは法律と違うのは以前玉木予備校でもやりましたけれども、法律っていうのは国家権力が国民を縛るものなんです。
例えば車は左通行、人間は右を歩いてください、国民の行動を縛るのが法律です。
権力や警察とか。
憲法は実はベクトルが唯一違っていて法体系の中で、それは国民が権力を縛る法体系が憲法なんです。
強大な権限を民主主義という選挙のプロセスで権力に与えますけれども、例えば税金を取る。
税金を取るという行為は我々ポケットに手を突っ込みます。
手を突っ込むその行為は我々国民自身が規制しましょうということで、例えば増税をするってことを決める時には、財政民主主義ということで、ちゃんと国会を通しなさいということを求めて民主的な統制をかけていく。
かつての絶対王政の時代とか将軍様の時代はそんなことをせずに、取りたきゃ取るってことだったわけですけれども、そこに民主的統制を入れると。
だから仮にポケットに手を突っ込む時でも「こういうルールでやりなさい」という様々な大きな権力を統治するルール、権力側を統治するルールを決めているのが憲法なので、その憲法というものはまさに国民が権力をしっかりとコントロールする手段なんです。

ただその書いていることが、しかもそのコントロールを受ける側の内閣や行政府の解釈でいくらでも伸びたり縮んだりすると憲法がちゃんと権力を縛るという機能がほぼ少なくとも9条については失われてしまってるんです。
これをさっき言った憲法の条文の空文化ということなんですが、このことを導いたのはもちろん時の政権というのはアメリカとの関係もあるし、冷戦の中で自衛隊を厳に拡大していかなければいけないという現実に向き合う与党としての責任もあったでしょうが、ただ逆に野党側も一字一句変えるなということにこだわったが故に、結局、憲法の空文化を招き、権力を縛っていくっていう憲法が本来持つ機能を失わせしめた責任は野党側にも私はあると思ってるんです。

我々は今国民民主党としても、この戦後行われてきたこういう議論のフォーマット自体を変えていかないと時代に対応できないのではないのか。
例えば憲法の議論は9条だけじゃありませんよと。
他にもいっぱい条文があって、真に変えるべきものは何なのかということを議論しましょうということ。
あと野党は護憲、与党は改憲という単純な構造にならないように、野党であっても必要なところは改憲していきましょう。
9条以外でも改憲のところがあるんじゃないですかと、そういうことを提案してますし、そして過度に解釈に依存しないようにしましょう、書いてることは守りましょうと。
書いてることと違うことをしたい、あるいはしなければならなくなった時は、書いてることを変えましょうと。

今我々が特に提案しているのが、災害が発生して選挙できなくなった時に、じゃあ衆議院議員とかいなくなっていいのかというと、きちんと司法・立法・行政という三権分立がバランスよく機能するために、議員任期は特例的に延長して国会の機能を維持しましょうと、まずはこういうところから改正を始めてはどうかと。
我々は9条についても改正したらいいと思ってるんですが、ただ今の自民党が出している9条改憲案、いわゆる自衛隊の組織名だけを明記する自衛隊明記案というのがあります。
最大の問題は、自衛隊明記論をやったとしても、自衛隊が違憲だという違憲論が解消されないことなんです。
憲法9条1項2項の条文及びその解釈は維持すると書いてるので、その解釈を維持すると何かというと、結局警察予備隊から発展してきた軍隊ではあくまでありません。
9条2項で禁止されている戦力ではありません。
でも国際的に見たら軍隊ですよね。
国際法的には軍隊だけど国内法的には軍隊ではないという何回聞いてもわけがわからない矛盾した解釈や状態もそのまま維持するってことなんです。
改憲の意味ありますか?

議員任期の延長期間については急ぐということについては5会派では合意してるんですが、立憲さんと共産党さんが反対されてるんです。
そこで支持者の方が反対で「なんで認めるんだ」って言われるので、立憲さんも賛成しにくいというふうに思うんです。
共産党さんもとにかく護憲なんでダメだと思いますが、立憲民主党は必ずしも全部反対ではないと思ってるんですが、支持者の方が緊急事態状況に賛成するのかと言われたらビビっちゃうんで、そこで議員任期の延長期間など、むしろ国会の機能を強化する改憲なので、緊急事態状況という言い方をやめて「災害など緊急時における国会機能維持のための憲法改正」ということで、正確にお伝えした方がいいかなと。

冷静な議論を進めていける環境を是非国民民主党は中心となって作っていきたいなというふうに思っています。

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