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安芸高田市財政説明会①(2023年10月22日)

皆さん、こんにちは。
安芸高田市長の石丸伸二です。
本日はお休みの中、お昼のときからご参加くださいまして誠にありがとうございます。
今回でこの説明会も全部で3回4、回目となっています。
年で言えば3年目です。
それまでも基本的には同じ話をしてきました。
なので、「もう知ってるよ」「聞いたことあるよ」という方も多いかと思います。
ただ一方で、今日初めて聞く、ないしは今回これ動画に残りますので、これから先初めて聞くという方もいらっしゃるはずです。
なので、今回は1からお話をしていきたいと思います。
是非皆さんも、今日初めて聞いたみたいな感じで聞いていただければと思う次第です。
全部の枠が1時間なんですけども、そのうち私からの説明を40分から45分にまとめたいと思います。
そして、その後質疑応答という流れです。

今回財政説明会でポイントとしては2つあります。
まず1つは昨年度、2022年度の決算これの概要についてお話をします。
もう1個2つ目のほうは、この街を持続可能にするためにどうすればいいのか。
答えは明らかです。
その話。
何かといえば公共施設を減らすというお話です。
この2つなんですけども、まず前段として、これも確認なんですがこちらのグラフから入ります。

https://www.akitakata.jp/ja/shisei/section/soumu_soumu/s500/m122/

目盛りは左側で2,000万からぐっと上1億4,000万人まで描いてあります。
日本の総人口の推移なんです。
日本の人口がピークアウトしたと、減り始めたというのはずいぶん前のニュースで皆さん知ったはずです。
今も着実に毎年人口は減っていますが、この点々が5年刻みなんです。
これから先の5年10年15年というのは、まさにつるべ落としのごとく人口減少が加速していきます。
ここで描いてある2050年には、目盛りでいうと1億人を割り込むという見込みになっています。
この人口推計というんですけども、ほぼ間違いなく当たります。
条件の設定の仕方によって下振れ、要は下に外れることは起きやすいんですが、上振れ、上に外れることはまずないです。
その意味で今が2023年、ここで2050年、あと20数年で日本という国は1億人を確実に割ります。
こういう話をうちの親とかにすると、「もうおらんけ知らんよ」という方もいるんですが、2050年は先かもしれませんが、2040年、30年、もうすぐそこですよ。
そのときに1億2,000万人を割り、1億1,000万人を割り、どういう状況か想像してみてください。
今私たちの周りには、日本という国が社会が存在します。
至極当たり前のものとして皆さん、それを受け入れてると思います。
もうちょっと言うと、いろんな恩恵を享受しています。
これは非常にありがたいことです。
今、世界中を見渡して、これほど恵まれた国はないと思います。
もっといえば人類史上においてこれほど栄えた国もないと思います。
ただ、そのピークはもう過ぎました。
問題なのはピークに合わせて、この社会が成り立ってしまっているということです。
ここから人はどんどん減ります。
ただそれでも、大きなこの日本という社会、そのままの状態で10年20年先を迎えそうなんです。
例えて言うならば「よっしゃ家こだろう」と。
お父さん、お母さん、子供が3人いて。
うちの家なんですけど。
5人家族なんで庭付き一戸建てを、ドーンと建てたと。
建てたはいいけど、子供があっという間に大きくなって、学校も出て、就職して独立して、いよいよ家に帰らなくなっているんです。
お父さんお母さん2人だけ。
大きい家だけ残っているんです。
掃除だけでも大変になりますよね。
そういう家あるんじゃないですか。
そのうち、お父さんとお母さん、どっちかが亡くなることもありますよね。
そしたら、一人でその大きい家に住むんですよ。
これ大変ですよね。
でもこれから日本という国そのものが、そういう状況に陥ります。
ここに住んで今幸せ、豊かが続かないんですよ。
ここにじっとしているだけで、しんどくなってきます。
言い方があると不幸を感じ始める、それがこれからの日本です。
そうした国において、全国に都道府県市町村、基礎自治体と呼ばれるものは1,700あります。
そのうち市が大体800ぐらいだったかな、安芸高田市もその一つです。
広島市みたいに大きな市もあれば、うちみたいな3万人いない小さな市もあります。
この小さい方がいよいよ大変です。
何かというと、さっきお話しした人がどんどんいなくなってスカスカになっていく。
これは地方の方がそれに直面するからです。
もうすでにこの町人口が3万人を切って久しいです。
この10年間で5千人減ってます。
3万2千ら2万7千人。
でもこの先の10年はもっと減ります、勢いがつくので。
おそらく7千人ぐらい減ると思います。
そうすると、いよいよ2万人を割るんです。
2万人しかいないのに、今のこの町そのまんま使い続ける気がしますか?
しんどいですよ。
例えば市役所があるここ吉田町。
安芸高田市の中心ということになっています。
ここだけは残した方がいいんじゃないかと思って、そう言ってるんですが。
「いやいや吉田ばっかりじゃ困るよ」と当然皆さんおっしゃいます。
でもそうじゃないんです。
吉田すら維持できなくこれからなります。
例えば吉田の人口がどんどん減った時に何が起こるか。
商店がなくなっていきます。
大きいゆめタウンまだありますけど。
スーパーとかドラッグストア、コンビニエンスストア。
あれはある程度の人口があって初めて成り立つ商売です。
人が少なくなるということは、それらがなくなっていくんです。
昔ながらの商店はもはやないと思います。
かなり減ってます。
コンビニに取って代わったというのもあるんですが、その取って代わったコンビニ自体がこれからなくなっています。
そしたらもうこの街住めないですよ。
普通の生活は維持できないです。
なので、それを何とかして避けるためにも、まずはこの中心部。
そして各町においても中心をしっかり守っていこうという方針を先般、皆さんに当てて公表した次第です。
これが具体的な形というのはコンパクトシティというカタカナで描かれているわけなんですけども、またそれについて改めてお話をしたいと思います。今日はまずその前提、大枠として日本全体が人口減少、ここから加速していくと。
この事実を再確認して始めたいと思います。

では早速うちの財政状況です。
昨年度の決算の概要をお話しするんですけども、もう皆さん市の財政の見方、ポイント、大丈夫ですか?
何を見たらいいかというと、こちらです。

経常収支比率。
言葉が難しいんですけども。
おそらく今日ここにお越しの方は、大体もう説明ができるんじゃないかなと思いますが、改めて復習しておきますと、ここに棒グラフが2本あります。
青いのと赤いのです。
青い方が経常的収入、いつも入ってくるお金。
赤い方が経常的支出、いつも出ていくお金です。
これのバランスを描いたのが、折れ線経常収支比率です。
メモリは右側です。
これが最近一番悪いところで98.2%まで上がってました。
どんな状態かというと、入ってくるお金のうち98.2%はもう使い道が決まっちゃってるんです。
残り1.8%しか自由に動かせないです。
非常に窮屈な財政状況でした。
それが2019年度です。
そこからグッとずいぶん押し下げに成功しています。
一番低くて88.6%。
昨年度は上昇しました。
数字でいうと94.4%です。
財政状況が悪くなったという姿です。
ただこれはそんなにまだ心配しなくても大丈夫です。
何かというと、1年さらに前の2021年度。
ここが特別良すぎたんです。
なので、その特別の要素が抜けて、元の姿に戻ったという絵になっています。
今年度はまた上がる見込みになっています。
何かというと覚えてらっしゃる方いますか?
2020年度にまず98.2%からグッと下がった時に、特殊要因というものがありました。
何かというと、職員の退職金を毎年積み立ててるんですけども、その積み立てが思いのほか順調だったんです。
なので、3年間だけ積み立てを減らしても大丈夫なので減らそうということで、経常的な支出が抑えられました。
それがだいたい2から3ポイント、押し下げに寄与しています。
なので、20、21、22、3年経った2023年度はまた2、3%ポイント上に上がってしまう計算です。
なので、他の条件が一緒だとすれば、96%前後の経常収支比率になろうかというところです。

では内訳を細かく見ていきます。

まず歳入、入ってくる方です。
経常的に入ってくるお金。
どのようなものかというと、この21年度から22年度、棒グラフが短くなってます。
ただ、21年度が珍しかったんです。
何かというと簡単に言います。
簡単に言うと、新型コロナ対策対応で、国からいつもよりお金がもらえました。
それが22年度になって、ずいぶん縮小されたんです。
金額にして文書2つ目に書いてますが、地方交付税が4億5,000万、臨時財政対策債が3億5,000万ほど減ったと。
これらによって経常的な収入が22年度はグッと小さくなっています。

一方で今度は逆です。
歳出の方をご覧いただくと、21から22年度にかけて棒グラフ。
何も動いていないみたいな感じになってます。
ほぼほぼ横ばいです。
何が起きてたかというと「コロナ対策してみなさい」と国からお金が多めに貰えたんです。
貰えたんですが、必要なものはしっかりとやりながらも、あまり大盤振舞しないように努めました。
結果、出の方ですね。
これはそんなに膨らまず、なんなら2020年度からほぼ末置きの状態できてます。
なので、収入が伸びたり縮んだりした分だけ、最初にご覧いただいた経常収支比率がデコボコしたという形です。
じゃあここで、経常的支出、何に使われているかというのをチェックしておきましょう。

右上のここで義務的経費と書いてあります。
公債費、扶助費、人件費。
棒グラフいうと下から3つ3層分です。
名前の通り、義務的なお金の使い道なので、これはなんとも減らせないです。
減らせないとか言いながら見てみてください。
この街、唯一そこだけが減ってきてませんか、この10年で。
その難しいところで頑張ってきたというのが実は安芸高田市なんです。
公債費というのは後で触れますし、扶助費もまた後で説明するんですが、例えば人件費です。
人件費、一番下のこの薄い赤です。
緩やかな右肩下がりになってますよね。
市役所の職員の給料はさすがに減らないので、何が変わったかというと人の数が減っています。
人口が減っているんだから、市役所の規模も小さくするしかないよね、ということで頭数が減っています。
ただどうでしょうか。
皆さんの周りで、接点のある市役所の仕事、減ってますか?
ほとんど減ってないと言っていいと思います。
なので、忙しくなってるんです。
一人頭の仕事は着実に増えてきています。
元来、義務的経費は圧縮しようがないとまで言われる部分です。
是非、義務的経費でGoogleで検索してみてください、そうバシッと書いてあります。
安芸高田市はそこを何とか頑張ってきたんですけども、「それ以外のところはやっぱり頑張らないといけないよね」というのがここで見ていただきたいポイントです。
要はこの義務的経費の上に乗っている部分です。
ここらをしっかり見直して、とりあえずこの2020年度から22年度にかけては、いろんな切り詰めをして増やさないようにしのいできました。

この棒グラフ見て、なんか一番上にピョコッと白いのが乗ってますよね。
なんて書いてあります?
繰出金。
今ご覧いただいているのは、市の一般会計、何でも使えるお財布から、どこかに繰り出しているお金が白い部分なんです。
多い時で20億ぐらいありました。
直近でも15億弱ぐらいありそうです。
この繰出金が何だったか、覚えていらっしゃるでしょうか。
正解はこちらです。

上下水道事業へ繰り出しています。
何でも使えるお金にも関わらず、上下水道。
これは市の何でも使えるお財布と別にしてあるんです。
上水道、下水道はそれぞれでちゃんと採算が合うように、本来はなってます。
ただ採算が合ってないので、この左と右の図ですね。
上水道、下水道上。
水道の方で4億弱、下水道の方で8億ぐらい。
多い時10億ぐらい、一般会計から上下水道事業へ流れ込んでいます。
もちろん「みんなが使うんだから、それでもいいか」とそういう考え方もあるかもしれませんが、残念ながらみんなは使ってません。
吉田の方であれば、使ってらっしゃる方なんですけども。
上水道、高宮のうちの実家の方で言えば使ってない家は多いですし、下水道も整備している、それこそ旧町でかなり差があって、そのまま差が残ってますので、整備の率はずいぶん開きがあります。
そうした時に、みんなが使ってないものに、みんなのお金をつぎ込んでる、これはまず不公平です。
そして、使えば使う分だけ、得をしてしまうんです。
この意味がわかりますか?
もちろん上水道、蛇口ひねってコップ入れて飲んだ分だけお金かかるんですが、税金で安くしてもらってるんです。
なので、たくさん飲めば飲んだ分だけ税金を飲んだことになります。
みんなのお金を。
なので、効率性も悪くなります。
全部自分のお金だとしたら節約したくなりますよね。
節約しなきゃ、とより強く思うはずなんですが、税金によって料金が低く抑えられているがために、そのインセンティブ、動機づけ「節約しよう」と思う気持ちが薄らいでしまいます。
なので、不公平である上に非効率になっています。
これが経常的支出の中でも、この繰出金の問題点です。
ですので、いろんな機会にお話はしているんですが、この料金。
やはり見直さなければならないと考えられますので、実際、見直しに向けて今取り組みを進めている最中です。

話を市の財政の方に戻すと、財政の状況を経常収支比率で測ったんですけども、他にもいくつか指標がありました。
例えばこちらです。

地方債残高。
要は市の借金です。
市の借金がどうなっているかというと、一番多い時で300数十億あったんですが、グググッと下がって、特に21年22年にかけて、また一段下がったので、借金はずいぶんちっちゃくなりました。
200億まで借り入れは減少できています。
これはちゃんと借金返済していくのと同時に、その反対の方、むやみに借りないという、これが大事なんです。
お風呂の水を貯めようと思っても、栓が抜けてたらいつまで経ってもたまらないみたいな話なので、入る方と出る方、両方の調整が必要なんですけども、借金においては新規の借り入れを、かなりこの1年2年は抑制をした結果、残高が減ってきています。
借金の総額が減るとどうなるかというと、こちらです。

公債費。
名前が珍しいんですが、要はローンの支払いです。
毎年いくら借金返しているかというのを、公債費という名前で呼ぶんです。
目盛り左側なんですけども、2022年度は25から30億の間です。
30億を切りました。
借金の総額が減ってきているので、返済も随分下がったというところです。
そして、その公債費、借金の返済の負担感を図ったのが、並べて書いてある折れ線グラフ。
実質公債費比率。
目盛りは右側なんですけども数字入れてます。
11.6%まで下がりました。
これは安芸高田市になって一番低い数字です。
一番借金の負担感がないのが足元です。
なので、経常収支比率も見てもらったんですが、この借金。
何か嫌な響きがあるかなと思うんですが、この観点で言えば安芸高田市史上、今が最も改善した状態にきています。
借金の話したんで、もう1個だけいきましょう。
もう一つ大事な指標がありました。
こちらです。

財政調整基金、要は貯金です。
借りているものの反対、預けているお金、市が貯めているお金なんですけど、財政調整基金。
昔、30億弱あったんですがグググッと減りました。
貯金を取り崩した理由は、災害対応です。
大きな災害があったので取り崩したようです。
私が就任する前なんですけども。
その後、一番低い時で6億まで減ってしまいました。
くしくも、その翌年2021年にまた大きな災害があったわけですが、なんとかその時は、この貯金取り崩さずに対応しました。
被害の大きさでは、その何年か前の災害に決して劣らない、なんなら吉田町の中心は冠水しましたので、相当な被害だったわけですが、この貯金は何とか取り崩さず対応し、そして、2021年度に、さっき見てもらいましたが、いつもより多めにお金が入ったけどなるべく節約したと、大盤振る舞いを控えたということで、剰余金というものが出ました。
それを積み立てた結果が、2022年度です。
9.2億円まで財政調整基金が回復したという姿になっています。
文書2つ目に、適正水準と書いてあるんですけども、標準財政規模、安芸高田市だとだいたい120億ぐらいの10%なので、12億ぐらいあれば、とりあえず大丈夫かなと、そういう水準になっています。

どういう意味で大丈夫かというと、先ほどご案内した災害とかです。
災害とかあった時に、もちろんいくらあっても、ある分には越したことはないんですけども、せめて標準財政規模の1割はないと、災害復旧に支障が出てしまうだろうということで、今その12億を目指して、随分戻ってきたという姿にあります。

以上が、昨年度2022年度の安芸高田市決算の概要となっています。

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