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社会保険料が上がり続ける原因

今日は皆さんにも直接関係のある社会保険料、給料が上がったらいいんですけど、社会保険料もどんどん上がっていて手取りが増えない、こういう声を聞いてます。
そもそもなんで社会保険料はどんどん上がっていってるのか、このことについて今日は基本の基を解説します。

まず国民医療費ということなんですけども、医療もちろんいろんなのがあります。
自由診療で歯を治すとか、これは保険の外にあるので、医療といってもいろいろあるんですが、国のいわゆる公的保険の対象になって国費として使って、要は診療報酬の総額と言ってもいいかもしれません。
それがだいたい48兆円使われています。

国の予算が年100兆円ぐらいですから、実は医療費、そして介護や年金を入れれば、半分ぐらい社会保障関係費になっているんです。
そのうち医療費が50兆円弱と、2023年度でこれぐらいになってます。

財源構成で見ると、まずこの48兆誰がどう負担しているかということなんですが、まずは皆さんが給料中から転引されている保険料です。
医療保険料、これがと合わせて24兆円で、大体医療費の半分ぐらいは保険料で賄われているんです。
じゃあ残り半分なんだというと、一つは皆さんがお医者さんの窓口で、例えば1万円の医療費を受けたら3,000円払います。
薬とか、あるいは色々もらってますけども、その窓口負担を足し合わせたものが7兆円ぐらいあります。
その残りは何かというと、国庫負担ということで、国とか地方、要は税金突っ込んでいるということです。
この国・地方の、公費負担・保険料負担・患者負担というのが、医療費を支える三大財源とまず言っていいと思います。

ここをまず抑えてもらいたいです。
今日皆さんに是非分かっていただきたいのが、医療費なんですけども、これは非常に他の支出と特徴的に違うのは、「自然増」っていうことがあることなんです。
「自然増」は何かというと、ほっとくと増えていく。
何でほっとくと増えるかというと、毎年毎年、高齢者の数が増えているからです。

どうしても年取ると病気になりやすいですから。
そういう人が増えていくと、制度を何も変えなくても、対象者が増えていくっていうことによって、負担・医療費が毎年毎年増えていく。
これがだいたい自然増分が8,800億円。
もちろん高齢者が増えるっていうことと同時に、だんだん医療が高度化しているので、一人当たりの医療費が少しずつ増えているってことももちろんありますが、そうするとこの比率で患者負担も増えますし、保険料負担も増えますし、国庫負担も増える。

ここで問題なのは、何もせずにほっときゃ8,800億円なんですけども、無駄を削ったり制度改革して、例えば2024年10月から、まさに後期高齢者医療制度の一定の所得のある方は、1割から2割に負担を増やすんです。
そういうこともやりながら、ただただ伸びる8,800億円ということをそのまま伸ばすんじゃなくて、抑制をかけていこうということで、毎年、概算要求では8,800億要求するんですけど、できるだけ抑えて「自然増」と言いながら、自然のままにはさせないということで、いろいろ抑えていくわけです。

例えば典型なのが、薬の値段、薬価を引き下げてそれによって全体の医療費を引き下げていくということで、ビョーンと伸びるのを抑えて、それぞれの負担が抑制されるので、そういう改革をいつもやってるんです。
例えば、年末の診療報酬とあります。
まさにお医者さんの人件費とか、あるいは材料費とか、そういった支払われるものの診療報酬と言いますけれども、その診療報酬総額を1%マイナスにした場合、額がでかいので、1%と言っても4,800億円が効いてくるわけです。
大きいでしょう?
いずれにしても1%マイナスすると4,800億円の抑制効果で国民の負担の軽減効果にもなるんですが、この比率で割り振っていくと、1%診療報酬をマイナスできれば患者負担は700億円減ります。
社会保険料負担も2,400億円減ります。
ちょうど半分って言ってましたから。
税金の負担も1,800億円で安くなって、国は1,200億円、地方は500億円税投入が減ると。
この何とか診療報酬をマイナスにできないか、あるいはプラスでもそのプラスをできるだけ抑制できないかということを、医師会とか関係団体入れて年末までヤンヤヤンヤやって、プラス0.88ということで、2023年年末は落ち着いたということなんです。

いろんなことを組み合わせながら、じゃあ概算要求で8,800億だったこの「自然増」の要求は、じゃあどこまで抑制できたかというと、仕上がりは7,300億円で折衝・査定・交渉の過程で1,500億円分は削り込んでいったと。
なかなか2023年よりマイナスにしていくというのは難しいんです。
でも改革しないと、そのまま伸びちゃいますから改革が必要で、その改革はあの非常に不人気ですから。
やると命に関わったりするので大変だということで、抑えて非常に頑張って改革しても増えているので、増えると何が起こるかというと、患者負担も保険料負担も税金の負担もトータルとして増えていくということになるわけです。
それでただなかなか税金増やしたりできないので、患者負担を増やすということをなかなかこれもできなかったので、どうしても保険料負担を引き上げようという、ここに集中していくわけです。

本当は手取りが増えるべきなんだけども、保険料率の方が上がっちゃって、なかなかこう実感が得られないっていうのは、こういう構造があるわけです。
これから改革のあり方としては、こういった自然増があるものを、できるだけ抑えていく。
マイナスまでめり込ませれば、これ全部減ります。
患者負担だって保険料負担だって減りますけど、ただマイナスまでめり込ませていくっていうのは弊害もでっかいのかなと。
ただいずれにしても下げていかなきゃいけないという中で、やはり保険で見る範囲を、つまり48兆円の中に入れるものを、どこまで絞り込むのかっていうのは科学的なエビデンスに基づいて、やっぱ万人に効果があるものは入れたらいいと思います。
やはり人によって効く効かない、でもお金かかってもやりたい、挑戦してみたいという医療は少し自由診療の方にするとか、そういう選別がやはり必要ではないかな。そして2つ目に、上がっていくのを抑制した上で真ん中のところばっかり負担を寄せるんじゃなくて、患者負担、あるいは公費負担、この辺をどのように考えていくのかということを組み合わせながら、超高齢化社会を乗り切っていく持続的な医療制度、あるいは社会保険制度を考えていくことが必要だということです。

あまりこういう財源構成から見た医療費のあり方、でもでかいですから、とにかく。
巨大な額なので、これは国民一人一人にすごく関わる話なので、できるだけわかりやすく説明をしていきたいなと思います。
できるだけ皆さんには情報提供しながら、一緒に考えて一緒に改革をしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

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