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日本の医療費は何に使われているのか?何で賄われているのか?

前回は後期高齢者医療制度がどのように賄われているのか、つまり、皆さんの保険料は何に使われているのかということを説明したら大変な反響をいただきました。
今日は引き継いで、そもそも医療費とは何なのか、どういう財源で何に使われているのかを改めて解説をしたいと思います。
今日も解決より解説でいきたいと思います。

医療費っていうのは何なのかを説明したいんですけども、国の予算が100兆円を超えたと言われていますが、そのうちの国の税金等々を使って給付されている医療費の総額というのは48兆円ぐらいになっているんです。
後期高齢者になると、長期に入院したりいろんなことが出てきますが、その財源なんですけれども、皆さんが病気怪我した時には、そこから医療費が使われるんですけども、財源として税金が全体の4割ぐらい使われています。
働いている人は特にわかると思いますが、稼いだ給料の中から医療費の保険料を払っています。
その保険料の約半分ぐらい財源として使われていて、残りは患者負担、簡単に言うとこういう構成になっています。

その財源に基づいて医療費が48兆円使われているわけが、高齢化に伴ってこれがどんどん増えていっています。
具体的に何に使われているかというと、47%ぐらいが医師等の人件費です。
これはお医者さんだけじゃなくて看護師さんとか検査技師とかコーメディカル等の人件費が半分弱で医薬品薬か21%ぐらいです。
昔は9兆円ぐらいだったんですけど、薬で10兆円、人件費で23兆円、医療材料といって様々な医療機器がありますが、そういったものに3兆円。
後は光熱費とか賃借料とかそういったもので、12兆円ぐらいという構成になっているわけです。

この医療費といっても費目ごとに分けると、この国の医療費の4割ぐらいは75歳以上の後期高齢者の方に使われています。
年齢で区切るとそういう形になり、中身で見るとこのような構成になっているわけです。

私が、X(Twitter)で炎上したのは、医療費がどんどん増えていくので高齢化するとどうしても病気や怪我をする人が増えていくわけですから、ここがやっぱどんどん増えていくということで、それが増えてしまうと税金も保険料も高くなってしまうので、なんとか抑制しなきゃいけないので、その半分ぐらい占めている医者の人件費に注目して、人件費を抑えろ、医者の給料下げろというような捉え方をされて炎上したんですけれども、私が申し上げたかったのは、2012年から2021年の約10年間、民主党政権を失って安倍政権になってから今日ぐらいまでの安倍政権10年間と言ってもいいかもしれませんが、この10年間で国民一人当たりの医療費の伸びがぐんぐんぐんぐん増えていったんですけども、年率換算で医療費は2.6%伸びていってます。
それに対して総雇用者報酬というのは、一人当たり現金給与×雇用者数です。
一人当たりの賃金の伸びと何人が働いてるんだということで、国全体で稼いだ給料の総額と思ってください。
その伸びは1.8なんです。
それが約0.8%ポイントぐらい下がります。
この差をどう埋めてきたかというと、保険料率のアップで埋めてきました。

よく働いても保険料ばっか上がってるなというふうに思うのは、なぜかというと医療費が伸びているからです。
給料も伸びてるんだけれども、給料の伸び以上に医療費の伸びが大きくて、それが単に同じ比率で伸びていかないので、皆さんが稼いだ給料を分母として分子を医療の保険料としたときに、その比率を給料の増加率以上に上げないと、医療費の伸びを調整できなかったので、保険料率を上げ続けてきたわけなんです。

じゃあ保険料率をこれ以上上がらないようにしよう、あるいは維新さんのように下げようということを言ってるんですけど、至難の業です。
財源のうち半分を占める保険料のところを変えない、保険料率を変えないのであれば、財源確保のことで考えます。
患者負担、これは例えば後期高齢者の中でも、お金がある程度余裕のある人には、現役並みの3割払ってください、3割が無理な人は2割払ってくださいとなります。
3割払ってもらう人が75歳以上で20%います。
3割は無理でも2割を窓口負担にして払っていただこうとする法案を我々は賛成したんです。
保険料を上げないであれば、患者負担を増やすか、税金の投入を増やすかどっちかなんですけ、両方ダメとしたら、じゃあどうするんだということです。
保険料を上げないために申し訳ないですけど患者さんの余裕のある方、特に後期高齢者の方で負担できる人は負担してください、っていう法案を野党でやりながら賛成したんです。
現役の皆さんの保険料率を、これ以上上げちゃいかんと思ったからです。
だから患者負担を上げる改革ををこれまでしてきたんですが医療費の増加が止まらないので、それでいて保険料を上げないためにどうしようかということです。
じゃあ税金を上げて保険料を税に振り返っていく、例えば保険料上げないために消費税を上げましょうと。
でも消費税も下げるって言ってるわけですよ。
消費税は下げる、保険料は下げる、患者負担は求めないということだと、どうするんだということになると、この費用を抑えていくしかないということなんだと思います。

私は全部組み合わさないとダメだと思いますし最終的には解決策は示したいんですが、今日はあくまで解決というより解説なんで解説に特化したいと思います。
ただ、他の政党が言っていることも、そのところだけ、例えば保険料安くしますってことは聞くといいといいねと思うんですけど、じゃあ全体像を見てどうするのというときに、整合性のある説明をしている政党はありません。
いわゆる改革だとか大改革とか抜本改革とか、そういうことを言っている人ほど現実的な政策がないなと思います。
私はいろんな全体像を知ってますから、モニョモニョして解決より解説って揶揄されるんだけれども、それだけ難しい話です。
だから、みんなで一緒に考えていきたいなと思ってるんです。
大切なことは、医療ってすごく大事なので、制度の持続性をどうやって確保するのか、それを我慢してもらうところもいろんなところで出てくるし、負担を少しお願いしなきゃいけないところも出てきます。
ただ何かあった時に安心して医療が受けられるこの体制だけは、きちんと維持していかなければいけないなと思っています。

費用側の話に行きます。
このうち4割ぐらいが後期高齢者に使われているので、かなり年になってよく延命治療をどうするんですかとか、いろんなことの議論があります。
これは死生観にも関わるので、きちんとした議論が必要で一定の見合わせも必要だと思います。
ただ私が申し上げたいのは、延命治療をどうするかとか、あるいは医療材料とか、薬のところもそうですけども、できるだけ個人の負担でできるものはしてもらいましょう、ということです
例えば漢方薬とかビタミンCとか、そういったものはお店でも買えるわけです。
もちろん処方でも出てきますけれども、そういった自己負担でいけるものはできるだけ自己負担にしていこうというのは、ある程度やっていかざるを得ないということです。
何でもかんでも保険でみるということにすると医療費はどんどん広がっていきますから、やっぱ医療というものある程度標準化していく必要があります。
例えば風邪なら風邪の一つパッケージがあって、風邪ならこういうメニューまでは保険でみますけど、そこからは追加で何か特別なことをするときは自己負担でやってくださいとか、そういうふうに保険給付で見る範囲と自己負担である範囲を分けて、それが併用可能な仕組みが今ありますけれども、その併用をより柔軟に認めていくとか、保険医療があんまり広がらない、膨張しないようにすることは大事だと思います。

私が炎上したのは「医者の給料減らせ」と言った風に捉えられたことです。
私は一言も言ってません。
伸びていくのは高齢化するから仕方がないです。
ただ伸び率を働いている人とか経済の発展の伸び率と同じぐらいのペースに抑えられないかということを、真剣に考えていかなきゃいけないんじゃないのかということ、つまり伸び率コントロールです。
伸びることは前提としながら、高齢化だからマイナスにするのは難しいです。
ただ伸びのコントロール、ここでも具体的に言うと2.6なら同じぐらいにするか、1.8しか伸びないと1.8にするとか、バランスをうまく取らないと差額が保険料率アップにつながるので、伸び率コントロールを何らかの形でしていく必要があるんじゃないかと思います。
そうは言っても、一方で高齢化が進んでいる中で増えていきますから、その伸びを抑えるというのは並大抵じゃないし、反発も大きいと思います。
だから我々国民民主党が何を言ってるかというと、こういう2.6の伸びがあるんだったら、総雇用者報酬の伸び2.6%にする政策をやった方がいいんじゃないか、ということで出てきたのが、給料が上がる経済の実現なんです。
例えば賃金が4%伸びて総雇用者報酬の伸びが3%になれば、こっちの方が上回るわけですから、改革の痛みを仮にやるにしたって、傷が浅いというか、あんまり痛くない痛みになるんです。
我々としては給料が上がる経済を実現しないと、改革もまた難しくなるということで、とにかく給料が上がる経済を実現しようということを言ってきたんです。
こういうことも全部踏まえた政策ができてますから。

入ってくるものと出ていくものの関係を高齢化社会の中でどのようにバランスをとっていくのか、バランスを取る時の取りやすさを可能とするためにも、給料が上げていくということは政策として必要だということを訴えているのが、国民民主党とご理解を賜ればというふうに思います。
皆さん関心がある分野だと思いますので、医療費、社会保障のあり方については基礎の基礎になりますけれども、説明をしながら皆さんの理解を求めていきたいし、一緒に改革案を考えていきたいと思います。

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