見出し画像

健康保険料は一体どこに?負担は減らせる?

今日は非常に関係の深い社会保険料についてやりたいと思います。

今、賃上げをしようと私も訴えてますけども、給料上がっても税金と社会保険料が高くて手取りが増えない、という声は全国まわってもたくさん聞くんです。
じゃあどのように社会保険料負担を抑えていくのかということを考える際に、皆さんが払っている社会保険料が一体どこに行ってるのか、これをまず抑えていただきたいので説明したいと思います。

医療保険は皆さんがどういうお仕事につかれているのかによって、加入している保険が違うんですが、ここをまず抑えてもらいたいんです。
今日は主に4つの健康保険についてお話しますが、ややこしい話が始まるなと思って構えて聞いてもらいたいと思います。

保険の仕組みは簡単で、民間の保険を考えてもらったらわかるんですが、普段から少しずつ保険料を払って、いざという時、大きな怪我をした・大きな病気をしたという時には、保険給付を受けられます。
医療の場合は現物給付として、自己負担をしたら病気や怪我で病院に行ったら安くみてもらえる、そういう仕組みです。

私の入っている市町村国保国民健康保険はどういう収入支出になっているかというと、実はその市町村国保っていうのは高齢者の人が多いから、支出が多いんです。
保険制度っていうのは、例えば第一生命でも明治生命でも、いろいろ生命保険会社がありますけど、入ってくるものと出ていくものを調整して初めて企業って成り立ちます。
市町村国保は高齢者ばっかり、ほとんど高齢者で、かつ加入している人が自営業と非正規の方なんで、保険料収入が少ないんです。
年代的なものもあるし、例えばサラリーマンだと源泉徴収でがっちり取られますけど、捕捉率が低いとされる人も入っているのが市町村国保なわけです。
いずれにしても保険料が2.3兆円しかないので、出ていく給付費は、病気や怪我で使うお金は8.3兆円ということなので、その差額を公費、つまり税金で差を埋めているわけです。
さらに、なんか埋めてるものがあるなと思って、何を埋めてるんだろう、どこかからお金が来ているんだと見てみると、組合健保と協会けんぽから埋めて、給付費が賄われているんですが、これを前期調整金と言って、前期高齢者(65歳以上75歳未満)の方々を支えるために、他の少し豊かな健康保険の枠組みから、お金を仕送りのようにもらっているわけです。
これが合わさって初めて市町村国保ということが成り立っているいうことなんです。

じゃあお金をいただいている健康保険組合はどういうのがあるかというと、一つは大企業なんかが入っている組合健保っていうのがあります。
大きな企業の健康保険組合、これ企業ごとにやってますけれども、保険料が6兆9千億入って、わずかですけど公費も入ってるんですが、基本的にほとんど保険料が入ってきています。
例えば、トヨタならトヨタ、私の地元だと百十四銀行の健康保険組合があって、従業員さんから保険料をいただいて、従業員さんが病気や怪我をしたら給付をしています。
つまり保険料でちゃんと給付が賄われているんですが、給付費と保険で保険の割合が多いから、もっと保険で減らしたいじゃないかと思うんですけど、何か別のものに支出が使われているんです。
その一つがさっきこの市町村国保、高齢者が多くて財政的に厳しいというところに、前期高齢者調整金として差し上げているわけです。
他の医療保険に1.5兆円を保険料の中からプレゼントしてるんです。
そのプレゼントをもらうことによって、私の属している讃岐市の国保はまわっているという構造になっています。

もう一つお金をプレゼントいただいているところがあって、協会けんぽと言いまして、どちらかと言うと中小の企業なんかが加入している健康保険組合で、保険料が8.1兆円あって公費から1.2兆円入って給付を賄っています。
ただ公費が入っているのに保険料の方が多いんだから公費を入れなくてもいいじゃないかと思いますが、給付以外に何を使っているかというと、さっき言った前期調整金1.5兆円ものお金が私の入っている市町村国保を支えるために、プレゼントのために1.5兆円使われいます。
そして、今日のテーマなんですけども、この協会けんぽも組合健保も2兆円、どっか行ってるんです。
しかも組合健保と協会けんぽからプレゼントをもらっているにも関わらず、人からお世話になっている関わらず、なんとこの市町村国保はプレゼントもしているという状況になっています。
じゃあその協会けんぽも組合健保も市町村国保も誰にプレゼントしているかというと、75歳以上の方が共通して加入する、後期高齢者医療制度というところになります。
病気、怪我、そのための給付をしてますが、協会けんぽの給付金が5.7兆円、組合健保の給付金が3.5兆円、市町村国保の給付金が8.3兆円とありますが、後期高齢者医療制度の給付金が15.3兆円で一番給付が多いんです。
当たり前ですよね。
75歳みんな年取ってくると、若い人や現職の人とかよりも病気や怪我になる確率は上がるし、普段病院に行くという人もいてそれは仕方がありません。
この75歳以上の給付を賄うために、7.7兆円の公費、つまり税金からお金が入っているのと、75歳以上の方からも保険料をいただいてますから、1.3兆円入ってきていますがとても賄えません。
そこで差額を埋めるのが、協会けんぽ、組合健保、市町村国保から後期高齢者支援金という形で入ってきて、初めて後期高齢者の給付を賄うことができている構造になっています。

いずれにしても、改めて注目してもらいたいのは、それぞれの病気や怪我をしたときの給付は、例えば協会健保だと5.7兆円、組合健保だと3.5兆円、市町村国保だと8.3兆円の支出なんで、保険料はその範囲で入ってくればまわるわけです。
自分の健康保険組合をまわすためだけなら。
でも、給付以上の保険料を取っていて、差額はどこ行ってるかというと、全部他の健康保険組合を支えるためのプレゼントになってるわけです。
プレゼント比率が高いのが組合健保で、従業員たちの病気や怪我、家族の病気や怪我に使われるのは約半分です。
みんな年をとって、健康保険組合に加わっている方も会社を退職すれば、住んでいる地域の市町村国保に移ったりしますから、一定程度、制度感で支え合っていくっていうのは悪くはないんですが、現役の人からするとある程度は分かるんだけど、納めたものの半分以上が他の保険制度、健康保険制度を支えるために使われるのは、どうなのということが、ギリギリの負担の状況になってきています。

じゃあどうすんだということなんですが、保険料を下げましょうとなったら、拠出金が減っていくわけです。
減ったら給付を賄えないので、どうするかというと、保険料を75歳以上で余裕のある方は保険料を払ってくださいというにする。
あるいは国費を公費を入れる、また自己負担率を上げる。
例えば、高齢者の医療は1割でみてますが、現役は原則3割負担です。
だから、原則2割負担にするとか、原則3割負担にするというようなこともしながら、給付を賄うものを、他の保険、特に現役世代の加入している健康保険組合のプレゼントに過度に頼らないような体制にしていかないと、現役の皆さんの負担がこれからドンドン上がっていくということなので、この辺の整理をしていかないといけないということです。
非常に脆弱な医療制度の中で我々は高齢化を迎えているということなので、みんなで考えていただきたいと思います。

この改革についてはX(Twitter)でも発信をしています。
他の党でも、社会保険料負担を引き下げようということを言っている政党もあります。
日本医師の会などは、経済対策として3割社会保険料を引き下げると言っています。
例えば、その保険料を3割全部下げたときに、拠出金が全部なくなるわけです。
そうなったらこの穴の開いたところの給付を3割引き下げるのか、保険料を上げるのか、窓口負担を3割にするのか。
でも3割窓口負担を上げたとしても、財政的にはプラス1兆か2兆の改善効果しか、最大をみてもならないと思います。
じゃあ公費で埋めていくのかという話をすると、他に何を削るのか、増税を本当にするのか。
そこは逃げずに言わないと、単にこの保険料を下げるというのは、ポピュリズムになってしまいます。
減税、教育、子育てについては、教育国債を発行しろと言ってますが、社会保険、社会保障については公費が入っているといえども基本的には保険の仕組みなので、負担を軽くするというのであれば、給付をどうするのかというのは、ある程度セットで考えないと、ただ社会保険料を下げますよ、じゃあそれはどうするんですか、ということはきちんと言わないといけません。

増税なんですか、歳出カットなんですか、給付は何兆円も削れる夢のような方法があるのか、ここは責任を持って語ることが必要だと思います。
社会保険料を引き下げようということに踏み込んでいることは敬意を持ってますが、私が制度をいろいろ知ってるが故に、ここに踏み込むことの難しさは10年以上やってきたのでわかるんですが、そう簡単ではないんです。
その中でも持続的、そして若い人の現役の負担をこれ以上増やさないような改革は不可欠だと思っていますので、知恵を絞っていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?