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2024年世界10大リスク予想発表!

年始の恒例の行事なんですが、今日は2024年度版のイアン・ブレマーさんが率いるユーラシアグループが発表する、「世界の10大リスク2024年度版」について説明したいと思います。

2024 10大リスク (ユーラシア・グループ)

https://www.eurasiagroup.net/siteFiles/Media/files/Top%20Risks%202024%20JPN.pdf

毎年発表されてますが、2023年のトップリスク一番は「ならず者国家ロシア」でした。
ロシアとウクライナの戦いは長引いてますし、北朝鮮からミサイルを提供を受けてキーウに打ち込んだりとかになっていて、世界的な混乱の源になっているというのは当たったと思います。
2023年のリスクの2番目は「権力を集中させた習近平」でした。
いろんな意味で中国の影響力も増してきてますが、ただ、経済が少し低調な感じになってきています。
経済、特に不動産が非常にまずい状況になっています。
金融の融資も焦げついてるんじゃないのか、そういうことも言われてきて、いろんな意味で中国というもののリスクが高まった1年となりました。
特に台湾海峡有事がありますが、台湾の総統選挙を受けて、引き続きどうなるのかということです。
2023年の1位ロシア、2位中国っていうのは当たってるのかなと思います。
これがざっと2023年のリスクでした。

2024年度版の世界の重大リスクの発表があるんですが、今日はそのうち日本、我が国に影響があることをピックアップしてみたいと思っています。
何と言っても日本に影響があるということで一番目のリスクに挙げられた「米国の敵は米国」、わかりやすく「アメリカの分断」と書きましたけれども、英語で言うと「The United States vs. itself」で「アメリカがアメリカ自身と戦ってる」。
要は選挙で言うと、トランプ対バイデン、共和党対民主党ということで、非常に国内の意見が集約・収斂されるんじゃなくて、両極体に割れていって合意形成不能みたいになってきているということです。
それが世界にも大きな影響を与えるということなんですが、日本は戦後ずっと、悪い言葉で言うとアメリカの属国だとか、国内の政策が全てアメリカの影響を受けている、というようなことが言われてきました。
戦後、日本を形成するのに大きな役割を果たしたアメリカという存在が、世界の中で頼りなくなっているというか、自ら戦って内向きになり、そして2024年11月に行われる大統領選挙でトランプさんが選ばれればその傾向はさらに強まってしまうんじゃないか、というのは皆さんも思っていると思います。

当時は安倍元総理がいました。
安倍元総理が金のドライバーを渡したりとか、一緒にゴルフしたり、バンカーで転がったりしましたけれども、それも含めてトランプさんの心にうまく入り込んで「晋三、どうするんだ」と言って回顧録にも出てきますけども、非常に信頼もしてたということだったんです。
じゃあ岸田総理、あるいは岸田総理の次のリーダーがそれができるのかというと、極めて不安定な状況になってます。
イアン・ブレマーさんの重大リスクの日本への影響というところにも、安倍元総理と同じようにトランプをうまく扱えるのかというのが永田町や霞が関で既にテーマになってザワついているということが書かれてあります。
「安倍元総理に匹敵するトランプへのささやき役がいない」というのがコンセンサスになっていて、そのこと自体が永田町・霞が関を不安に落とし入れているということです。
ただ、安倍元総理の時でさえ、鉄鋼とかアルミニウムに対して高い関税をかけるということを止められなかったんです。
そうなると、まだ日本はアメリカに対して貿易の黒字ということを計上していると、トランプさんは「いかん」と言って、防衛費を2倍に増やしましたけれども、「もっと戦闘機買え」とか「アメリカのレーダーを買え」とか、いろんなことを「買え買え」と防衛と経済を結びつける要求をしてくる可能性は非常に高くなってくるんじゃないかと思います。
だからNo.1「米国の敵は米国(米国の分断)」と内向き傾向になっていき、場合によってはバイデンさんが勝ってもその傾向は変わらないんじゃないかと思うのんで、日本にとっては、いずれにしても今までのような頼りになるアメリカというか、世界秩序を率先して形成するアメリカという姿ではなくて、大きな体をしたアメリカが小さな自分の家に閉じこもるのを「閉じこもるんじゃなくて、もう一回国際的なルールを作るところにきちんと参画しなさい」とむしろ日本が引っ張り出してくるような役割を、これからは日本が担っていかなければいけないんではないか、というふうに思います。

似たようなことで、10番目ですけれども、英語で言うと「Risky business」で、分断が進むアメリカでビジネス展開をしていくリスク、簡単に言うとそういうことになっています。
今まで日本企業は、アメリカにどんどん投資をしてきました。
雇用も作ってきたし、お金もその分入れてきたんですが、いろんな意味で全部自前でやろうということになっていくと、外国企業を排除したり差別的な取扱いが行われる可能性もあるので、アメリカでビジネスを展開していくということが今まではリスクじゃなかったんですけど、リスクになり得るという意味では日本経済にも大きな影響を与えるだろうというふうに思います。
特に中国の商品、あるいは原材料を使った製品は、例えばEVなんかはアメリカの政府が今はEV支援のための補助金を出してますけども、外国の部品を使っている、あるいは蓄電池を使っていると補助の対象から外す、例えば日産の車もそこから外すみたいな話にならないようにしていかないといけないということがリスク管理だと思います。

6番目で言うと「回復しない中国」、これは「No China recovery」というふうになっています。
2023年の話で申し上げたんですが、不動産会社の大きなところが倒産したり、中国経済がコロナ以降ぐずついているという中で、中国の経済が回復しないと、日本は貿易の相手先として大きいですから、日本も経済の影響を受けていくということです。
今賃上げをなんとかやろうといって経済が好調だというところに腰を折っちゃう可能性が出てくるので、これも日本経済にとっても非常にリスクです。

8番目は「インフレによる経済の逆風」です。
これは世界中でまだインフレがなかなか収まらない「No room for error」と書いてあって、経済政策失敗の余地がない、というようなことが書かれてあります。
日本も賃金がなんとか上がっているんですが、それ以上に物価がインフレで上がっていて、20ヶ月連続実賃賃金が下がっています。
実賃賃金が下がるということは手取りが減るような感じなので、消費が逆に減退して、商品が売れなくなる・買わなくなると経済がまた悪くなるので、経済そのものがまた悪くなって賃金も上がらなくなってしまいます。
インフレのマネジメントということが、世界のリスクであると同時に、日本にとってもインフレをどうマネジメントしていくのかということが、非常に大事になってきます。

5番目は「ならずもの国家の枢軸」で「Axis of rogues」と英語で言ってますけども、これはロシアや北朝鮮とかです。
そういう国際秩序を守らないような国が台頭してくるということもリスクということです。
これは日本にとって本当にリスクだと思うのは、北朝鮮とロシアがかなり結びつきを強めているということです。
既にアメリカ国務省も発表してますが、北朝鮮から提供されたミサイルがウクライナの攻撃に使われてます。
北朝鮮はロシアにミサイルを提供する代わりに、何を代わりに貰ったかというと、軍事衛星の技術とか、そういう衛星技術をもらってます。
あるいは近距離弾道ミサイルの技術とか、そういうミサイル技術を導入することによって、韓国や日本に対する脅威は高まっているんです。
だから、このならずもの国家とバラッと書いてますが、特にロシア・北朝鮮、しかもならずもの国家同士が結びつくことによる日本に対するリスクっていうのは、2024年は極めて上がっていくだろうと思います。
最近の傾向としては、アメリカがガタついているということがいろんなことに悪影響及ぼし、その力の空白を中国やロシア、北朝鮮、イランとか着々と埋めていっているのではないかということです。
イランとサウジアラビアの仲介を中国がしたり、戦後作られてきた国際秩序を根底からガラガラと動かしています。
動かす余地がなぜ出てきているかというと、戦後の秩序を一手に担ってきたアメリカが弱くなっているからです。

こういう中でどういう国家戦略を描いていくのかということで言うと、我々国民民主党が言っている言葉で言うと「自分の国は自分で守る」です。
何でもかんでも外に行くんじゃなくて、大切なものを自国で作る体制、つまり海外に出していた工場をもう一回国内に戻すとか、雇用を国内でちゃんと作るとか、自国の防衛、つまりアメリカに頼っても「物を買え」ということだと安全保障のプラスには必ずしもつながりませんから、自分の国は自分で守るという経済安全保障・食料安全保障、そういうことをしっかりやっていくということです。
物の調達先として中国に頼りすぎるのも中国の経済が悪くなったときに売上が下がってしまうということはリスクになるので、この辺を含めて自分の国は自分で守るという、常に世界の大きなリスクを頭に入れながら、日本に直接影響を与えるというグローバルな視点、俯瞰した視点、これを忘れずに2024年も取り組んでまいりたいと思います。

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