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新成人へメッセージ

話のタイトルは「いのちだいじに」です。
この言葉を見て、気づいた方もいらっしゃるかもしれません。ドラゴンクエストというゲームに出てくる言葉です。

1990年に発売されたドラクエ4で初めて出てきたシステムなんですが、主人公が敵と戦うとき、仲間がAIで動いてくれるようになりました。
その仲間に対して出すコマンド、作戦、その一つが「いのちだいじに」です。

ここで早速お聞きしてしまうのですが、皆さんは普段「いのちだいじに」にされていますでしょうか。
間違いなく全員が「はい」と答えてくださると思うのですが、では具体的に、どういうふうに命を大事にされていますか。
例えば、今の状況であれば、新型コロナがあります。
感染しないように自粛する、ワクチンを打ちに行く、「いのちだいじに」していますね。
あるいは、車を運転する人であれば、安全運転を心がける、これも「いのちだいじに」しています。ここで言う「命を大事にする」というのは、死なないということです。とても大事ですね。

では皆さん、いつ死が訪れると思っていますか?
これはデータがあります。今の日本の平均寿命ですが、女性で87.7歳、男性で81.6歳です。
皆さんが今20歳だとすれば、あと60年から70年後に死が訪れます。均すと65年は命があるわけです。

ではこの65年、何日でしょう。
365をかければいいですね。
答えは、23,725日です。
では何時間でしょう。さらに24をかけます。
約57万時間です。
秒に直すと、約20億秒となっています。
皆さんの残りの命です。

ここまで話しすると、なんとなくつかめてきたかと思うんですが、命とはすなわち時間です。
時間が積み重なったもの、それが皆さんの命です。

こういう言葉が昔からあります。
Carpe diem、ラテン語です。
英語で言うと、Seize the Day。
「その日を掴め」という言葉なんですね。
映画になりました。
「今を生きる」という邦題なんですが、1980年ぐらいに出たロビン・ウィリアムズという俳優が出ている映画なんですが、まさにそれがSeize the Dayです。
命を大事にするということは、時間を大事にすることであって、すなわち今というこの瞬間を大事にするということです。

次に、この時間というものを多角的に、そして具体的に考えていきます。
2つに分けます。

まず私にとっての時間です。
皆さんそれぞれに、あと約65年平均すると残っています。
これをどう使うか。
NHKの番組でも言っていますが、「ボーっと生きてんじゃねえよ!」まさに大事なんです。
先ほど57万時間あると言いましたが、そのたった1%何かに費やす、それだけで残りの生涯5,700時間あることになります。
ものすごく膨大なエネルギーです。
決して無為にはできないものです。

私のお話を少し紹介すると、時間の使い方というのは、まさに皆さんの今の歳ぐらい、20歳ぐらいのときにすごく意識を向けました。
何かというと、20歳のちょっと前ですが、受験勉強のときです。今でも覚えていますが、1日14時間ぐらい勉強しました。
6時間寝て14時間勉強する、あと残り4時間ですよね。
残り4時間で、3食と風呂に入ったり休憩をしたり、これでだいたいきれいに埋まります。
この14時間というのをコンスタントに続ければ相当な学力が身につく、そういう計算になります。

もう一つご紹介すると、私が会社に入って仕事をするようになってから、ある上司が1日4時間半の睡眠でも人間は動ける、と教えてくれました。
無理じゃないかなとは思うものの、ものは試しでとりあえずやってみました。
4時間半は必ず寝る。
でも残りの20時間、仕事やそれ以外のものに全力で使う。
これは単に睡眠を削る話ではなく、削った分だけ大事なんだから、他に一生懸命真剣に使おうという意識でした。
それ以来の10年間は私にとって本当に大きな財産になったと今では感じています。

これが一つ目の時間、私の皆さんの時間です。

そしてもう一つの側面は、人との時間です。
皆さんがこれから考えないといけないのは、仕事をするとき、どう時間を使うかです。
多くの仕事は一人では成し得ません。
必ず誰かと一緒にやります。
そうしたときに忘れちゃいけないのは、自分の時間と同時に他の人の時間も使っているということなんです。
例えば遅刻をしない、会議をだらだら続けない。
当たり前のことなんですが、すごく大事です。
何故なら誰かの命を使っているからです。
とても基本的、でもすごく大事な事実を、ぜひ忘れないでください。

そして人との時間、何よりも皆さんに覚えていていただきたいのは、皆さんにとって大切な人との時間です。友達であったり家族との時間です。

私のお話をすれば、数年前にアメリカに駐在をしました。
場所がニューヨークだったんですが、日本の反対側なんです。時差が14時間ぐらいあって、昼夜が逆転します。
親とも電話をすることもなく、当然会うことも滅多になくなりました。
1年に1回ぐらい久しぶりに会ったんですね。
そのときに思いました。
私の親ももう高齢なので、あと10年は元気かな、生きてるかなと。
つまり、あと10回会えるかどうかなんだなと、そのとき感じました。
なので、ニューヨークにいる間は、どんだけ仕事が忙しくても、どんな事情があっても、年に1回は親の顔を見るために、日本に帰ってくるようにしました。

今はおかげさまで近くにいるので、よくよく顔も見えるんですが、あのとき自分が感じた、感じられた思いというのは、すごく希少だったように思います。

今日、ドラゴンクエストの話をして、ロビン・ウィリアムズという人の出ている映画の話をしました。
それらが登場したのは1990年なんです。
皆さんがまだ生まれていなかったときの話ですが、なぜそれを今伝えたかというと、皆さんのお父さんお母さんが、まさに青春を謳歌されていた時代だからです。

ぜひこの動画を見終わった後、お父さんお母さんに、市長がドラクエの話をしとったよ、昔のいい映画の話をしとったんだけど知っとる?と聞いてみてください。
そしてその中で、ぜひ皆さんの大事な人たちとの時間を大事にしていただきたいと思います。

最後にもう一回お伝えしますが、今、皆さんに伝えたいメッセージというのは、「いのちだいじに」にです。
皆さんの人生という冒険が、実りあるものとなることを祈っています。

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