見出し画像

政府のセキュリティ・クリアランス制度でハニートラップは防げるか

今日は岸田内閣が閣議決定して、間もなく国会で議論がされる予定のセキュリティ・クリアランス法案について説明したいと思います。
ポイントはこの法律でハニートラップを防ぐことはできるのか、解説したいと思います。

セキュリティ・クリアランス法案なんですけれども、これは重要な情報を取り扱う資格のある人を制限しよう、その国が「この人大丈夫」と認めた人だけがそういう情報にアクセスすることができる仕組み、これをセキュリティ・クリアランスというんですが、今回のセキュリティ・クリアランス法案というのはサイバー攻撃に関する情報であるとか、あるいは重要な物資の供給網、サプライチェーンに関する情報、あるいはそういったものに関する脆弱性、「ここに穴がありますよ」とか、そういうことを知られたらまずいじゃないですか。
そういう情報の取り扱いについて定める法律なんですけれども、漏れてしまえば、日本あるいは国民の安全に対して、重大な影響を及ぼすような情報について、それを指定した上で取り扱うものを制限する。
そして情報を漏らす恐れがないと認めた者に制限するし、この人だけが取り扱えるというような法体系であります。

この適性評価を実施するというのは、「この人大丈夫か」どうかという適性評価をするということがこの仕組みの中に入っているんですが、この12条で、適性評価を受けたら10年間それは原則有効だとなっていますが、12条には7つの調査項目が入っています。

大丈夫かどうかを調べるときに何を調べるかというと、一つは「重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項」
ややこしく書いてますけど、スパイ活動に関する事項です。
何かというと評価対象者の家族・配偶者・奥さんとかあるいは旦那さん、あと父母、子ども、兄弟姉妹、並びにこれらのもの以外の配偶者の父母、及び子、家族です。あと同居人、その氏名・生年月日・国籍及び住所を含むということになっているので、評価対象者とその家族がどういう人がいるのか、あるいはその国籍、奥さんは外国人であるとか、そういうことも調べると。

2番目に「犯罪及び懲戒の経歴に関する事項」
過去何か犯罪を起こしたかどうか、こういうことも調べる、当然です。

3番目に「情報の取扱いに関する非違の経歴に関する事項」
今までこういう情報漏洩があったかのなかったかとこういうことについても調べる。

4番目は「薬物の濫用及び影響に関する事項」
いろんな薬物をやってたりすると、まずいじゃないですか。
そういうこともちゃんと調べようということになっています。

5番目は「精神疾患に関する事項」

6番目に「飲酒についての節度に関する事項」
普段ガチっとしてるけど飲んだら大っぴらになって、何でもかんでも喋っちゃう人はやばいじゃないですか。
だから飲酒についての節度に関する事項も調査対象になっています。

7番目は「信用状態その他の経済的な状況に関する事項」
重要だと思うのは、借金して首が回らなくなっていると、犯罪に手を染める、あるいはスパイが近づいてきた時に情報を提供して、その分、借金を返す、お金を手に入れるとか、悪いことをする動機として、この信用情報、要は金借りてるかどうか、こういうことも非常に調査項目として大事なので入ってるわけです。

こういうことを調べるんですが、異性交遊関係、性的な行動と言っもいいかもしれません。
この異性交遊関係というのはチェック項目に入ってないんです。
なので、結論から言うとハニートラップで近づいてきて、それで取り入って、それで「国の重要なサイバー防御に関する情報を出せ」ということを迫られたら出しちゃいます。
特に異性との交遊関係があるのか、これも当然調べなきゃいけないと思うんですが入ってないんで、私はこれは問題だと思うんです。
過去、なんでこの7項目なのかというと、特定秘密保護法という法律がありますけど、それもつの項目ほぼ同じなっていて、その異性交遊関係なんかは、特定秘密保護法、今回の法律じゃない既にある法律の中でも、調査項目に入ってないんです。
そのことに対して当時国会で議論になりまして、異性交遊関係は調査事項として入れなくていいのか、というのは当然国会でも聞かれているんですけども、それについてはどう答えているかというと、信用情報に関する事項との関係で、このハニートラップの事実が明らかになれば、適性評価の際に当該事実が考慮されることはあります。
こういう答えをしてるわけです。
つまり異性交遊関係とか性的行動そのものではなくて、すごい借金まみれになっていると。
なんでかというと、変な女性と付き合って貢ぎまくって、それで借金が5,000万円ぐらいあると。
その背景は、高いバッグを貢いだとか、そういう中で明らかにするんだけど、異性交遊関係そのものを調査項目にはしていないと。

政府の答弁で言うと、そういった信用情報に関する事項などとの関係で、考慮されることはありますと。
弱いと思うんです。
私は現在ある特定秘密保護法との関係で整合性から言うと、仕方ないっちゃ仕方ないんですけど、この際、両方直したらいいと思うんです。
なんでかというと、アメリカもセキュリティ・クリアランスの仕組みがありまして、その中に、いろいろと調査項目というかガイドラインがありまして、アメリカのやつは明確に、セクシャルビヘイビアと書いてまして、性的な行動というのも、ガイドラインの一つとして入っていると。

私、特定秘密もそうなんですが、この重要経済安全保障に関するサイバー情報とか、そういった経済安全保障のサプライチェーンに関する情報っていうのは、同盟国、特にアメリカとの関係でいうと同じレベルでやらなきゃいけないと思うんで、例えば「この人はセキュリティ・クリアランス大丈夫な人ですよ」という、その「大丈夫」の基準はアメリカなんかの「大丈夫」って基準と合わせとかないと、セキュリティ・クリアランスのレベルが違っていると「この人大丈夫ですよ」って「一緒にじゃあ会議やりましょう」「一緒に情報共有しましょう」と言っても「あなたのとこのセキュリティ・クリアランス甘いじゃないか」ってなると意味がないわけです。
だからできるだけこれは、あの国際的な調和、ハーモナイゼーションということをしっかりやるべきだという観点からすると、ここにあるセクシャルビヘイビア、異性同性交遊関係・性的な行動・セクシャルビヘイビア、これは明確に調査項目として今回入れるべきだし、既にある特定秘密保護法の中にも、この適性評価の中には性的行動、あるいは異性交遊関係というものは入れるべきだと思います。

もう一つ、この適性評価を受けたものだけが情報を漏らすこと、恐れがないということで、情報に対するアクセスができるんですけれども、この適性評価をしなくていい、つまり適用除外を受ける人達がいるんです。
それが行政機関の長、大臣・副大臣・政務官、そして内閣官房副長官・総理補佐官などなど政令で定めるもの。
こういう人達はあの大丈夫だと。
これ事務局に聞いたんです。
やばい人いるんじゃないですか、大臣・副大臣とか。
M参議院議員は副大臣でしたから。
ですから、やばいじゃないですか。
副大臣だから、大臣だからと言って、それで自動的に適用除外で抜いてたら、どんどんスパイが忍び寄ってくるんじゃないですか、と言って聞いたら「いや、こういう人達は皆、総理大臣が任命する人なので、おかしな人を総理大臣が任命するわけがない」と、ある種の性善説でこういう適用除外を書いていると。
これはさっき申し上げた通り、現行の特定秘密保護法でも同じ仕組みになっているので、それをそのまま持ってきているんですが、ただ中には、大臣は私はさすがにいろいろな意味で、身体検査して、身体検査いろんな意味で漏れてる人もいるんですが、ただ副大臣とか政務官になると、それこそこれまで派閥の推薦とか、年次で選ばれてきたのでいろんな人が入ってくるので、やばい人もいると思うんです。
だからこれも自動的に、こういう人ならOKということではなくて、最低限のチェックはしないと、やはり情報が漏れていくんじゃないのかなということは強く懸念します。

これから法案審議も本格化していきますけれども、こういった点は、追加で対応すべき点だということで、建設的な修正案も提案していきたいと思いますので、皆さんの応援、どうかよろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?