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岸田首相の訪朝決議案をめぐるドタバタ劇

今日は岸田内閣総理大臣の、北朝鮮への訪問を要請する決議、これをめぐるドタバタ劇について解説したいと思います。

今回ぐらいメディアも入った中で、しかも日本の外交政策にも関係することで、これほどドタバタしたケースっていうのは初めてでした。
というのは、日朝国交正常化推進議員連盟がありまして、そこで決議をしようとしたんですけど、そこで示された案文が待ったという、とてもこれだと、一言で言うと「ヤバいですよ、これは」という中身だったので、遅れていったんですけど、あんまりそういうところで発言しないんですが、「ちょっと待った」ということでストップをかけました。

はっきり言って、北朝鮮とはいろんな諸問題があります。
拉致・核・ミサイル。
北朝鮮っていうのはなかなか難しい国ですし、拉致被害者が返ってきてからも、かなり時間が経ってます。
ですから何らかの打開策をやっていかなければいけませんし、ミサイル開発もしてるし、核開発もしてるってことなので、拉致・核・ミサイルの問題を解決していくという意味では岸田総理が前提条件をつけずに向き合うというようなことも言ってます。
それはいいので、場合によっては、一定の打開できる目処が立つのであれば私は訪朝をするということも一つの解決策だと思います。
訪朝を促すこと自体は必ずしも反対するものではないんですけども、問題はこれどういう決議案だったかというと、最近北朝鮮から3つの意思表明があったと。
一つはまず北朝鮮の外務次官が「日本が関係改善の活路を模索しようとするなら、両国が会えない理由はな無い」と談話を発表した。
二つ目が、金正恩国務委員長から岸田総理に尊称閣下の宛名で、能登半島地震に対して御見舞のメッセージが届いた。
これは報道もされました。
3つ目は金与正さんです。
金正恩の妹さんになりますけども、金与正朝鮮労働党副部長から「岸田総理の訪朝の日が来るかも知れない」というメッセージが公表されたので、北朝鮮のこの新しい動きに我々は真摯に対応すべきである。
よってもって岸田総理は「総理直轄のハイレベルの協議」で北朝鮮と交渉し、諸問題の解決をすると国会で表明している。
我々、議員連盟一同は、茲に岸田総理の早期の訪朝を要請する。
こういう中身になっているんです。

私がなんでこれが問題だというふうに言ったかというと、まず我が国の主体的な意思で訪朝するのはいいんですが、特に金与正の発言を受けて、それで真摯に対応すべきであるということに私は反対したんです。
文案に書いているように、金与正副部長から「岸田総理の訪朝の日が来るかも知れない」というメッセージが出され、この発言に「真摯に対応すべきである」となっているんですが、この発言、調子のいいところだけ切り取ってますけども、全体像を読むと、この金与正さんの発言に真摯に対応してはダメです。

原案の決議案は確かに岸田総理が「訪朝する日が来るかも知れない」というのは確かに言ってるんですが、条件が2つあって、1つは日本に対してミサイル発射した、安保理決議に反して行っているミサイル発射、あるいは核実験等に対して、北朝鮮は正当防衛権だと言ってますけども、それに対して日本は抗議してますが、それを「不当に言い掛かりをつける悪習を捨て」ということを、まずやりなさい。
つまり「抗議をやめろ」ということが1つ。
2つ目は、「既に解決済みの拉致問題を両国関係展望の障害物として置かない限り」ってことは、拉致問題っていうのは既に解決した問題で「もう今さら言うな」と。

この2つを認めるのであれば、首相が平壌を訪問する日もあり得ると言ってるんです。
この金与正さんの言葉、この2つの条件も踏まえて、それで日本が真摯に受け止めて、北朝鮮に岸田総理が行くことを要請するっていうのは、少なくとも私の意思ではないし、少なくともこれまで日本国政府が言ってきた対北朝鮮の政策とは相入れないので「こんなことはやめてくれ」ということで私は抗議したんです。
反対を申し入れました。

例えば、拉致問題、高齢になった中でも被害者の家族の皆さんは、とにかく拉致被害者の一括帰国を求めて地道な努力をしているのに「既に解決した問題」だというようなことを認めて、それをプラスのメッセージと捉えて、それで岸田総理に北朝鮮行ってくださいっていうのは、これは少なくとも、今の日本の政府の政策やあるいは自民党の中でも拉致被害者に寄り添って、問題解決に努力してきた多くの人達の期待を裏切り、そういった方針に反するものなので、私は「これはできない」と言ったんです。
最終的には当該部分が全部ガサッと削除になりましたけれども、これはもう正直申し上げると怖いなと思ったのは、今は政治と金の問題とか、岸田総理も首相官邸もバタバタです。
そういう中で、こういう議連が開かれて、そしてサラッっとこれまでの方針を変えるようなことを、与党の幹部が中心になって作って、決議をして、総理に要請していくというのは二重外交にもなるし、政府とあるいは与党や国会側の方針の溝を作って、そこにある意味、北朝鮮に付け入る隙を与えるような、そういうことになってしまうということで、非常に危険だなと思いました。

産経新聞の報道がありました。

この決議案が出される2日前に、議連の幹部の自民党の重鎮の方が、朝鮮総連の幹部の2人と会っていたということが明らかになっています。
私はそんなことはないと思いますけど、この文案も北朝鮮側から「こういう形で決議してくれませんか」というふうに、これ北朝鮮が作った文案の可能性さえあるわけです。
そういう疑いたくないですけど。
今政権の統治能力というのが落ちていて、いろんなとこでいろんな動きがうごめいているので、国益に照らして本当にいいのかどうかということは厳しくチェックしていかないといけません。
私が行かないと、このまま通っていたかもしれないんです。

今日は珍しい議連におけるドタバタ劇について解説をさせていただきました。
それだけ日本が非常に不安定な状況に置かれている、こういう政治を変えていかなければいけない、ということを確信した出来事でありましたので、皆さんに紹介させていただきました。

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