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理想のワンコとは・・・?

そこそこの人口のある町で、まぁまぁ一般的な暮らしをしていれば毎日1頭や2頭は見かけるワンコは、すごく身近な動物だけど、けっこう知られていない事も多い、その1つが「理想のワンコ」の存在。

★こちらでは基本的に一般の方(ペット業界のプロでなく)に知って欲しい事を書いてる事が多いので、なるべくわかりやすい言葉を選んでます。したがって逆にプロから見ると不自然な文章になっているかもしれないけど(笑)マニアックな説明、するのも読むのもシンドイから、適当に進めます(笑)。

日本のケネルクラブ(以下JKC)は血統書などを発行する団体ですが約200種類のワンコの登録があります。とは言え、その約半数の犬種は10頭以下の登録なのででドッグショーでも見かけず、私達プロでも見た事のない犬種も多数・・・もちろん、これはJKCへ登録してある数なので、血統書を持たない(ペットちゃんは必要ないしね)ワンコを入れれば数は大幅に変わると思います。

・・・で、数百の犬種の1頭1頭に犬種標準(スタンダード)と呼ばれるその犬種のいわば「理想像」があるのです。プロでなくともワンコを見て「トイプードル」と「ダックスフンド」の区別はつくと思いますが、プードルやダックスも個体により大きさも骨格、顔形がみんな違うのは愛犬家の方ならわかると思います。私が若いタレントさんの区別がつかないように(爆)興味のない方にはみんな同じに見えるかもしれませんけれど。このスタンダードの内容は日常的には一般の飼い主さんには全く不必要な知識ですが、このスタンダードの存在を理解していなければ「ブリーダー」と「パピーミル」の違いの理解は不可能かと思います。←また今度、説明したいと思います!

このスタンダード、非常に曖昧・・・と言うか、幅がある文章で構成されています。「よく均整がとれており」「ほどよく後方に傾斜し」「中くらいの長さで」・・・などなど受け取る人により、思い描く理想にズレが生じるであろう表現がされています。体重や体高、体長など数値が明確に記されている場合もありますし、歩き方、咬み合わせ、色、目の形なども、細かく記載されています。各国のケネルクラブで掲げていますので国により、多少ニュアンスの異なる犬種もあります。

ワンコはみんな可愛いのに、そんなモンは何のためにあるの?

と思う方もいると思いますが、その犬種を後世に残すためにスタンダードは極めて重要です。もう何年も登録数で不動のNO.1はプードルですのでプードルを例にとると・・・ペットとして人気が高く、ペットショップでも驚愕のお値段(笑)で販売されているプードルちゃん達は口先(マズル)が短く、真ん丸お目めのタイプですが、プードルのスタンダードではスカル(頭蓋)とマズルは同じ長さで、目はアーモンド形、と明記されていて先に書いたペットとして人気のタイプとは大きく異なります。したがって繁殖する側が利益を追求すれば「スタンダードとかけ離れたプードル」ばかりになってしまい、本来の姿のプードルがいなくなってしまいます。もちろん、家庭のペットは全てのコが「世界で1番可愛い」のでスタンダードと違っている、など悲観的に考える必要はありませんので、誤解なく・・・!

私達、トリマーもハサミを使う技術の前に徹底的にスタンダードを学びます。スタンダードの文章を読み込むのはもちろんですが、暗記して試験に受かれば良い、という事ではないのでその犬種のスタンダード像を頭の中にイメージ出来るようドッグショーなどに通い、多くのワンコを見る事で年月をかけて理解するのです。同じワンちゃんを違うトリマーさんにカットしてもらったら、何だか違う・・・なんて経験はありませんか?

トリミングにおける「スタンダード」は極めて重要で、プードルなどの全身の被毛をカットする場合、飼い主さまの意向はもちろん最優先ですが、なおかつスタンダードにより近づけて(見せる)カットをしています。足が短めのコなら横から見てお腹の下はギリギリに短くした方が足が長く見えますし、ぽっちゃりなコはウエストを強調し、体幹は短く四肢は太目の方が体型はカバー出来ます。私達が(私だけ?)お洋服を選ぶ際に「太って見える」とか「お尻が大きく見える」とかチェックして選ぶのと同様に各犬種の欠点はカバーしてスタンダードにより近づけて見せる、のがトリミングの技術です。ですのでトリマーさんのスタンダードの理解や技術により、何となく野暮ったいカットにもなるし、洗練されたスタイリッシュなスタイルにもなるのです。

多くの一般の方にワンコ、動物について色々な事を知って欲しい、と思っていますが「コレ」を説明するには「アレ」をまず知ってもらわないといけなくて「アレ」の理解にはまず「ソレ」が大事・・・と忙しくなかなか時間が取れない現実もあり3歩進んで2歩下がるような状態ですが(笑)超スローながらも「臭いモノに蓋」「見て見ぬふり」のニッポンの文化に抗って(笑)動物福祉のためにたった一人でも理解してもらえるよう前進中★


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