【アメリカとインドのIT開発みたいな】演出家インタビュー Part2
安住の地第6回本公演『¡play!』の作・演出を務める岡本昌也、私道かぴへのインタビュー記事をお届け。創作の進め方や稽古場の雰囲気など、二名の口から語られる舞台裏情報をお楽しみください。(第一回収録日:2020年12月24日)
前回の記事はこちら→【互いの距離感を活かす】演出家インタビュー Part1
◆共同演出・脚本について
―共作での公演は二回目となりますが、それぞれが感じるメリット・デメリットを教えてください。
私道:デメリットあるかな?
岡本:ないよね。
私道:ほんまにそう。
岡本:楽だし、色々。ツイッターにも書いたんですけど、(二人の)生活リズムが違うから…
私道:そこ!?(笑)
岡本:僕が深夜とか朝まで書いて、朝から私道さんが書くっていう。アメリカとインドのIT開発みたいな…あと、でかいのは稽古場ですね。
私道:なるほどね。
岡本:稽古場で私道さんが言うこと、僕は気付いてなかったりするから。あ、なるほどって思うし。
私道:うんうん。
岡本:例えば、僕はわからないんですよ。スポーツをどう展開していけばいいのか。(今作っている)試合のシーンも、結構ぼーっと見ちゃうんですよね。そこのゼロ位置を私道さんが作ってくれるから、ある程度はっきり見えてきた時に、僕も「じゃあ演劇的には絶対こっちの方がいい」っていう発想になれるし。結構そこは、信頼してるみたいなとこもある。
私道:同じシーンを違う人が見て意見言えるっていうのはでかいよね。
岡本:そうそう。だから、(共作は)まじでスタンダードにしたいなって思ってる。
ー二人の意見が食い違うことは無いんですか?
岡本:あるある。
私道:でも、やってみたら意外とそっちがいいなって思うことが結構あるって気付いてから、あんまり何も思わなくなった。
岡本:わかるわかる。
私道:むしろ自分を疑い始めたよね。
岡本:そうね。
◆今回はあえて「王道」を目指す
ー最近の稽古はどうですか?
岡本:僕は昨日気付いたんですけど、変化球投げるのやめようって思った。この劇に関しては。今まではなぜか(ストレートに作るのを)避けていて。テキストと距離をとるっていう演出のスタンスで基本的にやってきたけど、今回はそうじゃなくて、まっすぐ王道を邁進してみようって思ってます。
私道:スポーツだから?
岡本:そう。まっすぐいかないと、正攻法じゃないとできないっていう。
私道さんは? 何してます?
私道:俳優のバランスをずっと見てますね。どうしたらその場面に出てくる全員が面白くなるかっていう。
岡本:なるほど。
私道:無難に配役するのは結構早くできるんだけど、もうちょっと変えてみたらどうかな……っていうのばっかり考えてる気がする。
ー今回の出演者は、客演の方も含めて良く知っている人が多いですが、脚本は「当て書き」ではないのでしょうか?
私道:そうね。
岡本:うん。……なんやろ。なんでなん?
私道:(笑)
岡本:まあでも、自分たちがやりたいことを俳優とぶつけてみた時に、どういうことが起こるのかっていうのが見たいから、な気がする。コントロールになっちゃうもんね、当て書きだと。
私道:そうね。それ以上のものは出てこない。
岡本:例えば中村さんに当て書きしちゃうと、「我々が想像してる中村さんを出す合戦」になるので…
私道:あはは(笑)
岡本:全然違うもの同士がぶつかったらどうなるんや、っていうことを考えてます。
◆マスクで肺活量アップ?
ー最近の稽古場での印象的なエピソード等はありますか?
岡本:あるんやけど、言うとネタバレに…
私道:そうなんや(笑) 私はあれかな、この間も夜中まで脚本会議やってたんですけど、その時に「今ってやっぱりエンタメを作っていかないとダメだよね」っていう話になって。時代の流れと脚本を合わせていく……みたいな価値観というか、考えてることが(岡本と)一緒だったから、それはちょっとびっくりした。
岡本:そうよね。
私道:(それぐらい)かなあ。
岡本:あとは、やなぎ(柳原良平)さんのマスクがちっちゃい。
私道:あはは(笑)
岡本:今、稽古中みんなマスクしてるんですけど。
私道:(顔に)食い込んでるもんね。
岡本:いやでも、稽古場でマスクしてるのって、大変よね。
私道:厳しいね。
岡本:まあでも、あれか。マラソン選手が雪山でトレーニングして、降りてきたらめっちゃ肺活量上がってるみたいな効果が…
私道:マスクで頑張ったら(笑)
岡本:本番には肺活量5倍くらいになってるかもしれない。
(photo by 北川啓太)
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