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声優が役/キャラになりきる方法とは?【声優養成所講師が解説】

どうも、福原安祥です。

ナレーターをしたり、声優養成所の講師をしたり、会社の経営をしたりしています。

今回のテーマは『役になりきる』です!

「声優は役になりきらなきゃいけないぞ」ってよく聞くと思います。講師の方から「役になりきってない!」って言われたことがある人もいるかもしれませんね。

でも…「役になりきるってどういうこと?」って思いませんか?読んでくれているあなたはどういうことか説明できますか?

あるいは、「どうやったら役になりきることができるのか」という問題も、これまた説明が難しいですよね…。

おそらく、このあたりを雰囲気でしかわかってない方が多いと思うんですよ。

なので、今回は『役になりきる』ということについて解説していこうと思います!

動画で見たい方はこちらをどうぞ。

あんじょーメソッド(YouTubeチャンネル)

声優が「役になりきる」ってどういうこと?

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「役になりきる」ということについて解説していくうえで、最初にお伝えしておきたいことは…

やっちゃダメなことについてです。

役になりきるうえで一番やっちゃダメなことはなにかというと…

役になりきろうと「思う」こと!

これ絶対ダメなんですけど、声優志望の方の80%以上がやっちゃってるんですよね。。

でも、「役になりきれ!」って言われて「役になりきらなきゃ!」って思うのはメチャクチャ普通だと思いません?

なんでダメなのかというと、「なりきろう」と思っても「なれない」からです!

役になりきるって、言い換えると「別の人間になれ!」ってことなんですよ。

自分じゃない、完全に別の人間になる…。

できます?

できませんよね。

日常で考えてみてください。

いきなり「お母さんになりきれ」って言われて「よーしお母さんになるぞ」って思って、お母さんになりきれますか?無理ですよね。。

つまり、「思う」だけじゃダメなんです。「行動」しなきゃいけないんですよ!

役になりきるための「行動」を考えていかなきゃいけないってことですね。

というわけで、役になりきるための行動について考えていくんですけど…実際に役になりきるうえでなにが必要なのかというと「キャラのことを考える時間」なんですよ。

ただし、適当なことを考えていても役になりきることはできません。

ここで大事なのが「台本からの情報」です!

例えば、あなたの演じるキャラクターは「リンゴが好き」と台本に書いてあるとします。

その情報からキャラクターのことを考えるわけですね。「なんでリンゴが好きなんだろう?」って考えるわけです。

台本から情報を集めて、役の気持ちを考えて、役との距離を縮めていくということですね。ずっとこれの繰り返し!

そして、役との距離が完全に埋まったときが…「役になりきった」という状態なわけです!

もちろん、距離が埋まっても声に反映できなかったら、役になりきれてません。。

考えて考えて、キャラとの距離を完全に埋めて、それを声に乗せられたときに、初めて「役になりきった」という状態なわけですね。

ここからはチョット厳しい話をしますので覚悟して聞いてください…!

多くの声優志望者さんは、「役になりきる」という言葉をナメてます。。

「役になりきる」ことの大変さ

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Twitterでも「今日のレッスンは役になりきれた気がするなぁ…!」という感じのつぶやきをよく見かけますが、一流の俳優さんの役作りを知ってますか?

例えば、その俳優さんが中世ヨーロッパの医者の役を担当するとしたら、役作りとしてなにをするかわかります?

「勉強」なんですよ!

その当時ヨーロッパで起こっていたこととか、医者という職業がどういうポジションだったのかとか、現代との違いとか…そういう時代背景を徹底的に勉強するんです!

これは広くいうと、さっきお話しした「情報を集める」という作業。

一流の俳優さんが凄いのは、台本以外からでも情報を集めていることなんですよね。

その膨大な情報をもとにして、台本を読み解いて、役のことを考えて、役に近づいていくわけです…。

メチャクチャ時間がかかる!

ただ、ここまでやっても「役になりきる」っていうのは難しいんです。なぜかというと、自分じゃない「別の人間になる」ことだからですね。

どうですか?「役になりきれたわ~」っていう発言がいかにヤバいか、わかりましたか?

「役になりきる」って本当に難しいこと。

なので、あなたがまず目指すべきなのは、役に「なりきる」ことじゃなくて…役に「近づく」ことなんですね。

役になりきるっていうのは、さっきから説明しているとおりメチャクチャ難しいし、才能も必要なんです。

だから、みなさんにはまず「役との距離を縮める」ことをやってほしいんですよ。

じゃあ、役に近づくためにはどうすればいいと思いますか?

さっきお話ししたとおり、台本から情報を読みとって、キャラクターのことを考える時間はメチャクチャ大事です。これが第一段階ですね!

ただ、考えているだけでは役に近づくことはなかなかできません…。

役に近づくためには「憑依だ!」っていう方もいますが…憑依ではありません。。憑依に関しては次回詳しく説明しますね。

役に近づくための具体的なアプローチとしては…「キャラクター」という別の人間になるために、「自分をいったん捨てる」ことです!

簡単にいうと、「恥を捨てる」ってことなんですよね。講師から「恥を捨てろ!」って言われたことがある方も多いと思います。

ただ…めっちゃムズいんですよ、恥を捨てるって。。

特に日本人は、本音を言わない文化が長い間続いていて、いまでも本音を言わずに気をつかう民族です(個人的には好きです)。

なので、本音を言うことに慣れてない人が、いきなり「恥を捨てろ」って言われてもメチャクチャ難しいわけなんですよ。

あと、恥を捨てちゃうと、ちょっとヤバいこともあるんですよね。恥ずかしがり屋の役とか照れてる役ができなくなっちゃうんです。

なので、恥を捨てることに囚われてほしくない。ぶっちゃけ、恥は捨てなくてOKです!

ただ、そのかわりになにをしてほしいかというと…「精神的素っ裸」になってほしいんですよ!

……ヘンタイ扱いしないでください。。精神的な話ですから!

演技がヘタな人であればあるほど、精神的な服をめっちゃ着てるんですよね。なんでかというと…自己防衛のためなんです。

声優の「役になりきる」方法

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自分を守りたいから、精神的な服をガンガン着ちゃうんですよ。でも、着れば着るほど演技はヘタになります!

「役に近づく=別の人間になっていく」ためには、自分が着ている精神的な服を脱ぎまくっていかなきゃいけません。

そして、精神を素っ裸の状態にして、自分をさらけ出すことができなきゃいけないんですよね。

あくまで精神的な話ですよ?

物理的にやったらタイホされるので気をつけてくださいね。。

そして精神的に素っ裸になったらどうするのかというと…役の服を着るんです!

なので、自分の担当する役がどんな服を着ているのかをイメージすることがスゴく大事です。

服の素材までイメージできたらメチャクチャいいですね。

別の人間になるためには、外側から固めていくことが大事ってことです。役の服を着ることで、役にドンドン近づいていけるってことですね。

…という感じでこれはあくまでもイメージの話なんですけど、イメージの力ってすごく大きいです。

こういうアホくさい作業を真剣にできる人がプロになれるんですよ!

演技の世界につながりがない友達に話したら、確実に頭おかしいヤツ認定されると思いますけどね。。

チョットわかりづらいっていう方は、また日常に置きかえて考えてみてください。

あなたが憧れている同性の声優さんに、洋服をもらったとしましょう。

そのとき、その声優さんからもらった服を着てみたら…なんか演技うまくなった気がしません?いい声が出せそうな気もしてきませんか?

それと同じ!

その服を着ると、「なんかいい感じになってる気がする」ってなるんです。それって、「好きな声優さんに近づいてる意識がある」からなんですよ。

この感覚が「役に近づく」ってことでもあるんですよね。

そのときに、自分が精神的に脱いでいれば脱いでるほど、役に近づくことができます!

例えば、自分が精神的にインナーだけ着てる状態で、その上に役のジャケットを着ている状態だと、役に近づいているのは「50%」だけ。

自分が精神的に素っ裸の状態で、役の下着からなにからすべて役の服を身につけられたとき、やっとその役に近づけるわけですね!

養成所で生徒の演技を聞いてたらよくわかるんです。「コイツ厚着(=自己防衛)してんな~」って。北海道か!ってくらい着ちゃってる人もいますからね。。

自分の服は全部脱いで、役の服を着てくださいね!

今回のまとめ

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今回は『役になりきる』というテーマでお話ししてきました!

解説してきたとおり「なりきろう」と思っても「なれません」!別の人間になるっていうことの難しさをナメちゃいけないよってことですね。

なので、できるだけ「役に近づく」ことがポイントです!

役に近づくためには「恥を捨てなきゃいけない」っていう考えがあるんですけど、これはなかなか難しいので…「精神的素っ裸になれ!」ということでしたね。

自分をさらけ出すっていうことです。

そのうえで「役の服を着る」ということでした。

こういう話をすると、「そんなイメージもてません…」っていう人が一定数います。。

でも、意識とかイメージの問題は「できない」と思ったら一生できませんし、「できる」と思ったらできます!

声優とかナレーターの表現に一番必要なものって、感覚なんですよ。「なんかこんな感じ」っていう言語化できないところなんですね。

それって意識とかイメージとかの世界です。

意識やイメージを大事にできない人は、プロにとって一番大事な感覚をいつまでたっても養えません。意識やイメージの力を甘く見ちゃダメですよ!

それから、演技があまりうまくない人っていうのは、「コツがあるんじゃないか」と思いがちなんですよね。「そのコツをつかめば、自分もうまくなれる」と思っちゃってるんです。

演技にコツなんかありません。

別の人間になるためのコツなんてないので、丁寧に精神的素っ裸になって、自分のイメージを役に近づけていくことで、初めて「役に近づく」ことができるわけですね。

実践的な役作りの方法については、過去に『実戦形式!声優の役作りの方法』という内容で解説しているので、そちらもチェックしてみてくださいね!

それではまた。

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