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話題の場所:エジさんが来る

メイちゃんが喫茶店『ボストン』でパフェを食べています。そこにアメリカ人のエジさんがやってきました。

「ねえねえ、エジさん、聞きたいことがあるんですけど」
「何かな」
「go って『行く』でしょ。come は『来る』ですよね」
「うん、そうだよ」
「でも、ときどき英語だと反対になってることがあるの」
「ああ、そういうことか」
「それはどうして」
「まず、『日本語で何と言うか』は違う言語だから、できるだけ忘れたほうがいいね。英語の感覚だと goは自分がいる場所から離れていくイメージ。come は話題になっている場所に近づいていくイメージだ」
「へえ」
「メイちゃん、あとで公園に来て、と誰かに言われたら、日本語では『行くよ』になるんだけど、英語だと公園という場所が主体になるから『来るよ』になるんだよね」
「そうなのか。ちょっとややこしい」
「日本語に囚われているからだよ。そこで行くだから go だなと思って使うと自分の行動が中心になってしまうから、今いる場所でもジャングルジム
でもなく、どこか違うところに行くから公園には行かないよ、という表現になってしまうんだよね」
「へえ」

「そのときは、I will come later. と言えばいいんだ。面白いことに、日本語でも九州あたりの方言では、行くことを『来る』って言うらしいよ」
「そうなんだ。知らなかった」
「あとね、go はそこから離れていく、come は自分のところへやってくる、というイメージから生まれる意味の違いもあるんだ。悪いことは go で、いいことには come が使われることが多いね」
「それはどういうことなの」

「たとえば牛乳が腐って変な臭いがしているとき、This milk went bad. と言うね。このミルクは腐っている、つまり、あるべきいい状態から遠くに離れてしまったということだ。went は go の過去形だね」
「じゃあ、いいほうはどんなの」
「わかりやすいのは Dreams come true. とかだろうね。自分が思い描いていた夢がこちらにやってきたというイメージ。冗談言うなよ、という意味で使う Come on! も、正常な精神状態に戻ってこい、というニュアンスだね」

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エジさんという人が、役に立たない英語を教えてくれます。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。