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instagramの誤解。

instagramについてのアドバイスを求められることがあるんだけど、答えはいつも同じで「俺の専門外」です。

instagramは写真を使った「コミュニケーションツール」なので、写真の技術が占める範囲は三割くらいでしょう。インスタ映えという言葉に代表されるように、こうするとよく見える、こう撮ればオシャレだと思われる、という独特の行動様式が七割を占めています。

簡単に言ってしまうと、そこで写真の話をするのはナンセンスです。優秀な写真家がやっても多分結果は惨憺たるモノになるでしょう。問題はそこで編み出された振る舞いや流儀だからです。

写真に興味を持つ人の裾野が広がるのはいいじゃないか、と言われることもありますけど、そんなに簡単な話ではありません。「写ルンです」「プリクラ」「instagram」をきっかけに裾野はどんどん拡がりましたが、それで「誰でも写真を撮る仕事ができる」と思うのは、ちょっと疑問なんですよね。

最近は企業の宣伝部が「著名なinstagrammerに写真を発注して売り上げを上げました」なんていう記事を読みますけど、それはそれでいいんです。その人たちと職業写真家は競合関係にはありませんから。

カメラマンの中にはそういう風潮を嫌う人もいますけど、スマホで撮った写真に生活を脅かされる程度なら、そもそもそこに問題があると言えるでしょう。

instagramをもてはやす大人たち(この場合デジタル社会に疎い人)は「今、流行っているらしいアレで宣伝できんかね、課長」くらいの消費認識しかありません。それでいいんです。

instagramでのtipsは我々が撮る写真とは種類が違っていて、別の技術です。撮り方、フィルタ、更新頻度など、そこでのテクニックをいくら語られても我々にはまるで関係がない。

あまり言われたくないことだと思うけど、instagramの定義は「つまらない日常にフィルタをかけること」だと意地悪に言っておきます。近眼の人がメガネを外すと夜景が綺麗に見える、あの理屈です。

日常のつまらない世界をメガネをかけて見ないようにすることは、世界を見つめる写真家の態度とは正反対の「自己否定」とも言えるでしょう。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。