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アニメーターの低賃金を解決する方法④:アニメスタジオの直営化

結局のところ、アニメーターの低賃金を解決するには、アニメファンからアニメーターに対して、直接お金が入る仕組みを作らなければなりません。この間に中間業者が入れば入るほど、アニメーターの利益が少なくなってしまいます。逆に言えば、中間業者を取り除くことができれば、アニメーターの利益が増える可能性があるということです。そこで考えられるアイディアが、アニメスタジオの直営化です。

一般的に、アニメ制作の現場では、様々な業務が下請けに出されます。原画や動画はもちろんのこと、美術背景、3DCG、音楽制作などが外注されることが多いです。もちろんその分、マージンは発生してしまいます。

一方で、これらの業務を全て自社完結しようとする動きもあります。例えば、大手アニメ制作会社では、3D CGの内製化を進めている真っ最中です。また京都アニメーションやP.A.WORKSのように作画業務の内製化を積極的に進めるアニメスタジオもあります。

結果として、アニメスタジオの直営化に努めている企業の多くは、良質のアニメ作品を生み出している傾向が強く、利益率向上、ブランディングにもつながっているように見えます。

この辺の因果関係はよくわからないところもあります。優れた作品を作り出せるから、アニメスタジオの直営化ができるのかもしれないし、アニメスタジオの直営化ができたから、良質な作品を作り出すことができるようになったのかもしれません。どちらにせよ、アニメ制作の現状を変えようとする意志が必要なのは間違いないでしょう。

ちなみに個人的には、すべての業務を自社で完結するだけにとどまらず、1人のクリエイターが横断的に業務をこなせる必要があると考えます。その最も典型的な例が宮崎駿であり、高畑勲であり、新海誠です。彼らはアニメーションだけではなく、脚本、背景、3DCG、音楽などにも知見があったため、結果的に作家性の強い作品を生み出すことに成功しています。

そして現在、アプリケーションの進化と生成AIの登場により、誰もが横断的にクリエイティビティを発揮できるようになりました。アニメ制作の現場でも例外ではありません。テクノロジーを駆使して横断的に業務をこなせるクリエイターが登場することが、アニメスタジオの直営化につながると私は考えます。

また、ディレクターとプロデューサーと経営者が同じ人物であることも重要であると考えます。マネジメントに関しても、業務効率化ツールの進化により、少人数で企業を経営できるようになっています。

これらの工夫が結果として、アニメスタジオの直営化を成功に導くのです。

次回に続きます。

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